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父に頼まれて契約結婚することになりましたが……どうやら退屈する暇もなさそうです!  作者: ゆずこしょう
作戦開始。

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木を隠すなら森の中作戦

ディーの所に行くと、ディーは険しい顔をしながら地図を見ていた。


恐らくフェザリス領の地図だろう。


「ディー。話は聞いたわ! 辺りを囲んでいるのはやっぱり……」


「あぁ、アニエスのようだ。あとサフィールが言うにはトマッティーノ前公爵もいるらしい。」


「えぇ……そのことについてはクレソンから聞いてる。それでこれからどうするつもり?」


昔からディーは集中すると口数が少なくなる。今も集中しているのだろう。普段のヘラヘラした感じは全く見えない。


いつもこのくらいやる気を持ってくれれば良いのにと思うけど、ディーはこのくらいが丁度いい気がする。

王族がずっと険しい顔をしていると、近寄りがたくなってしまうだろうし、意見も言いづらくなって、いつの間にか恐怖政治……なんて形になってしまいそうだ。


「んー……取り敢えずここで盗賊団を壊滅させるか退かさなければならないだろうな。領民に被害が出るのは避けたいが……」


「そうね……まずは領民の安全確保と、ディー。あなたの安全確保もしなくてはならないわ。」


ディーは王太子殿下。代わりはいないのだから守らなくてはならない。


ディーは特別扱いするなといつも怒るけど、こればかりは仕方がないのだ……。


「わかっている。取り敢えず……どの辺に敵が多いか含めて確認しなくては動けん。恐らく王都へ続く道は塞がれているだろうしな……。」


「現状、クリストフが何をしているかも気になるわね? クリスティーナは大丈夫かしら……。」


クリスティーナだってずっとこのまま生かされているということはないだろう。王女だし、子供の母でもある。マーガレットに成り代わることで何とか生きているだけだ。


恐らくアニエスもジェラールがいなくなればこの公爵領にいられなくなることはわかっているだろうし、マーガレットを隠れ蓑にしておくのが一番いいと考えているはずだ。


「今すぐに、どうこうされることはないさ。ここまでなかったんだからな。ただ、一度邸の中に入る必要はあるな。クレソン。老人の行方は掴めたか?」


「それが……まだですね。あと探せていないのは……邸だけなのですが……」


クリスティーナから手紙を預かることができる時点で邸の中にいる可能性が一番でしょう。


「そう言えばドレスが一着、仮縫いだけど形になっていたわ。それを持って邸に行ってきましょう。その時にクリスティーナに手紙を渡すわ……バレないようにあぶり出しの手紙にしましょう。モニカ、レモンか……ミカンのような柑橘系の果物あるかしら?」


この方法なら以前同じことをしていたし、クリスティーナも気づくだろう。あとは文字を見てバレないように当たり障りない言葉で頭文字を繋げるとわかるようにしましょうか。


「ございます。」


私が何をしたいのか理解してくれたようで急いで準備するモニカ。その間にスージーにもお使いを……


「スージー、貴方は……「分かっております! お義姉様! マルグリット商会の皆さんがいらっしゃる宿まで行ってまいりますね。サフィー……ついてきてちょうだい!」」


食い気味で鼻をフンフン言わせながらやる気を見せるスージー。空回りしなければいいけど……


スージーに腕を掴まれて「ちょ、なんで俺が!?」と言いながら渋々ついて行くサフィール。


とりあえずサフィールがついて行くようだし少し安心かしら。


二人に指示を出した後、私は一度宿に戻りマルグリットに変装をした。


***


ディグレッド視点。


マーガレットがクリスティーナとクリストフの様子を見てきてくれると言うので、こちらはこちらで動くことにした。


地図を見ていて思ったことがある。クリストフが邸を拠点にしているということは、もしかするとも邸にも仲間が入り込んでいる可能性があるということだ。

この領地の作りが半円の形になっていて、一番奥にフェザリス邸がある。もし半円部分を全て囲まれているとしたら……正直言って逃げ場がない状態だ。


「ここから王都までの道は一つしかない……団長、外の様子はどうだった?」


「囲まれてますね。見たところざっと二千人くらいいるでしょうか。よく集めたなと感心してしまったくらいです。」


二千人か……

団長が言うように二千人集めるのにも労力がいる。アニエスはずっとフェザリス家にいたくらいだし、別で動いたヤツがいるんだろうが……


おそらくクリストフだろうな。


商人の息子と言うだけあってやたらと口が回るから、言いくるめられた貴族連中もいそうだ。


特にトマッティーノだったか。あいつもそうだろう……。


「こっちは今何人だ。」


「王国騎士団で連れてきているのは精鋭の連中三十人くらいです。あとは……ここの領地の騎士団ですが、先ほど詰所を見に行ったら五十行くか行かないかでした。なんでも先日急に辞めた連中がいるそうです。」


「急に辞めたというのは……」


「えぇ。恐らく……あちらのお仲間さんかと思います。」


なるほどな。五年もあれば人を潜り込ませるなんてし放題だもんな。


団長とどのように逃げるかと考えているとマーガレットが変装した姿で戻ってきた。


「私にいい考えがあるわ! 木を隠すなら森の中と言うじゃない? なら人を隠すなら二千人の中よ!!」


ビシッと前に人差し指を出しながら決めポーズをしているつもりなんだろうが……


見た目と全く合っていないぞ、マーガレット……


まぁ、そんな姿も可愛いんだがな……。


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