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人生五度目。浅井茶々は遂に開き直った〜今度こそ、生き残らせてもらいます!〜  作者: 奈羅
第二章 生き残りを賭けて〜徳川家で戦国サバイバル〜
22/50

茶々の忘れ物〜お江が拾い、孝蔵主が活用する〜

駿河へ向かう道中。


岡崎を発って数日。一行は、街道を進んでいた。


その頃、大坂城では……。


「……なんだ?これ?」


お江は侍女たちと共に、茶々が使っていた部屋の片付けをしていた。


その時に見つけた一冊の日誌。なんとなく中を開いてみる。


『某月某日


今日も石田殿と福島殿は喧嘩をしていた。

漏れ聞こえてくる会話によると、また福島殿が酒でやらかしたそうだ。


石田殿が福島殿を庭に放り投げていた。


あの方、細身なのにあの筋肉だるまを放り投げられるのかと驚いた。


『お前は俺に早う死んでほしいんか!?』とあの見た目からは想像もつかないほどの、ドスの効いた近江訛りで怒鳴っていた。


側に控えていた小姓たちは震え上がっている。

少し可哀想。


それにしても、あの呑んだくれは、いつになったら学ぶのやら……。』


お江は顔を上げる。


「……姉上の日記?」


お江は日記に目線を落とす。


『某月某日


加藤清正殿が生き生きと城の話をされていた。

早過ぎて半分も聞き取れなかった。


城の話を一生懸命する熊。ちょっと可愛い。』


『某月某日


清正殿と福島殿が珍しく喧嘩しておられた。


熊二頭は流石に怖い。


石田殿が怒鳴ろうと息を吸ったが、大谷殿がスッと前に出られた。


『虎、市。こっちおいで。』


その一言で、熊二頭は黙った。


大谷殿が一番怖い。』


『某月某日


また石田殿と福島殿が喧嘩していた。

本日は、石田殿は槍を持って追いかけ回していた。


前田の親父殿が止めに入られ、そのまま石田殿を肩に担ぎ、連れて行かれた。


連れて行かれる石田殿のご様子は、まるで猫のようだった。ちょっと可愛い。


福島殿は清正殿と浅野長吉殿に怒られていた。』


『某月某日


秀吉に側室にならぬか?と言われた。


断った。勘弁してくれ。


余りにもしつこかったので、走って逃げた。


追いかけられた。


怖い。とにかく、怖い。


余りの恐怖に、ババ様のお部屋へ走った。

智様も居られたので、半泣きになりながら説明した。

すると、智様は愛用の鎌を取り出し、秀吉を追いかけていた。


途中で寧々様も参戦されていた。石田殿たちは呆れておられた。


スッキリした。』


「……サル、やっぱりウチの姉上を狙っていたか……。」


お江は舌打ちをした。


日記はまだ続いていた。


『某月某日


秀吉、まだ私のことを諦めておらぬ様子である。


ウザい。


石田殿にご報告しておいた。


石田殿は舌打ちをされ、その隣で前田の親父殿は槍の手入れを始められた。


私も薙刀の手入れをしておいた方が良いだろうか。』


『某月某日


ババ様の畑からの帰り。


本丸御殿の庭にて、秀吉が吊るされてた。


木に吊るされたサル……。

面白い。


傍には寧々様と智様が控えておられる。

お二人とも、尾張訛り丸出しである。迫力が違う。


お江が青い顔をし、お初が合掌した。


大谷殿がどこからともなく現れ、私たちを奥御殿へ送ってくださった。


何事かと伺ったら、姫様たちがお気にかける事ではございません、忘れてください、といつもの何を考えているか分からぬ笑みで申された。


どうせ、女関係だろう。


どうして、私に執着するのだろうか。不思議で仕方がない。』


一通り読み終えたお江は顔を上げる。


「……これ、どうしよ?送った方がいいのかな?」


う〜ん……と、お江は唸る。

暫く考えて、何か閃いたようで、侍女に声を掛けてから、足早に部屋を出た。


「孝蔵主様〜!」


向かった先は、寧々の側近である孝蔵主の部屋。


「まぁ、三の姫様。如何なされたのです?」


「これ、姉上の忘れ物みたいです!」


ずいっと孝蔵主に例の日誌を差し出す。


「まぁ……。では、わたくしがお預かりしておきましょう。」


そして、日誌を受け取る。


「それでは、お願いします!」


お江はパタパタと部屋から出る。


「……一の姫様の忘れ物か……。」


孝蔵主はなんとなく日誌を開き………


全部読んだ。


読み終えた孝蔵主は、日誌を丁寧に文机に置いた。

そして、日誌に向かって深々と一礼する。


「…………使える。」


後に孝蔵主はこの日誌を元に、奥向きにおける人間関係・要注意人物・喧嘩発生時の対処法・秀吉から姫君を守るための心得をまとめた「奥向き対応心得」なるものを作ったとか、作らなかったとか。


その頃、荷物の確認をしていた茶々は……。


「あっれ〜、どこ行った〜?」


日誌が無いことに気付いて、探していたのだが……。


「……まぁ、いいか。これから起こるかも知らない出来事は書いてないし。」


早々に捜索を打ち切った。


なお、問題は『未来の出来事を書いているか』どうかではなかった。

正則「なんで槍持って追い掛けてきたんよぉ!俺ぁは猪か!?」


三成「自覚あったんか。」


正則「酷い!!俺を鍋にするつもりやったんか!?」


三成「いらんわ、お前みたいなん鍋にするほどゲテモノ喰いやあらへんで。」


正則「うわぁぁ〜ん!!佐吉ちゃんがいじめるぅぅ!!」


清正・吉継「お前の自業自得や。」


正則「………ぴえん、味方がおらん。」


三成「キモっ。」


正則「酷いぃぃーー!!」

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