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父に頼まれて契約結婚することになりましたが……どうやら退屈する暇もなさそうです!  作者: ゆずこしょう
波乱の幕開け?

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恋愛とは難しい。

ディーたちの泊まっている宿に向かっていると、一人のご老人に声をかけられた。


「あのぉぉ……貴方はマルグリット商会のかたですかのぉ?」


確かに、まだマルグリットとしての格好で歩いているけれど、私のことを知る人なんてほとんどいないだろう。商会の名前は有名になってきていても、自分自身のことは外部に漏らすことはしていない。一応貴族だし……。


ということは、フェザリス公爵邸の使いの人だろうか。


「はい……そうですが……何かご用ですか?」


「いえね。こちらをマーガレット様から受け取りまして……」


ご老人が持っているのは、一通の手紙のようだ。


「マーガレット様からですか……後で確認してみます」


「お願いします……くれぐれも誰にも見つからないように……それと、私が来たことは内緒にしてください」


それだけ言うと、ご老人はよろよろしながら帰って行った。


あんな状態で働けるのだろうか。無事に家までたどり着ければいいけど……。


とりあえず、今はアニエスが向かってきているというところが一番の問題なため、私は急いでディーのところへ向かった。


ディーの部屋の前に着くと、ノックをしてから入る。


「ディー、話があるんだけ……あ、着替え中だった? ごめんなさい」


「い、いや……大丈夫だ。それで話って?」


普通の女の子なら「きゃー!!」って言うのがお約束なのだろうが、子供のときから一緒にいるからか、そんなことで動じることはない。


別にディーに魅力がないとか、そういうことを言っているわけではないのよ……。

そうね……サフィールやお父様に感じる感覚というのかしら。いて当たり前みたいな……一心同体的な、そんな感じというか。そんな感じなのよね。


「そうだった! アニエスってジェラールの恋人が、フェザリス領に向かっているようなのよ」


「なに!? ジェラールも一緒にか?」


私の言葉に、ディーも少しびっくりしているようだ。


「話を聞いたところによると、ジェラールは来ていないみたい。あんなに家の中ではラブラブなのに、一緒に来ないのが不思議よね……」


普通だったら、二人で旅行を楽しみたいとかになるものじゃないだろうか。それがアニエスだけで来るって……何かありますよと言っているようなものだ。


それによくよく考えれば、王都周辺でさえ出かけることすらしなかった二人だ。

好きなら相手の年齢なんて関係ないだろうし、一緒に色々なところに行きたいと思うもの……だと思う。恋愛したことがない私にはわからないけれど。


「そうだな……」


「ディーだったら、好きな女の子と一緒にデートとかしたいものなの?」


ディーも王太子殿下ではあるが、今までに好きな人の一人や二人いたことがあるだろうと思って、参考までに聞いてみる。


「そ、そりゃ俺だって(お前となら)色々なところに行きたいさ。なかなかうまくはいかないがな」


「そうなのね……ディーも好きな人がいたのね!」


「あ、あぁ……(お前と)一緒に来れてるし、大丈夫だ」


ディーがここに来た理由は、クリスティーナを探す名目だけじゃなく、自分の好きな人と一緒に来たかったからなのね! でも、スージーはサフィールといい感じだし……。


もしかして、モニカとかかしら。

モニカも昔から私のお付きでよく一緒に遊んでいたし、その可能性が高そうね。


でも、侍女と王太子かぁ……かなり険しい恋愛になりそうね。


「そうなのね! 一緒に来れて良かったじゃない。それで、先ほどの話だけど……」


「あ、あぁ、アニエスだったな。父上の話だと、昔、盗賊団の元締めだったそうだ。名前が一緒というだけの可能性もあるそうだが」


アニエスという名前。平民であれば、そこまで珍しい名前というわけでもないだろう。


「昔、盗賊団ってことは結構歳いってるんじゃない!? ジェラールと一緒にいるアニエスも結構年を取っていて、お父様たちとそんなに変わらない年代なのよ……」


「年齢は父上に聞いてみないと分からないが、マーガレットの父上とそんなに変わらないなら、あり得なくはないな……この件はもう一度聞いてみるよ。それよりも、マーガレットも気をつけて行動しろよ? もし盗賊が関わっているのであれば……」


盗賊が関わっているのであれば危ないだろうけど、常に護身用の短剣は持っているし、大きな音が出る笛も首からかけている。誰もネックレスだと思って気づかないんだけど、これがまた防犯にとてもおすすめだ。ちなみに、うちの商品で、女性の間ではかなり人気の高い商品になっている。


「わかっている。気をつけるから……それと、先ほど外で手紙を預かったのよ……封筒に名前は書いていないんだけど……どうやらフェザリス邸にいる誰かみたいなの」


先ほどもらった手紙をディーの前に出すと、ディーは手紙の封をためらうことなく切った。


そして、手紙を読み始めてから少しして、何かに気づいたようだ。


「この手紙……クリスティーナからじゃないか……」


「ええ!? まさかぁ……」


結婚式であれだけのことをしたのに、どの面下げて手紙なんか書けるというのか。私もディーが読んでいる手紙をのぞいた。


そこには、今までのこと。なぜ結婚式であんなことをしたのか、そして帳簿のありかまで書いてあった……。


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