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棒人間の冒険  作者: 五井緑 ナサ
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第10章 進化の犠牲

4月15日 ヒロシマ基地

 この日、四人はヒロシマを後にし、次の敵基地があるとされるキョウトへ向かうことになっていた。

「一日、お世話になりました」

 美咲は医師たちに頭を下げる。

「美咲ー! そろそろ行くぞー!」

 車に乗ったアナベルが呼びかけた。

「あ、はい! 今行きます!」

 美咲は基地の人々へ最後に一礼すると、車へ乗り込む。

「次のキョウトって場所も、Sの本拠地である可能性は低そうですね」

「そうだな……だが、実際に行ってみないと分からないこともある」

 前方の座席で、ルーとアナベルが会話している。

 その頃、美咲は窓の外に広がる薄暗い空をじっと見つめていた。

「美咲、大丈夫か?」

 隣のカイトが声をかける。

「ん……? うん、大丈夫だよ」

 どこかぎこちない返事だった。

「やっぱり、あの人のことか……?」

「まぁね。でも、気持ち切り替えていかないと……!」

 美咲は笑顔を作る。

 だがカイトには、その笑顔が無理をしているように見えた。

 その時。

 突然、車が急停止する。

「どうしたんですか!?」

 カイトが前方へ向かって叫ぶ。

「すぐに車を降りろ……!」

 アナベルが低い声で言った。

 二人は急いで車を降りる。

 すると、少し先に不気味な影が立っていた。

 細長く歪なその姿は、Sを思わせる。

 先に降りていたルーとアナベルは、すぐに瓦礫の陰へ身を隠した。

 その直後

 前方から巨大なビームが放たれる。

 轟音と共に、車が丸ごと飲み込まれ吹き飛ばされた。

「っ……!?」

 遠くにいた影が、ゆっくりと姿を現す。

 その姿は、以前戦った“きのこくん”によく似ていた。

 だが決定的に違う点がある。

 その身体から、四本の触手のようなものが伸びていたのだ。

 どうやら、先ほどのビームはそこから放たれたらしい。

「な、なんなの……あいつ……!?」

「分からない……。きのこくんって奴の強化版なんじゃないか……?」

 その時、通信が入る。

「美咲、カイト。聞こえるか?」

 耳につけた翻訳機から、ルーの声が響いた。

「はい! 聞こえてます!」

「アイツは危険だ。私の合図で、四人同時に攻撃を仕掛ける」

「分かりました!」

 敵はゆっくりと車の残骸へ近づいていく。

「今だ!」

 合図と同時に、四人は瓦礫の陰から飛び出した。

 それぞれが一斉に攻撃を放つ。

 しかし

 すべての攻撃が、触手によって弾き流された。

「なっ……!?」

 次の瞬間、どこからともなく声が響く。

「あなた達の攻撃は、すべて読めます」

 不気味な声だった。

「このまま、あなた達を殺します」

 同時に、触手の先端から無数の細いビームが放たれる。

「くっ……!」

 四人は回避するだけで精一杯だった。

 だが、それにも限界が来る。

「あっ……!?」

 一筋のビームが、美咲の足を掠めた。

 傷はない。

 しかし次の瞬間、美咲の身体が激しく痙攣する。

「あ……がっ……!!」

 まるで感電したように、身体が動かない。

 そこへ触手が伸び、美咲の首を掴んだ。

「美咲!!」

 そのまま彼女の身体は宙へ持ち上げられ、本体の近くへ引き寄せられていく。

「皆さん」

 敵が静かに告げる。

「彼女が死にたくなければ、抵抗しないでください」

「美咲……!!」

 美咲は触手に締め上げられながら、必死にもがく。

 しかし、この状況では誰も迂闊に動けない。

 美咲を助ける方法も、すぐには思いつかなかった。

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