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父に頼まれて契約結婚することになりましたが……どうやら退屈する暇もなさそうです!  作者: ゆずこしょう
捕縛。

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捕縛。

白煙灯が上がっているところを見ると、どうやら無事に作戦が開始されたようだ。


その間に私とディー、クレソン、バジル騎士団長は、アニエスとクリストフが逃げそうなところに先回りをしていた。


森の中を馬で走ったからドロドロである。


二人揃って高笑いしているところを見るに、もう全て終わったつもりでいるようだ。


油断している時が一番捕まえやすいとよく言うが、まさにそのとおりである。


私たちは足音を出さないよう気をつけながら、二人に声をかける。


「……それで、どちらに逃げるおつもりでしょうか?」


笑っていた人たちが壊れたブリキの人形のように、ギギギギと首をこちらに向けた。


ニコリと笑顔を向けると、サッと方向を向き直り、走り出した。


しかし、こちらには騎士団長がいる。


騎士団長は二人を追いかけて、背負い投げをした。


しかも二人一遍に……。


「「いたぁぁぁ!!!」」


私たちは騎士団長を追いかけてから、二人に声をかける。


「それで……どちらに逃げるおつもりだったんですか?」


「いやぁ……あははははは」


笑って誤魔化そうとしても、そうはいかない。


「お二人には大事な大事な恋人がいらっしゃったじゃないですか? もしかして二股されてたんですか?」


「いや、俺はこんなおばさん知らない。一人で歩いていたらここに連れてこられたんだ……だから助けてくれ!!!」


「って言ってますけど……?」


アニエスの方を見てみると、アニエスは何が起きているのか理解できていないのか、放心していた。

おばさんという言葉にショックを受けたのだろうか……。でも私が見てもただのおばさんにしか見えない。白髪もあるし顔にシワやシミもある……腰も少し曲がってるし……。むしろ見る人によってはおばあちゃんだろうか……。


もしかしたら昔は綺麗な人だったのかもしれないけど……。


「ふ、ふ、ふざけるんじゃないわよ! 私だってこんな若造! こっちから願い下げよ!!!」


ふむ……若造って……ジェラールはその若造より若いですけどね。


「なるほどなるほど……最近この辺では盗難が相次いでましてね。念のため……そちらの馬車に入っているものを見せていただいてもよろしいでしょうか?」


二人は顔を見合わせてニヤリと笑った。

いやいや、知らない同士なら顔を見合わせたりしないでしょうよ……。しかもその笑顔……何かありますって言っているようなものだ。


「分かりました。心ゆくまで見てください」


二人の顔を見るに、金目のものは何かに変えて持ってきている可能性が高そうだ。


私たちは一箱一箱確認をしていく。


「金目のものはないぞ!!!」


「こちらもただの布です!!!」


「こちらも食料のようですね……」


やはり正解だったようだ。しかし残念だったね。これで逃げられると思っているのであれば、お門違いもいいところである。


まぁ、逃げられると思っているようだけど。


「私は商人だからね。商売道具を運んでいただけさ。それでは失礼するよ」


クリストフは笑顔でこちらに挨拶すると、馬車に乗って走り出した……。


つもりだった……。


「はぁーい! ストップです! こちらは高値で取引されている胡椒ですね。二箱あればダイヤ何個分になるか……あっ! こちらの布もかなり高価な絹ですね……軽く金貨百枚は超えるでしょうか。それにぃ……この砂糖。貴族の間でも高価なものです。よくこんなにたくさん手に入れられましたね。総額、こちらにある商品で……金貨千枚くらいでしょうか」


ざっと計算して金額を伝えると、二人の顔がまた真っ青に変わる。


「これだけの量を手に入れるとなると……相当な金額の用意が必要でしょう。バンギー二商会で購入することは今の売上では難しいはずですが……それと……」


胡椒と砂糖の中に手を突っ込んでみると、棒金がいくつか出てくる。


「こちらは一体なんでしょうか?」


ニコリと笑うと、二人はその場でぺたりと尻もちをついて座った。


「ここにある金額と、貴女方が搾取した五年分の金額が合致したら……どういうことが分かりますね?」


二人がこくりと頷く。


「大丈夫ですよ? 金額が違えばすぐに解放されますから」


まぁ、解放される頃にはクリスティーナの子供が見つかり、ジェラールも正気に戻っている可能性が高いだろう。


二人は金額がそもそも合わないことを知っているのか、逃げられると思っているのか、ニコニコしている。


でも残念……だって、もう一つの馬車も恐らく……。


赤い白煙灯が上がる。


「クスッ……」


「なななな何がおかしいんだ!!」


「申し訳ございません。どうやら誰かが噂しているようです」


赤い白煙灯は二人の仲間を捕らえた合図だ。


騎士団員がうまくやってくれたのだろう。


二人が逃げ切れると思っているところ悪いが……もう二人の逃げ道は……ない……。


二人の余裕の笑みが絶望的な顔に変わると思うと、今から楽しみだ。


「ふん。お前のようなブスのことを噂するようなやついるんだな。よっぽどクリスティーナの方が可愛かったぜ!」


ありがとうございます。

ブスと言われれば落ち込むとでも思ったのでしょうが、その分私があなたの餌食になることはないと思いますので、安心してご飯が食べられます!


「そうね! あなた少し頭おかしいんじゃないかしら」


頭おかしい? それはそれは褒め言葉ですね! 頭おかしい人におかしいと言われるっていうことは、それ即ち正常ということですから……。


二人は口々に人のことを悪く言っていたが、痛くも痒くもなかった。そしてそのまま王都まで連行されることになったのである。


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