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親友、限界です。  作者: アル治


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14/15

スピンオフ2  失恋同盟

スピンオフ2話になります。

放課後。

夕焼けに染まる帰り道。

紗奈は、ゆっくりと歩いていた。

「はぁぁぁぁ……」

大きなため息がこぼれる。

黒瀬に振られてから、数日。

まだ胸の奥が少し痛かった。

本当に好きだった。

話したことはほとんどない。

黒瀬のことを全部知っていたわけじゃない。

それでも。

あの時の、まっすぐな断り方。

誠実で、優しかった。

(絶対、いい人だったな……)

そんなことを考えるたび、

余計に切なくなる。

その少し後ろ。

同じように、ゆっくり歩く影があった。

悠斗だった。

目元が少し赤い。

泣いたことが分かるくらいに。

白石に振られた日のことを思い出していた。

誠実に断られた。

優しく。

ちゃんと向き合ってくれた。

だからこそ、

余計に忘れられない。

やがて2人は、同じ横断歩道で足を止めた。

赤信号。

何気なく前を見る。

その先。

少し離れた場所を歩く2つの背中。

陽向と結菜だった。

楽しそうに話しながら、並んで歩いている。

思わず。

2人の声がぴたりと重なった。

「陽向先輩」

「結菜先輩」

そして。

お互いの声に気づき、顔を上げる。

目が合った。

数秒の沈黙。

紗奈は悠斗の赤い目元を見る。

悠斗は紗奈のどこか沈んだ表情を見る。

そして。

また綺麗に言葉が重なった。

「失恋?」

「……っ!?」

2人同時に目を見開く。

「なんで分かったの!?」

「そっちこそ!?」

信号が青に変わる。

それでも二人はその場から動けなかった。

やがて。

どちらからともなく事情を話し始めた。

黒瀬のこと。

白石のこと。

どうして好きになったのか。

どう振られたのか。

全部話し終えた頃には、

2人とも吹き出していた。

「私たち、全く同じだね」

紗奈が笑う。

悠斗も苦笑した。

「ここまで一緒だと逆にすごい」

ひとしきり笑ったあと。

紗奈がぽつりと言う。

「……なんか笑ったらお腹空いた」

悠斗が目を瞬かせる。

「行く?」

「え?」

「やけ食い」

紗奈が少し悪戯っぽく笑った。

悠斗もつられて笑う。

「いいね」

「先輩を忘れられるくらい食べよう」

2人が向かったのは、食べ放題の焼肉店だった。

もちろん。

一番安いコース。

「中学生だからね」

紗奈が笑う。

「普段は来ないけど、今日は特別!」

悠斗も拳を握った。

そして。

2人は食べた。

肉。

ご飯。

サラダ。

ジュース。

デザート。

育ち盛りの2人は、

本気で食べ続けた。

しばらくして。

「やばい……動けない」

悠斗が椅子にもたれかかる。

紗奈もお腹を押さえながら笑った。

「私も……」

2人は顔を見合わせて、

同時に吹き出した。

結局。

帰り道はゆっくり歩くことになった。

それがきっかけだった。

次の日も。

その次の日も。

気づけば、2人で帰ることが増えていた。

最初は先輩の話ばかりしていた。

でも。

いつの間にか、その話はしなくなっていた。

好きなアニメ。

好きなお菓子。

見ているドラマ。

将来の夢。

話せば話すほど、気が合った。

帰り道にクレープを食べたり。

アイスを分け合ったり。

さすがに、もう焼肉はなかったけれど。

気づけば学校では、

こんな噂まで流れ始めていた。

「ねぇ、紗奈と悠斗って最近すごく仲良くない?」

でも。

当の本人たちは、まだ気づいていない。

これは、

失恋から始まった。

新しい恋の物語。

読んでいただきありがとうございます。

次で完結になります。よろしくお願い致します。

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