姉上は流石ですね。
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クリスティーナ視点。
ドレスの上に手紙が置いてある。
でもマーガレットは手紙について一切話に触れずにドレスの話を続けていた。
このように渡してくるということは監視などがいる可能性が高いということだろう。
クリストフは今朝から出掛けていて近くにいないから助かった。
アニエスの所にでも行っているのではないかと思う。
ドレスの代金やマーガレットにしてきた仕打ちを考えるとこれからいくら支払わなくてはならないのか……考えるだけで億劫になるけど……
どうせこのドレスに着けるようにお願いした宝石はむしり取って換金するのでしょうね……
いつものように……
せっかく綺麗なドレスに仕上がっているのに、着られないのが悲しい。
私は手紙をそっと手に取ってから話を続けた。
「とても素敵なドレスね! まだ仮縫いということだけれど……本当にデザイン通りでびっくりしちゃったわ。たまにデザイン通りにならないこととかもあるからドキドキしていたの……やっぱりマルグリット商会にお願いしてよかったわ!」
そしてマーガレットが帰ってから、部屋に戻る。
手紙の封を開くと何も書いていない真っ白な手紙が一枚入っていた。
何も書いていないけど、入れ間違えたのかしら……。
でもそんなに簡単なミスをマーガレットがするとは思えないけど……。
そう思って手紙を色々な角度から見ていると、柑橘系の香りが手紙から香ってきた。
「これは……私が以前書いた手紙と一緒……」
ロウソクに紙を近づけると、手紙に文字が浮き上がってくる。
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マーガレットへ
またドレスができた時にお持ちします。
それまでそのままで。
マルグリット
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とても簡潔に書いてあるけど、恐らく次にドレスを届けに来た時が決戦の時と言っているのかしら……。
意味もなくこれだけしか書かないなんてことはないだろう。
それに自分から下手に動くと邪魔になってしまう可能性もある。
私は大人しくマーガレットの言葉を信じてこのまま待つことにした。
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サフィール視点。
姉上に言われて、変装したけど本当にこれでバレないものなのだろうか。
姉上はいつも
「私たちの顔は地味だからバレることはないわ!」
って言うけど、俺はそんなこと思っていない。
そもそも姉上の髪の色はあまり見かけないオレンジだし、顔だって整っていると思う。
近くにディグレッド王太子殿下がいたから自分は平凡だと勘違いしているんだろうけど……。
おかげでいつも被害を受けるこちらの身にもなって欲しいものだ。
「義兄上。準備できましたよ。」
皮肉たっぷりに義兄上と呼ぶと、嬉しそうにこちらを見てくるディグレッド王太子殿下。
「あ、あにうえ!? そんな恥ずかしいじゃないか……」
そう言えば、この人には寧ろ褒め言葉だった……。
義兄上と呼んでそんな嬉しそうな顔をするのは貴方くらいですよ。
姉上との関係をこじらせにこじらせまくっているからか、ディー殿下はやたら家族のような呼び方をすると喜ぶ。
「それよりも俺はこれから戦場に向かうことになるんですが何かないんですかね? それよりも姉上はどちらに……」
「あぁ……マーガレットはな……あとは頼むわと言って出ていったよ。恐らく……クリスティーナのところに行ったんだろう。」
本当に大事なところは話さずに出かけてしまうのは昔から変わらないな……。
それでも憎めないのは姉だからなのか。
「そうですか。まぁいつも通りで安心しましたよ。俺がやることは上手く人混みに紛れ込んでからジェノベーゼ辺境伯領を目指すということですね。」
きっとジェノベーゼ辺境伯領の騎士団を呼んで一気に捕縛する流れなんだろうな。
王都まで行くより近いし……隣の領地に動いてもらうとバレる可能性もあるということだろう。
ジェノベーゼ辺境伯領からは確か別ルートで王都に行くこともできたはず……念のため父上にも手紙を出すか。
そう思っていると、ディグレッド王太子殿下がマーガレットから預かったと二通の手紙を出す。
一通はジェノベーゼ辺境伯家へ。もう一通は父上宛ての手紙のようだ。
「やはり姉上には敵いませんね。」
自分が思っていたことを平然と先回りして準備をしている姉上。
父上に話が行けば国王陛下にも話が行くと思っているんだろう。
「そうだろう! さすがマーガレットだよな。俺の妻はすごいんだよ。」
ディグレッド王太子殿下……。
それはあなたの妄想です。
一応姉上には旦那がいますよ……。
好きすぎてもう、頭がおかしくなってしまったんですね……。
「はい、そうですね……とりあえずまだ昼間なので夢から覚めてください。それでは俺は行ってきますので。」
夢の中にいるディグレッド王太子殿下のことはそのままにして、部屋を出てジェノベーゼ辺境伯領に向かった。
城壁の外に出た時は人の気配を感じなかったが、離れていくにつれて少しずつ人の気配がする。どうやら、タイミングを見計らっているようだ。
俺が近づいても誰も俺に攻撃してくる素振りはない。
盗賊の割には気配を隠すのが下手だなと思っていると一人の男が話しかけてきた。
「お、お前も公爵を見限ったのか!? それはそうだろうな……あんなに税金が上がっちゃ話にならねぇもんな!!」
話を聞いてみると……どうやら公爵に不満がある人たちも集まっているらしい……。
姉上。ここまで読んでいたんですか?
で、あればさすがですね。
俺は話を聞いてからジェノベーゼ辺境伯領にまた足を向けた。
誰にも襲われることなく無事ジェノベーゼ辺境伯領に着いた時には一日が過ぎていた。
はぁ……疲れた……




