第6章 出発の日
4月14日 アメリカ臨時軍事基地
Sからの奇襲を受けた翌日、美咲とカイトはスペリオル隊と一緒にSを倒すため旅に出ることになった。
会議室では、出発前の作戦説明が行われていた。
「Sの基地を5つほど見つけたという情報が入った。我々はその基地を順々に周りSを発見、撃破する」
机の上に表示されている地図のある特定の部分が赤く光る。
「この光っている部分、それがSの基地と思われる場所だ。我々がいるのはここだ、昔だとオキナワと呼ばれていた。そして一番最初に向かうのはここ…ヒロシマだ。ヒロシマまでは輸送機で向かう」
「てことは…1、2時間くらいで着くのか…」
「いや、20分くらいで着くぞ」
どうやら、この時代の航空技術は想像以上らしい。
「とは言っても目標から少し離れた所に着陸するがな。そういえば自己紹介をしていなかったな。私はアナベル・G・ホワイトだ。よろしく頼む。他の隊員は、残念ながらケガの治療で同行できない」
「よろしくお願いします」
美咲とカイトが彼に言う。
「あ、出発する前にその服動きにくいだろう。何か服があると思うから着替えたらどうだ?」
ルーが提案する。
「そうさせてもらいます!」
「僕はこのままでいいかな」
「じゃあ付いてきてくれ」
ルーが美咲と一緒に部屋を出る。他の2人は残され、少し気まずい空気が流れる。
アナベルが口を開く。
「彼女とはどういう仲なんだ?」
そうカイトに問う。
「昨日初めて会いましたし、特にどうとかは…」
「そうか…あの子の真力、普通の物とは違うと思うんだ」
「え?そうですか?動物の能力を反映する能力なら、ごく普通にありそうですけど…」
カイトは不思議に思いながら聞く。
「問題はそこではないんだ。彼女は自身の能力を説明している時まるで使ったことのないように話していた。真力を使いこなしている者は、無意識に“真源”を体から漏らしているものだ。俺はその真源を見る事が出来るのだが彼女を初めて見た時まったくもって真源が漏れていなかった。なのにあれほど軽々と能力を使っていた」
「……つまりどういうことですか…?」
「他人から真力を継承した…ということかもしれん」
「……たしかに僕もこの世界に来た当初は、お師匠の元で特訓を行い、能力を開花させました。でも彼女はこの世界に来たばっかりと昨日話していました。どういうことでしょうか……」
「まぁ私達で考察してもわからん。彼女が答えを出すまで気長に待つとしよう」
2人は色々な考察を立てる。しかし真実は分からない。
部屋から出た美咲とルーは更衣室へ向かっていた。
「え!!ルーさんって女性だったんですか?!?!すみません勝手に男の人だと……」
「大丈夫大丈夫、よく言われるし紛らわしい格好してるからな」
「なんで軍人になろうと思ったんですか?」
美咲がルーに問う。
「私の父親が元々軍人をやっていたんだ。父親の任務は私と同じように対テロ組織の部隊に入隊していた。しかし私が幼い頃、任務中に父親は失踪した。だから私は父親を探すために軍に入隊した。例え父が死んでいたとしても私は父親の手がかりを見つけ、どうなったのかを知るまでは、絶対に死ぬつもりはない」
更衣室に入り衣服を探す。
「きっとすぐ見つかりますよ、手がかりが」
「ありがとう、すぐ見つけるよ」
美咲にパーカーを手渡す。
「ちょうど良さそうなのがこれしかなかったのだが、大丈夫か?」
「はい!お借りします!」
そしてもう一度会議室に戻り、荷物を整え輸送機に乗る。そして間もなく輸送機は離陸した。地上の基地からは隊員がこちらに向かい手を振っている。彼女らは手を振り返す。
こうして、彼らの冒険は静かに幕を開けた。




