月色の髪
リゾは力を使い果たしたようだった。さすがに三日雨を降らせるのは無理がある。
泉の前で倒れているリゾは生きているのか、クスナには確認できなかった。
クスナも動けなかった。
それにこの感じ、泉の底にある水(魔)脈の影響だろう、頭が割れるように痛かった。
夜になっていた。
クスナはぼんやりと月を見た。
きれいな満月だった。
視界の端に何か光るものが見えた。何かが近づいてくる。
そちらに顔を向けると、キョウだった。
灰色のはずの髪が、月明かりの下、また金色に輝いている。
キョウは神々しい光のようなものに包まれていた。
――本当にキョウか?
キョウは倒れているリゾの傍にしゃがみ、回復魔法を唱えた。
倒れていたリゾは上半身を起こした。
リゾが相当驚いてるように見えるのは、キョウの髪の色のせいだろうか?
「……リゾ」
キョウはたどたどしい口調で、リゾの名前を呼んだ。
「……?」
「リゾ」
と語ってるいるのは、キョウだがその口調は少女のようだった。
「ありがとう。あなたは生きて……」
「……レン?…様?」
「大好き。幸せになってね」
「………」
リゾはキョウの手を握り下を向いた。
その体が震えていた。泣いているようだ。
キョウは、小さい子をあやすように、リゾの頭をなでていた。
* * *
「まったく、無茶するね」
キョウは、クスナを背負い夜の砂漠を歩いていた。
その先導するのは環境維持ロボだ。黒い水晶のロボだった。
「病み上がりのあなたに言われたくないです」
「もう、私は魔法が使えないから、回復させて上げられないよ」
そういうキョウの髪は灰色だった。
じゃあ、さっきリゾを回復したのは……?




