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親友、限界です。  作者: アル治


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スピンオフ最終話  4人のツッコミ

読んでいただきありがとうございます。

最終話になります。

黒瀬と白石は、いつの間にか2人で相談することが増えていた。

陽向と結菜をどうやってくっつけるか。

作戦会議。

放課後の教室。

帰り道。

時には休日。

2人で顔を合わせて話す時間は、自然と増えていった。

「陽向って甘いもの好きだよな」

「結菜は抹茶系が好きだったはず」

そんな話をしているうちに、

少しずつ自分たちの話も混ざるようになっていった。

「あのドラマの犯人、絶対医者だろ」

黒瀬が言う。

白石は首を振った。

「私は奥さんだと思う」

「いやいや、どう見ても医者だって」

「黒瀬って意外と単純ね」

「なんだと?」

そんなやり取りすら、楽しかった。

気づけば。

陽向と結菜抜きで会うことも少なくなかった。

作戦がバレないように、という理由で、

白石が黒瀬の家に行くことさえあった。

当然、噂は立つ。

「最近あの2人、仲良くない?」

「ずっと一緒にいるよね」

本人たちは否定しなかった。

否定する理由もなかった。

話していて楽しい。

価値観も合う。

一緒にいると落ち着く。

そしてある日。

黒瀬がぽつりと呟いた。

「俺……白石を好きになったかもしれない」

その言葉に、

白石は目を見開く。

「え……?」

顔が一気に赤くなる。

落ち着かない。

視線が泳ぐ。

黒瀬はそんな白石を見て、

少しだけ苦笑した。

「……一旦、距離を置こう」

「え?」

「俺たちは陽向と結菜を付き合わせるために動いてるんだ」

白石は小さく頷いた。

「……うん」

それから数日。

2人は少し距離を置いた。

けれど。

黒瀬は明らかに苛立っていた。

「最近イライラしてない?」

と陽向に言われるほどに。

結菜もまた、

白石の様子がおかしいことに気づいていた。

そしてその日の放課後。

黒瀬は陽向と別れるとすぐにスマホを取り出した。

白石にメールを送る。

すると同時に、

白石からもメッセージが届いた。

会えないかな?

黒瀬は思わず笑った。

(同じこと考えてたのか)

待ち合わせは、公園。

陽向たちとは逆方向だった。

「ごめん、待った?」

白石が息を整えながら言う。

「いや、大丈夫」

2人ともどこかそわそわしている。

先に口を開いたのは黒瀬だった。

「白石」

「うん」

「色々考えた」

黒瀬はまっすぐ白石を見る。

「このままだとダメだと思う」

「……うん」

「2人の話をちゃんと聞けない」

「作戦も考えられない」

白石は静かに頷く。

「だから」

黒瀬は深く息を吸った。

「この関係を終わらせなきゃいけないと思う」

白石の表情が曇る。

「……そうだよね」

その瞬間。

黒瀬は一歩近づいた。

「だから」

「俺と付き合ってくれ、白石」

「……え?」

白石が固まる。

黒瀬の顔は真っ赤だった。

「好きだ」

「離れて分かった」

「ずっと声が聞きたかった」

「顔が見たかった」

「陽向が結菜と楽しそうにしてると、嫉妬してた」

「白石が好きだ」

「付き合ってください」

白石の目に涙が浮かぶ。

「……私も」

「結菜に嫉妬してた」

「私の方こそ」

「付き合ってください」

夕焼けに染まる公園。

2人はようやく、気持ちに名前をつけた。

数日後。

2人はショッピングモールで初デートをしていた。

「ごめん、こんな近場で」

黒瀬が言う。

白石は笑う。

「いいよ。次は遠出ね」

「……善処します」

「ふふ、冗談」

その時。

目の前に、見覚えのある二人が現れた。

紗奈。

そして悠斗。

「え?」

「っ!」

「あっ」

一瞬で気まずい空気が流れる。

黒瀬がすぐに頭を下げた。

「ごめん」

「断ったのに、すぐこんなことになって」

紗奈は慌てて首を振った。

「違います!」

悠斗も続ける。

「俺たちも、その……」

4人は近くのテーブルに移動した。

少しの沈黙。

そして。

「実は私たちも付き合ってるんです」

紗奈が照れながら言う。

「え?」

黒瀬と白石が目を丸くする。

悠斗が苦笑した。

「失恋同盟が、こうなりました」

一瞬の静寂。

そして。

4人は同時に笑い出した。

その時だった。

ふと視線の先に、

見覚えのある背中が映る。

陽向と結菜。

黒瀬と白石が思わず身を隠す。

紗奈と悠斗もつられて隠れた。

「たまにはこういうところもいいね」

陽向が言う。

結菜が笑う。

「うん。私は陽向とならどこでも楽しいよ」

陽向も照れながら笑う。

「実は俺も」

4人が息を呑む。

ついに。

ついに来るか――

しかし。

陽向と結菜は満面の笑みで言った。

「やっぱり親友って最高だな!」

静寂。

そして次の瞬間。

黒瀬

白石

紗奈

悠斗

4人の声が完璧に重なった。

「「「「なんでだよぉぉぉー!!」」」」

ショッピングモールに響き渡る絶叫。

陽向と結菜は振り返る。

「なんか元気な人たちがいるね」

「ね」

2人はにこにこしながら歩いていった。

その気持ちに、まだ名前はつけられない。

“恋愛”という名前を。

けれど、きっといつか。

END

今まで読んでいただきありがとうございました。

楽しんでいただけたなら幸いです。ありがとうございました。

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