第五夜 ②ー3
…当然か。主人公の危機だものね。ゲームでも火の中に飛び込んで助けに行ってたっけ。
その時はエラが犯人だなんて展開にはなっていなかった。だからこれはゲームに無かった展開。この先どうなるかは判るわけがない。
…だとしても…!
エラは握り拳を作って覚悟を決める。
「アイザック、もういいです」
ザッ…!と真っ直ぐに前を見据えてエラがアイザックの前に立つ。その姿に目を見開いて驚いた。それはアイザックだけではなく、イオニコフとイドラ、取り巻く生徒達も同じだった。彼らがよく知るエラ・エーデルワイスその人ではあり得ない行動だったからだ。
「エーデルワイス…お前…」
「ありがとうございます、アイザック。でも、濡れ衣は自分で晴らします」
そう言うエラにアイザックは慌てた。
「自分で…ってどうやってだよ?あいつらはお前の言うことなんて…」
なんとか説得しようとするアイザックの唇にエラは人差し指をそっと当てて口を封じる。その時に見せた彼女の表情は「心配はいらない」と自身に満ちたものだった。それこそ今までのエラが見せたことのない顔。
アイザックにはそんな彼女が少しかっこよく見えた。
「疑いは晴らせばいい。アイザック、あなたも見たのでは?あの炎が魔法で消えなかったことを」
「あ、ああ…そりゃ、見たけど」
「私はその理由がわかったと思いますわ」
「…!エラ…!!それは本当なのかい!?」
エラの言葉にイオニコフが飛び付いた。その勢いに少々驚いたがエラはそんなイオニコフをするりと避けて燃え盛る森の中へと走り出す。
突然のその行動に誰もが驚いて咄嗟に動けなかった。その隙にエラは生徒達の間をすり抜けて森の中へと入っていった。その背中に非難の声が投げられていることに耳を塞いで。




