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人生五度目。浅井茶々は遂に開き直った〜今度こそ、生き残らせてもらいます!〜  作者: 奈羅
第一章 タイムリープ五周目、開き直って何が悪い!
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関白秀吉、家族会議で敗北する

「アンタたち!騒がしいわねっ!!お茶々も居るのよっ!!」


寧々の一喝が部屋に響くと、清正と正則がガバッとその場に跪く。


「浅井の一の姫様っ!ご無礼つかまつった……!」


(いや反応早すぎん?)


茶々は内心でツッコむ。


「おっか様!至急、本丸御殿へ!」


「虎!だから“おっか様”じゃない!北政所様だ!」


「佐吉!今そんなこと言うとる場合かっ!!」


「そうだわ!紀之介の言う通りやで!」


「お前は黙っとれや!!」


――始まった。


清正&正則 vs 三成。吉継がその間に入る。


(……コイツら、五周目でも相変わらずだなぁ……。)


茶々はなんだか懐かしい気持ちで、四人を見守った。


「虎!市!佐吉!!」


ドン、と畳を踏み鳴らす。


「お黙りっっ!!うるさいっっ!!」


一瞬で、静まり返り、三人は見事に小さくなった。


(さっすが、寧々様……。)


茶々は気を取り直して、四人を見る。


「あのぉ……。」


茶々が恐る恐る声を掛けると、四人が茶々を見た。


「……何か、あったのですか?」


すると、吉継が一歩出た。


「……一の姫。行った方が早いかと。」


「殿下が……。」


清正が顔を上げる。


「ババ様と智様に、殺されるやもしれませぬ。」


「「はぁぁ!?」」


茶々と寧々の声が、綺麗に重なった。


そして、全員で本丸御殿まで全力移動である。


近づくにつれ、怒号、悲鳴、そして泣き声。


(……ああ〜、嫌な予感しかしない。)


そして、辿り着いた先で、茶々は………


言葉を失った。


庭の木に――――秀吉が縛り付けられていた。


(はぁ?え?なんで?)


「こんの、どあほぉぉぉおおおああああっっ!!」


「何考えとるんじゃああ!!」


仲、そして秀吉の姉・智が、全力で秀吉を殴っていた。完全にサンドバッグである。


「ちょっ!おっかぁ!姉やん!落ち着けってぇ!」


秀長が止めに入り、智の夫・三好吉房とその息子たちも必死だ。


廊下に蹲るようにして、旭が泣いていた。そして、その隣に座る阿古。

完全に目が死んでおり、ただ庭の騒動を眺めているだけだった。


(何これ?……カオスやん。)


茶々は庭で繰り広げられる死闘を眺めながら、ぼんやりと心の中でツッコむ。


「……阿古殿。」


静かに呼びかけると、ゆっくりと顔を向けてくる。

阿古が茶々を目にした瞬間に。


「うわぁぁぁ……お茶々様ぁぁぁ……!」


崩れるように泣き出した。


「ちょ、ちょっと……!」


茶々は慌てて駆け寄る。


「そんなに泣いたら目が溶けるって……!」


「うぇぇ……ち、ちち、うえがぁ……!」


「おじ様に何が?」


その問いに答えたのは、旭だった。


「……離縁、言われたんよ。」


静かな声だったが――震えている。


「兄様が……。」


一歩、言葉を絞り出す。


「五万石やるから、私と別れろって……。」


(……まさか。)


茶々の中で、確信が固まる。


「それで……?」


「あの人、聞き返したんよ。どういうことやって。」


旭は拳を握り、一拍。


「そしたら……私を、徳川に嫁がせるって。」


廊下の空気が、凍った。


「……は?」


茶々の口から、素で声が漏れる。


「そしたら、あの人……。」


旭の声が震える。


「……その場で……髷を……自分で切り落としたんよぉ……!」


そう言って、また泣き出した。


(武士が、自分で……?)


茶々は思わず、阿古の肩を掴む。


「……っ!」


「茶々様、痛いです……。」


「あ、ごめんなさい!」


慌てて手を離す。


(……おじ様……そこまでしたの?)


