第8章 操られた駒
同時刻 工場内
工場内では、激しい戦闘が続いていた。
「大丈夫〜?ちょっと疲れてきたんじゃない?」
ウプシロンの猛攻をルーが受け続けている。
「くッ………」
(こいつ……自身の身体能力を上げるような真力を持っているのか…!)
「ルーさん!!」
美咲がウプシロンに向かい爪を立てて切り裂こうとするがいとも容易く腕を掴まれてしまった。
「うがっっ……!」
「美咲ッ…!」
美咲の体をそのまま上げていく。
「意外と体は頑丈だね〜」
ルーが彼の体にもう一度攻撃を加える。すると機械の配線の一部が切れ、彼は美咲の腕を離し頭を押さえる。
「後ろの……これを…壊して………!」
苦しそうな声で2人に訴える。
「どういうこと……?」
「とにかく後ろの装置だ。それが彼を制御しているのかもしれない…!」
「あっははは…弱点バレちゃったかぁ〜」
後ろに少しずつ下がりながら言う。
「まぁいいや、ここからが本番だよ」
壁の装置が起動し、彼に装備が転送される。長い銃身の銃、腕を覆うほどのシールド、そして背面の装置を覆うようにスラスターユニットが装着された。銃口は美咲の方を向いている。
「君たちには負けないよ」
赤いビームが発射される。美咲はそのビームを避けながら彼の方へ近づいていく。
ルーは、横から作り出した拳銃で彼の背中を狙い撃つ。
「2対1はズルいんじゃない〜?」
ルーに銃口を向ける。しかしその銃を美咲が彼の手から落とす。ウプシロンは、スラスターで上空に上がり足場に着地すると同時にシールド裏にあった薙刀を取り出す。刃の部分がビームによって形付けられており、触れた物体がいとも簡単に溶けていく。
「"変幻 魚"」
体を流体のように変え、壁の中へと潜り込む。美咲はウプシロンの方へ近づき、足場に倒れている歩兵が持っていたビームで形付けられた短剣を手に取る。
「これで1対1、やられても文句はないよね」
2人は一斉に近づき刃をぶつけ合う。そのビームの刃は、干渉し合いジュゥゥウっと音を鳴らしている。決着がつくのは速かった。
「こんなもんじゃあの人には勝てないよ」
短剣が美咲の手から離れ、地面に落ちる。
(やばっ……どうしよ……)
「じゃあね〜」
ウプシロンは、美咲に刃を突きつけようとする。
ビュンっと鋭い音が鳴る。薙刀の刃が消えていく。ルーがウプシロンの落とした銃で彼の背部の機械を打ち抜いた。
「美咲大丈夫?!」
ルーが叫んで聞く。
「はい…結構危なかったですけどね…」
「とりあえず、彼を下に降ろしてもらえる?色々聞きたいことあるし」
その頃別室ではアナベルとカイトが歩兵と戦いを繰り広げていた。
「カイト大丈夫か?!」
「まだ大丈夫です」
すると突然歩兵の動きが止まる。
「あれ……?何が……?」
「きっと2人がどうにかしてくれたのだろう。急いで合流しよう」
「はい!そうですね」
そして2人は急いでその部屋から出ていく。
場面は戻り倒れていた彼が目を覚ました。
「くっ……」
ルーは彼に向けて銃を向けている。
「怪しい動きはするなよ」
「いや!僕は何も!!操られていたんです!」
先ほどと雰囲気が違う。
「操られていた……?」
美咲が聞く。
「はい…細長い化け物のようなものに……」
「もしかしてこれか?」
ルーはSの写真を彼に見せる。
「そ、そうです…!そいつに僕の妹が捕まってしまって…それでそのまま僕も捕まってしまいました」
「私達、そいつの事を倒すためにここに来たんだけれども、何か情報とか知らない?例えばあなたの後ろに着けられていた機械のこととか」
「微かに記憶があります…その機械は人間に取り付けるとその人の意識を乗っ取る事ができるらしくて…でも僕が着けられていた物は試作品らしく。正規品を取り付けられた人が3人いるそうです。もしかしたらその中に僕の妹がいるかも」
「なるほど……他に何か知っていることはあるか?」
「あとは………」
途中を喋ろうとした時突然壁が崩れる。
「裏切り者発見直ちに排除しまーす…ってあれ、ボスが言ってた邪魔者さんだ〜ラッキーこれでもっといい装備支給してもらえるじゃ〜ん」
砂埃から、紺色の装甲をしている女性と歩兵の集団が現れた。
「美咲!ルーさん!!」
「新手か…!!」
その時美咲とルーの目の前に彼が立つ。
「皆さんは先に逃げてください……」
「しかし、今の君の体では…!!」
「大丈夫です…どうか妹を助けてください…」
薙刀を取り出し攻撃の姿勢を構える。
「絶対……死なないで…!」
美咲が叫ぶ。
「大丈夫です…!」
4人はその部屋から離れる。
「ずいぶん仲良くなったんだね。まぁこの後彼女らと会うことはないよ。」
大きな音が工場内に鳴り響く。少しするとその音は止んでしまった。
「ボス〜。裏切り者は、排除しましたけど、邪魔者は取り逃してしまいました。多分次はファイの所に向かっていまーす。はい。私も準備しときますねー」
彼女の足元は赤く染まり、その中心には彼の体が壁に叩きつけられていた
「試作品が正規品に勝てるわけないよね……ドンマイドンマイ」
彼女の左腕の装備が展開し爪のようになる。その爪は彼の胸を切り裂いた。
「はぁ〜…早く相手したいなあの邪魔者さん〜」
彼女は、その場を離れる。4人は彼が生きていることを願い次の基地に向かう準備を進めていた。




