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親友、限界です。  作者: アル治


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8/15

第8話  台風と夜の電話

いつも読んでいただきありがとうございます。

中間テスト最終日。

チャイムが鳴った瞬間。

教室中が歓声に包まれた。

「終わったぁぁぁ!!」

陽向が勢い良く立ち上がる

「生き返った……」

結菜がくすっと笑う。

「お疲れさま」

「結菜のおかげだよ」

陽向が素直に言う。

「ありがと」

結菜は少し照れたように笑った。

「ちゃんと頑張ったのは陽向だよ」

その時だった。

ゴロゴロ……

遠くで雷が鳴る。

窓の外を見ると、空はすっかり暗くなっていた。

「やば、台風近いんだっけ」

誰かが言う。

先生が教室に入ってきた。

「今日は早めに帰れよー」

だが。

下校時間。

外はすでに大雨だった。

「うわぁ……」

昇降口で陽向が空を見上げる。

バケツをひっくり返したような雨。

風も強い。

その少し離れた場所。

結菜が困った顔で空を見ていた。

傘はある。

でも。

この雨じゃ意味がない。

陽向は気づいて近づく。

「大丈夫か?」

「あ……うん」

結菜は少し困ったように笑う。

「でも、ちょっとすごいね」

陽向は少し考え。

自分の傘を広げた。

「一緒に帰る?」

結菜、停止。

「えっ」

「この雨だし」

「途中まででも」

結菜の頬が赤くなる。

そして。

小さく頷いた。

「……うん」

帰り道。

狭い傘の下。

距離が近い。

近すぎる。

肩が触れそうになるたび。

2人とも少し意識する。

「……」

「……」

会話が続かない。

静かな雨音だけが響く。

しばらくして。

結菜が小さく笑った。

「なんか、勉強会の時みたい」

陽向も少し笑う。

「あー……確かに」

思い出した瞬間。

2人とも赤くなる。

その時。

突風。

びゅうっ!

「きゃっ!」

結菜がよろける。

陽向は咄嗟に肩を抱き寄せた。

ぴたり。

完全に密着する。

「……」

「……」

結菜の顔がすぐ近くにある。

息がかかる距離。

陽向の心臓が跳ねた。

「ご、ごめん!」

慌てて離れる。

結菜も真っ赤だった。

「う、ううん……」

そのまま。

ぎこちない空気のまま別れた。

その夜。

台風はさらに強くなっていた。

窓を叩く雨音。

雷。

陽向はベッドに寝転がりながら、スマホを見ていた。

結菜とのトーク画面。

開いて。

閉じる。

開いて。

閉じる。

「……」

少し悩んで。

メッセージを送る。


『大丈夫?』

数秒後。

返信。


『うん!陽向は?』

『平気』

少し沈黙。

でも。

どちらも画面を閉じない。

すると。

結菜から着信。

陽向、停止。

「えっ」

慌てて出る。

「も、もしもし」

『あ、あの……』

結菜の声。

少しだけ緊張していた。

『なんか、文字だと変かなって』

陽向は少し笑う。

「俺も電話しようか迷ってた」

『ほんと?』

それだけで。

結菜の声が少し明るくなる。

そこから。

他愛ない話が続いた。

テストのこと。

体育祭のこと。

夏祭りのこと。

気づけば。

1時間以上経っていた。

「そろそろ寝る?」

陽向が聞く。

少し間が空く。

『……まだいい』

その一言に。

陽向の胸が少し熱くなる。

「俺も」

電話越しに。

小さく笑う声。

しばらく沈黙。

でも。

嫌じゃない。

むしろ心地よかった。

そして。

結菜が小さな声で言った。

『陽向の声、聞くと安心する』

陽向、停止。

「えっ」

『あっ……!』

結菜も自分で言って赤くなる。

『ち、違うの!その、台風でちょっと怖くて!』

陽向は少し笑った。

そして。

優しく言う。

「……そっか」

少しだけ間を置いて。

「俺も、結菜の声聞けて安心した」

電話の向こうで。

小さく息を呑む気配。

そして。

すごく小さな声。

『……うん』

翌朝。

台風一過。

青空。

登校した陽向と結菜は。

教室で目が合った。

「おはよう」

「お、おはよう」

少しぎこちない。

でも。

どこか嬉しそうだった。

廊下。

黒瀬が聞く。

「昨日どうだった」

陽向は少し照れながら答える。

「結菜と電話した」

黒瀬、停止。

(ヨシッ!)

同時刻。

白石も聞いていた。

「どうだった?」

結菜は真っ赤になりながら答える。

「……1時間くらい」

白石、停止。

(勝った)

そして。

その日の放課後。

陽向と結菜は。

普通に2人で帰っていた。

黒瀬と白石は、それぞれ遠くを見ながら思う。

「今回はさすがに決まる」

そう。

本気で信じていた。

今後もよろしくお願い致します。

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