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父に頼まれて契約結婚することになりましたが……どうやら退屈する暇もなさそうです!  作者: ゆずこしょう
波乱の幕開け?

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そのお金……どこから捻出されるのでしょう。

マルグリットとして通い始めて一週間が経った。


この一週間で気づいたことと言えば、クリスティーナが以前よりも穏やかになったということだろうか。


王宮にいるときは、わがままを言っては周りを困らせ、自分の思い通りにならなければ癇癪を起こす。そんな感じだったのだが、今は癇癪を起こす素振りが一切ない。


「名前が変わったことで中身も入れ替わった……とか……? それはないわね」


侍女たちの様子を見ても、クリスティーナに怯えている様子は見られない。むしろ、嬉々としてクリスティーナの言うことを聞いている気がする。


主人が五年間一度も来なかったということは、邸で働く人からしたら寂しかったのかもしれないけど……。


あと、気づいたことと言えば……。


王都の邸と違って、高価な物がたくさん置いてあるということだ。絵画や楽器類、置物に至るまで綺麗に飾られている。


鑑定ができるわけではないから、いくらくらいの物か、何年前の物かなど詳しいことは分からないけど、贋作でなければ、相当な金額になることだろう。


もう一つ、気になったことがある……。


なんと、子供の泣き声が一切聞こえないのだ。


クリスティーナのお腹を見るに、子供はもう生まれているのではないかと思うのだけど……。


私がこちらに来ている時間帯的に、毎日眠っているということは考えにくいだろう。


今日も一度も子供の話は出てこない……。


不思議だ。


「マーガレット様はお一人で領地にいらしているんですよね。結婚したばかりなのに、寂しくはないのですか?」


「えぇ。寂しくないわ。皆優しくしてくれるもの。王都にいればグチグチ小言ばかり言われるから疲れちゃうのよね。私にはここの暮らしが合っているみたい」


小言ばかり……それは実の母親のことを言っているのだろうか。


王妃様は貴方を立派な淑女にしようと、どこに出しても恥ずかしくない女性にしようとしていただけですよ……。


「そうなんですね。確かにフェザリス領はとてもいい領地ですよねぇ。王都にいると、皆さん忙しないというか……ドレスのデザインを描くときは王都から出た方がいい案が思い浮かぶんですよぉ……。ドレスのデザインを何種類か作ってみましたので、ご確認ください」


当たり障りのない返答をしてから、デザインしたドレスをいくつか出す。


「まぁ! とても素敵ね。全部欲しいくらいよ!!」


目をキラキラさせながら話すクリスティーナを見て、綺麗なものや可愛いものが好きなのは昔から変わらないんだなと思った。


ディーの妹だし、小さい頃から全く関わりがないのかと言ったら嘘になる。ただ、昔からお茶会に行くよりも勉強や剣の稽古をするのが好きだった私は、クリスティーナと話が合わなかった……。


そんな私がドレスのデザインをしているのだから、世も末である。


「そう言ってもらえるととても嬉しいです。マーガレット様のことを考えて描いた甲斐がありました。もちろん、全て作成も可能ですが……いかがいたしますか?」


「そうね……今回は三着お願いするわ! 結婚してから全然会えていないんだもの。旦那様もそのくらいなら許してくれるわ!」


そのくらいなら許してくれるって……。


三着も作るお金はあるのだろうか。まぁ、こちらとしては売り上げが増えてありがとう! という感じだけど……。


「承知いたしました。今回はお待たせしてしまったので、旦那様用のスーツもセットで描いてみたのですが……いかがでしょうか? あまり男性物は描かないのですが……」


これで目に留まれば、今後商会でも流行るのではないかと踏んでいる。敵でも味方でも、お金になるならなんでも使うのがマーガレット流だ。


「デザインは三つほどなんですが、一つ目はドレスと同じ色で統一したものです。こちらはドレスの色によって少し派手と感じるかもしれません。二つ目は裏地などを同じ布で描いてみました。裏地が見えたときにペアと分かるようになっております。そして三つ目はドレスと同系色ではあるものの、色を薄めにしています。その分、裏地を同じ布になるようにしました」


三つのデザイン画を見せながら簡単に説明していくと、クリスティーナは興味津々に話を聞いていく。


「クリストフ。どうかしら? 私はお揃いってあまりしたことがないから嬉しいんだけれど、旦那様は嫌がらないと思う? 男性側の意見として、貴方の意見を聞かせてちょうだい」


やはり、クリストフにここで話を振るのか。他にジェラールのことを知っている人はたくさんいるだろうに……。


周りの人たちは、これが当たり前なのか、気にも留めていない。


「そうですね……一つ目は恥ずかしいですが、二つ目と三つ目のデザインであれば喜ぶのではないでしょうか。ただ、ドレスもそうですが……もう少し宝石とかがついていると華やかになると思います」


宝石ですかぁ!! それはかなりお値段が張りますが、大丈夫なのでしょうか?


そもそも王都の屋敷を見るに、そんなお金があるようには見えないのですが……。


最悪、フェザリス家からお金が回収できないのであれば、バンギー二商会からいただきましょう。


「確かにそうね……マルグリット。もう少し宝石とかを使ったものを作成できるかしら。こちらのデザインに合うものをお願い」


ドレスのデザインを三着、そしてスーツのデザインを二着、目の前に置いてきた。


「もちろんでございます。ただ、宝石を使うとなると金額も上がってしまいますが、大丈夫ですか?」


「えぇ。なんて言ったって公爵家よ。安心してちょうだい」


なんて言ったって公爵家……。


その公爵家が減額申請をしていることは知っていますか……。


王都の屋敷は幽霊屋敷だと知っていますか……。


ただ、爵位を持っているだけの公爵家だと思いますが……。


そんな言葉が頭をよぎったが、飲み込んで、私は笑顔で、


「承知いたしました。こちらのデザインで再度デザイン画を作成しますので、また三日後に来ますね!」


と言って邸を出た。


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