水脈
「大丈夫ですよ」
と、クスナは弱々しく返事する。
「私は息を吸うより簡単に自分を回復出来ますから」
人は時として疲労が度を超すと息を吸うのも辛い時がある。
「……強がり言っちゃって」
「それより、なぜ、あの場所がわかったんですか?」
足跡を辿って来たにしては、こんな夜に不自然だ。
「信じてもらえないかもしれないけど、夢にレンが出てきた。リゾを助けてって。で、あのロボットがいて、結界も開けてもらった」
果たして、環境維持ロボに結界を開ける力があるのだろうか?
クスナがその疑問を口にしようとすると頭痛がぶり返してきた。
体力も魔力も相当疲弊していた。
クスナはキョウの肩にがっくりと頭を落とし、目を閉じた。
キョウはクスナが眠ったと思った。
聞かせるでもなしに、キョウは語り出す。
「あの場所、思い出したんだ。
子どもの頃、遊んでたら、水が湧きだしてきて。だんだん草も生えてきて。
ファウと毎日そこに出かけるのが楽しみになってて…… そうしたら、ある時、長老にものすごい怒られて。
いつの間にかあそこは立ち入り禁止になってた。
いつしか泉は消えたから、泉が枯れて砂漠になってしまったと思い込んでた。
――でも、きっとあの人たちがあの場所を守ってくれてたんだ……」
「あなたが水脈を開いたんですか?」
と、クスナ。
「さあ?」
――キョウが水脈を開いた、クスナはそう確信していた……
* * *
「キョウ!」
キョウの家の前にファウが立っていた。
ファウはキョウを見つけると、駆け寄って来た。
「心配したでしょ! いなくならないでって約束したのに」
「……ごめん」
「導師も一緒?」
「………」
クスナはキョウの背中で眠っていた。




