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親友、限界です。  作者: アル治


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11/15

第11話  修学旅行と京都の景色

いつも読んでいただきありがとうございます。


修学旅行2日目。

朝。

ホテル前には全員が集合していた。

今日はいよいよ自由行動の日。

班ごとに京都を巡る。

集合時間は午後四時。

それまでは完全自由だった。

移動にはバスと電車のフリーパス。

緊急時のみタクシーも許可されている。

先生達も各観光地に分散して見回るらしい。

陽向達の班は五人。

陽向、結菜、そしてクラスメイト三人。

予定は――

清水寺、嵐山、伏見稲荷。

王道の京都満喫コースだった。

「よっしゃぁぁ!」

陽向が拳を突き上げる。

「楽しもうぜ!」

結菜も笑顔で頷く。

「うん!」

他の3人も元気いっぱいだ。

事前にしっかり行き方を調べていたおかげで、移動もスムーズだった。

最初の目的地。

清水寺。

舞台から見下ろす京都の街並みに、全員が思わず息を呑む。

「うわぁ……」

結菜が目を輝かせる。

「高っ!」

陽向が身を乗り出しかける。

「危ないって!」

結菜が慌てて腕を引っ張る。

「おっと」

そのまま一瞬。

距離が近づく。

「……」

「……」

2人同時に顔を赤くして離れた。

「青春だなぁ」

後ろでクラスメイトがぼそっと呟く。

「聞こえてるぞ!」

陽向が振り返る。

みんなが笑った。

清水寺を後にし、

次は嵐山へ。

渡月橋。

竹林の小径。

川のせせらぎ。

どこを見ても絵になる景色だった。

「なんか空気まで違うね」

結菜が深呼吸する。

「京都って感じするよな」

陽向も周りを見渡す。

竹林の中を歩きながら、

みんなで写真を撮った。

「陽向、もっと笑って」

「笑ってるだろ!」

「顔固い!」

結菜に言われて、

陽向が無理やり笑顔を作る。

「変な顔」

「うるさい!」

また笑いが起こる。

昼食は嵐山の湯葉料理屋。

運ばれてきた料理を見て、

陽向が首をかしげた。

「なにこれ」

「湯葉だよ」

結菜が答える。

陽向は箸でそっと持ち上げた。

一口食べる。

「……!」

そして目を見開いた。

「なにこの牛乳の膜!うまっ!」

一瞬の静寂。

次の瞬間。

全員が吹き出した。

「牛乳の膜って!」

「言い方!」

「京都の人に怒られるぞ!」

陽向は慌てる。

「いや、褒めてる!めちゃくちゃうまい!」

さらに透明な関西風のうどんつゆを見て感動し。

「色薄いのに味ある!」

と騒ぎ。

終始にぎやかな昼食になった。

そして最後の目的地。

伏見稲荷。

朱色の千本鳥居。

幻想的な景色が続く。

その時。

陽向がふと思いついたように言った。

「なぁ」

「着物借りられるらしいぞ」

「え?」

「せっかくだし、みんなで着ようぜ!」

結菜と3人は顔を見合わせる。

そして。

「いいね!」

満場一致だった。

しばらくして。

全員着替えを終える。

そして現れた結菜を見た瞬間。

陽向は言葉を失った。

淡い色の着物。

まとめた髪。

少し恥ずかしそうに微笑む表情。

いつもの結菜なのに。

まるで別人みたいだった。

「どう……かな?」

結菜が尋ねる。

陽向の口がぱくぱく動く。

だが言葉にならない。

「おーい」

クラスメイトが肩を叩く。

「魂戻ってこーい」

「え、あ、いや、その……」

顔を真っ赤にしながら、

やっと絞り出した。

「……すごく似合ってる」

結菜も赤くなる。

「あ、ありがとう」

その後。

伏見稲荷をゆっくり巡る。

陽向はこっそり結菜を写真に収める。

結菜もまた。

陽向の横顔をそっと撮っていた。

それを見て、

クラスメイト3人はニヤニヤしている。

そして少し離れた場所。

2人の姿を見守る影があった。

黒瀬。

そして白石。

偶然。

最後の目的地が重なっていたのだ。

2人とも。

まるで我が子を見守る親のような顔をしている。

ふと。

視線を逸らした瞬間。

目が合う。

「……」

「……」

気まずい沈黙。

だが。

互いの視線の先は同じだった。

陽向と結菜。

楽しそうに並ぶ2人。

黒瀬が小さく眉をひそめる。

(まさか)

白石もわずかに目を細める。

(もしかして……)

だが。

何も言わない。

ただ静かに視線を逸らした。

夜。

ホテルへ戻る。

夕食。

お風呂。

そして自由時間。

陽向と結菜は自然に待ち合わせしていた。

人気の少ない休憩スペース。

窓の外には京都の夜景。

「楽しかったな」

陽向が言う。

結菜が頷く。

「うん」

「でも、明日で終わりか」

少し寂しそうな声。

結菜も小さく笑う。

「早かったね」

しばらく沈黙。

そして陽向が言った。

「結菜がいたから、すごく楽しかった」

結菜の頬が赤くなる。

「……私も」

少し照れながら。

続けた。

「陽向と一緒だったから」

陽向の顔も赤くなる。

「……そっか」

「うん」

なんだか胸が落ち着かない。

でも。

嫌じゃない。

やがて館内放送が流れる。

就寝時間が近い。

「そろそろ戻るか」

「うん」

「また明日」

「最後まで楽しもうね」

「おう」

どこか名残惜しさを感じながら。

2人はそれぞれの部屋へ戻った。

だが。

そこで待っていたのは――

男子部屋。

陽向が扉を開ける。

全員がこちらを向いた。

「おかえり」

妙に静かだ。

「……なに?」

次の瞬間。

全員が詰め寄った。

「結菜とどこまでいった!?」

「はぁ!?」

一方。

女子部屋でも。

結菜が同じように囲まれていた。

「で?」

「話しなさい」

「どこまで進んだの?」

「な、なにもないよ!」

その時。

廊下から先生の声。

「おーい、早く寝ろー」

全員が静かになる。

……が。

数秒後。

扉が少し開いた。

先生が顔を覗かせる。

そして真顔で。

「……で、陽向。どこまでいった?」

一瞬の沈黙。

次の瞬間。

部屋中が爆笑に包まれた。

「何にもないです!!」

陽向の叫びが、

夜のホテルに響いた。

京都の2日目は。

まだ少しだけ、

眠れそうになかった。

読んでいただきありがとうございます。

ラスト前楽しんでもらえてますか?

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