周囲を見ると、物陰から側室たちが様子を伺っている。


(出た、野次馬軍団。)


「阿古姉様!!」「旭様!!」


野次馬軍団を掻き分けて、お江が竜子と共に駆け寄ってくる。


「ど、どうしたのですか!?何か悲しいことでも――」


お江が慌てて声を上げる。

旭と阿古を前に、完全にオロオロしていた。


「大丈夫よ、お江。落ち着いて。」


竜子が肩を抱き、静かに宥める。


「……姉様、お江。」


茶々は静かに立ち上がった。


「旭様と阿古殿を、お願いします。」


短く言い残すと、そのまま人混みの中へ突っ込んだ。


(……まず、状況整理。)


野次馬の中から、萩乃を見つけたので、そのまま腕を掴み、人気のない場所へ引きずった。


「萩乃。」


「はい。」


「副田のおじ様は?」


「……それが。」


一瞬、言い淀む。


「最低限の荷だけ持ち、馬で城を出たと。」


(ああ……自分で出て行かれたのか……。)


茶々は目を閉じて、萩乃に静かに命じた。


「おじ様を探して。」


「……はい。」


「見つけたら、すぐ知らせて。」


「承知。」


萩乃は、そのまま駆けていった。


(よし。)


茶々は踵を返し、再び庭へ向かう。


「おっか〜!お智〜!持って来たでぇ!!」


聞こえた瞬間、嫌な予感が的中した。

現れたのは大筒を引いた男、蜂須賀小六(はちすかころく)正勝(まさかつ)だった。


(あちゃ〜……最悪なの来ちゃった……。)


「すまんなぁ、小六!」


「このたわけ、木っ端微塵にしたってちょう!!」


「関白なったばっかやけど……しゃーないわ!

小六さ!私が許すで!派手にやってちょうよ!」


「おうよ!!」


完全に処刑モードである。


「おいぃぃ!!小六ぅぅぅーー!!」


縛られたままの秀吉が叫ぶ。


「儂の家臣やろが!?なんで母様と姉やんと寧々の言うこと聞いとるんじゃ!!」


「うるさいわぁ!!」


小六、完全にブチギレである。


「自分の妹と義弟、どう扱っとるんじゃ!たわけぇぇぇ!!」


「儂は旭の幸せを――」


「それでこれかぁ!?話ならんわぁぁぁーーーっっ!!」


怒号が叩きつけられる。


「おい!誰か火ぃ持って来い!!」


(いやもうガチやん。)


「小六ぅ!落ち着け!!」


「頼む!!小六さ!!落ち着いてちょうよぉぉーー!!」


秀長と吉房が必死に止め、正則と三成も小六にしがみつく。


「小六様ぁぁ!あかんってぇぇーー!!」


「今はやめて下さい!今は!!」


「市松ぅ!!佐吉ぃ!!止めるなぁぁ!!」


「「止めるわぁぁ!!」」


「ああーー!!うるさぁぁい!!

おみゃあたち、まとめて吹っ飛ばしたるわぁ!!」


完全にスイッチが入ってる。


(……あかん。)


茶々は一歩前へ出た。


「蜂須賀様。」


静かな声だが、はっきりと通るに、小六の手が止まる。


「……浅井の、一の姫様。」


茶々は、小六の両手を包み込むように手を添えた。


「お怒りは、ごもっともにございます。」


まず、肯定。


「ですが――」


ゆっくりと、視線を合わせる。


「先に、殿下と話をなされませ。」


一拍。


「煮るなり、焼くなり。皮を剥ぐなり。」


さらに一拍。


「大筒で吹き飛ばすなりは――」


茶々は笑みを濃くする。


「その後でも、遅くはございますまい。」


沈黙。


(言い方。)


(えげつな。)


(怖っ。)


周囲がドン引きする中――


「…………。」


小六は、しばらく茶々を見つめていた。


「……分かった。」


小六がようやく大筒から手を離す。


「止めたーーーーー!!!」


その場に鉢合わせた武将たち全員が叫んだ。


(浅井の一の姫……只者じゃない……。)


(この姫さん、凄っ!)


(これ、佐吉たちの喧嘩の仲裁役に使えるんちゃうか……?)


若武者たちの評価が、一気に跳ね上がる。


「ありがとうございます。」


茶々は一礼し、ゆっくりと振り返る。


「仲様、智様、北政所様。」


にこりと笑って。


「"()る"のは、後にいたしましょう。」


「……。」


「……。」


「……。」


「加藤殿と大谷殿は、殿下の手当てを。」


「「はっ!!」」


ようやく、秀吉救出作戦が開始された。


(……さて。)


茶々は、静かに目を細める。


(ここからが、本番ね。)



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