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人生五度目。浅井茶々は遂に開き直った〜今度こそ、生き残らせてもらいます!〜  作者: 奈羅
第七章 戦場は再び上方へ〜茶々、江戸帰還の僅か一年で再出荷される〜
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天下人、妻二人と妹に締め上げられる

茶々が家康の私室(という名の研究室)に押し掛けた翌日。


茶々は嬉しそうに昨日の出来事を、旭に話していた。


「大殿の薬部屋、とても面白うございました〜。」


「あらそう〜。私も顔出してみようかねぇ。」


側に控える西郡殿は、ふと思う。


(伏見、大丈夫かな?)


「失礼いたします。」


伏見屋敷の侍女がすっと入って来た。


「太閤殿下より。」


旭の表情は途端に固まる。


侍女から文を受け取り、開く。


「挨拶に来い……やって。」


茶々はキョトンとした。


(……アンタ淀城におるんちゃうんかい。)


どうにか日程を調整し、伏見城へ登城する。


通された部屋の上座。


そこにいたのは、秀吉は寧々に膝枕をされ、さらに竜子の手を握っていた。


(……は?……何してんだぁ!?あのセクハラ親父っ!!)


思わず蹴り飛ばしに行きかけるが、旭のこめかみに浮かぶ青筋と、寧々と竜子の“死んだ目”を見て、どうにか踏みとどまる。


旭が一歩前へ出た。


「太閤殿下、北政所様、若政所様におかれましてはご機嫌麗しゅう。」


完全に棒読みだった。茶々もそれに倣い、頭を垂れる。


「なんじゃあ旭〜。そんな他人行儀に〜。」


能天気な声に、茶々はイラッとした。


「おみゃあは儂の妹だでな〜。もっと気楽にせぃ。」


旭の中で、何かが確実に切れた。


「いかに兄妹と申せど、殿下は太閤。わたくしは徳川内府の妻にございます。

豊臣五人の衆の妻として、当然の振る舞いにございます。」


感情は、一切乗っていなかった。

隣で頭を下げる茶々は、内心冷や汗である。


「まぁまぁ、固いこと言わずによぉ。面を上げぇや。」


「「はっ。」」


旭に続いて顔を上げるが、茶々は視線を畳に落としたまま。


(顔見たら蹴る。)


完全に臨戦態勢である。


「お茶々は良え女になったのぉ〜。」


突然そう声を掛けられ、空気が止まる。


「備前守様とお市様に似て、良え具合になっとるわ〜。」


一拍。


「「…………あ゛あ゛ん??」」


旭と茶々の声が重なった。


「お茶々〜、こっち来て顔見せてくれんか〜?」


手招きされたその瞬間、二人の中で何かが完全に切れた。


「……御台様。」


茶々が静かに言う。


「太閤殿下は、もうおボケになられたのでしょうかぁ?」


「そうやもしれぬなぁ。」


旭も笑顔で応じる。


「訳の分からぬことばかり申されておるわ。

箕輪にも聞こえておるということは……。

妾の耳が可笑しゅうなったわけではないな。」


笑顔のままだったが、一瞬で二人とも真顔になる。


「旭様。」


「ん?」


「サルの息の根、止めてきていいですか?」


「……ちょっと待ちぃ。」


旭は立ち上がり、廊下に向かって叫んだ。


「お品ぁぁぁぁ!!お元ぉぉぉ!!」


廊下の向こうから即答が返る。


「「はいっ!」」


「今すぐ徳川邸戻って、私とお茶々の薙刀、持って来てぇぇぇ!!」


——場の空気が、凍り付いた。


「な、なんじゃあ?旭よぉ、いきなり……」


「娘が手籠めにされようとしてんのに!!

黙っとる母親がおるかぁぁぁぁあああーーーっっ!!!」


旭の怒声が、部屋を叩き割った。

そして、旭の飛び蹴りが容赦なく秀吉の顔面に炸裂、綺麗に入った。


それもそのはず。左右から、がっちりと寧々と竜子が秀吉を固定していたからだ。


「む、むすめて——」


「お茶々に決まっとるやないのっ!!」


旭は一歩も引かない。


「お茶々は、私とウチの人の養女や!!

私にとっては、阿古とおんなじだでぇ!!私の娘だでっっ!!」


その言葉に、茶々は一瞬だけ息を呑んだ。


(……。やば、今のはちょっと……。いや、かなり嬉しい。)


だが、顔には出さない。


「自分の娘が!!こんな女狂いの毒牙にかかるのを!!」


旭の拳が振り下ろされる。


「黙って見てられるかぁぁぁっ!!」


——ゴッ!!と、再び鈍い音が響く。


それでも寧々と竜子は、びくともしない。むしろ、逃がさないように締め上げている。


「淀殿だけじゃ飽き足らず!!」


さらに一発。


「ウチのお茶々に!!他の女にまで手ェ出そうとするなんて!!」


もう一発。


「この女狂いがぁぁぁっっ!!」


完全にサンドバッグである。


「ちょっ……旭っ……!!痛い痛い痛いっ!!」


秀吉、完全に被害者ポジション。


「寧々ぇぇ!!竜子ぉ!!離さんかぁぁっ!!」


「離すわけなかろうが!!」


寧々、即答。


「旭殿がここまで怒るのも当然だでなぁ!」


「私も……。」


竜子が静かに続ける。


「目の前で"妹"を口説かれては、良い気はいたしませぬ。」


——逃げ場、ゼロ。


茶々はその様子を見ながら、行き場を失っていた怒りが、すーっと消えていくのを感じた。


(……あ、もういいや。これ、私が出る幕ないわ。)


「箕輪様、薙刀をお持ちしました。」


「早ぁっ!!」


思わず素で突っ込む。お品とお元は、仕事が早すぎる。


「……あ〜、これは私が預かっとくわ。」


茶々は薙刀を受け取り、軽く構え直す。


「二人とも、下がってなさい。」


「「はっ!」」


音もなく下がる二人。完全に“戦場の補給係”である。


一方、旭は一通り殴り終えたのか、大きく息を吐いた。


「……はぁーーーっ。」


そして、何事もなかったかのように茶々の元へ戻ってくる。


その横には、しっかりと薙刀。完全に“次も行けます”の構えである。


上座を見れば、ボロボロの秀吉。

そして……。それを、ゴミを見る目で見下ろす寧々と竜子。


(……ふふん。)


茶々は小さく笑った。


(いい気味だわ。)

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― 新着の感想 ―
ギャグキャラ補正のおかげでどんだけ殴る蹴るしても死ななさそうな太閤様、100話記念にいつもより多目のフルボッコでも全然びくともしてなさそうでもう森を越えてジャングルだわ…………
祝・百話
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