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父に頼まれて契約結婚することになりましたが……どうやら退屈する暇もなさそうです!  作者: ゆずこしょう
ドッペルゲンガー。

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21/23

どうやって邸に入るか考えます。

宿に戻ると、これからのことについて話し合った。正直、このまま屋敷の中に入れないとなると……何もできずに帰ることになってしまう。


「これは……また、メイドになるしかないかしら……」


「確かにメイドになるのが一番中の様子を探れるので手っ取り早いですが……そんな都合よくメイドを募集しているものですかね……」


確かにモニカの言う通りだ。外から見ただけだけど、庭の手入れも行き届いていたし、門兵もきちんと仕事をしていた……ように思う。


あと潜り込めるとしたら……商人として入るかだけど……。


「マルグリットはマーガレットとは気づかれていない?」


「いつも変装していましたし、気づかれてはいないかと思います」


以前、クリスティーナ様がマルグリット商会のドレスが欲しいと言っていたのを思い出した。


ウェディングドレスもマルグリット商会で作ったものがいいと駄々をこねていたけど、「王族だろうが関係ありません。順番は守ってください」と突き返したのだった。


「いいこと思いついたわ!! 私がマルグリットとして入ればいいのよ!」


「「「「え? えぇぇぇぇ!?」」」」


そんな大声で叫ばなくても聞こえているっていうのに……。


私は両手で耳を押さえながら話を続けた。


「元々、結婚式のためにドレスを予約しようとしていたのだけど、順番待ちだったから、結婚式に間に合わなかったの。クリスティーナ様がドレスを頼んでいようが、今のフェザリス公爵夫人は私。フェザリス公爵夫人として予約していたら……?」


「姉上が予約したも同然ということですか……?」


サフィールの言葉に笑顔で頷く。


「そういうこと! たまたまフェザリス領に用があった私は、マーガレット様がここにいることを知った……そして思い出した。『そういえばフェザリス公爵家でドレスを予約してくれていたな……』って……」


元々、ドレス一着を作るには時間がかかる。


お客様の要望を聞いて、最高の一着を作るためだ。


「全てはお客様のために。お客様が増えれば、おのずと金貨ちゃんは増えていく!」


これが私のモットーだ。


「そのままですけどね……」


「ただお金が見たいだけだろう……」


「お義姉様、かっこいいです……」


「さすがマーガレットだ。愛している……」


私の意識が宇宙に飛んでいっている間、ひどい言われようだったのは、なんとなく皆の顔を見ればわかるけど、私はそんなの気にしない!


「この際だもの。たーっぷり時間をかけてドレスを作りましょう」


そのためにも、紹介のメンバーを数人呼ばなくてはならない。


早く来てもらうにも、一週間くらいはかかるだろう。


私は急いで手紙を書いて送った。


***


ディグレッド視点。


なんとなくだが、家の中に入れないことは予想がついていた。


クリスティーナは根っからの姫だ。汚れたことはやりたくない。自分の思い通りにならなければ気が済まない。少しでも逆らえば、侍女だけでなく教育係までもクビにする徹底ぶり。


父上や母上がいくら言っても、話を聞こうともしない。


お金を稼ぐということも、きっと知らないだろう。


そんな女が平民と同じ暮らしをできるか……?


いや、できるわけがない。


そう思ったら、おのずと答えが見えていた。


まさかマーガレットとして生活しているとは思わなかったが……。


「じゃあ、マーガレットがマルグリットになっている間、俺たちはクリストフについて調べるか……。あと……変な臭いのする薬についても調べておきたい」


「変な薬って!? もしかして、あの臭い匂いのお香!?」


サフィール、クレソンと今後の動きについて話していると、急にマーガレットが話に入ってくる。


なんだかマーガレットがこんなに近くにいるなんて、夢を見ているみたいだ。


それにいい匂いもする。これは最近流行っている香水か何かだろうか。ふわりと香る金木犀の香りがマーガレットに似合っている。


マーガレットを見つめていると、大きく咳払いをする声が聞こえた。


どうやらクレソンのようだ。


今はやめてほしい……。せっかくマーガレットを堪能しているのだ。邪魔しないでいただきたい……。


そう思っていると、頭に大きな衝撃が加わった……。


「ちょっと、ディー!! 聞いてる?」


「あ、あぁ……すまない。それで何だっけ?」


「臭いのことよ! あの臭いお香!!」


せっかくマーガレットの香りを堪能していたというのに……。


「そうだ……惚れ薬とか、そういった危ない薬じゃないかと思って念のため調べているんだ。五年も公爵が来ていないところは、悪いことをするのにも都合がいいからな……。だから、念のため調べようと……」


それだけ話すと、マーガレットはこの場を離れてモニカの元に戻った。モニカに何か頼んでいるようだ。


モニカはペンと紙を持ってきたようで、それを受け取るとマーガレットが書き出した。


「ディー……これは私が感じた臭いよ。そのせいで、もしフェザリス公爵もおかしくなっているのなら、治すチャンスかもしれないし、頼んだわ!」


「フェザリス公爵の……ため……?」


「ええ。そうよ。(正気に)戻ってもらわないと、困るじゃない。(契約結婚でも三年間は)一緒に暮らすんだもの……これからのことを考えるとね……(正気じゃないと慰謝料ももらえないし……)」


まさかマーガレットもフェザリスのことが好きなのか!?


「もしかして好きなのか……?」


「ええ。好きよ!(お金が……)」


マーガレットはそれだけ渡すと、そそくさと部屋に戻っていった。


その後、クレソンとサフィールが何か言っていたが、全く頭に入ってこなかった……。


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