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見難い火傷の子  作者: 清風
270/317

深淵食材ハント:ジュラ紀エリアの珍味

挿絵(By みてみん)

見難い火傷の子270


深淵食材ハント:ジュラ紀エリアの珍味


深淵ダンジョン第十一エリア、ジュラ紀エリア

恐竜の時代

この地では、生きるものすべてが八倍の大きさで存在する。


タコ人、サンゴ人、クラゲ人――

海底文明めぐりを終えた爆炎パーティは、

久しぶりに《ソラ》の食材庫を確認していた。


ポン

「……あれ?肉、減ってません?」


マリー

「そりゃあんだけ海底でご馳走になったら、こっちの食材使わないでしょ」


ダン

「いや、問題はそこじゃねえ。

 肉が減ってるのに、野菜は増えてるんだよ」


クロ

「ご主人様、深淵野菜は繁殖力が高いので……」


匠一

「食材確保に行く」


全員

「早い!」


ショータ

「えっ、今から!?」


匠一

「今からだ」


ダン

「理由が軽い!」


匠一

「十分だ」



向かった先は、

ジュラ紀エリアの“丘陵帯”。


ここには、深淵特有の巨大生物が多く生息している。


ニール

「反応多数。大型草食、群れで移動中」


マリー

「草食かぁ……肉は?」


ニール

「その草食を狙う肉食が、さらに後ろに」


ダン

「よし、そっちだな」


ショータ

「えっ、草食じゃなくて肉食を……?」


ダン

「草食はでかすぎて捌くのが大変なんだよ。

 肉食は勝手に筋肉質でうまい」


マリー

「深淵の肉食は脂のノリもいいしね」


ショータ

(……この人たち、食材の基準が完全におかしい)



丘陵の向こうから、

巨大な影が現れた。


四足。

角。

分厚い皮膚。

そして――


背中に巨大な“鍋蓋”のような甲羅。


ショータ

「……あれ、何ですか」


ニール

「深淵カメノコサウルス。

 甲羅の内側に“天然の蒸し器”があります」


マリー

「出た、深淵の狂気」


ダン

「よし、あれにしよう」


ショータ

「えっ、あれを!?」


匠一

「蒸し料理に使える」


ショータ

(理由が軽い……!)



カメノコサウルスがこちらに気づき、

のそのそと向かってくる。


だが、動きは遅い。


ショータ

「……あれなら、戦わなくても避けられるんじゃ……」


ダン

「ショータ。深淵の食材は“追う”んじゃない。

 “迎え撃つ”んだよ」


ショータ

「なんで!?」


マリー

「逃げると味が落ちるから」


ショータ

(深淵の理屈、怖い……)



匠一が前に出る。


「クロ、準備」


クロ

「了解です。蒸し器の温度調整、任せてください」


ショータ

「温度調整!?」


ユキ

「甲羅の内部温度は約120度。

 蒸し料理に最適です」


ショータ

「蒸し料理前提なんですか!?」



カメノコサウルスが突進してくる。


匠一が剣を抜く。


一閃。


甲羅の“蓋”だけが綺麗に外れた。


ショータ

「えっ……!?」


クロ

「ご主人様、内部の蒸気が逃げます!」


匠一

「閉じろ」


ダンが蓋を押さえ、

マリーが水流で冷却し、

ユキが氷で固定する。


ショータ

「えっ、えっ、何してるんですか!?」


マリー

「蒸し器の密閉」


ショータ

「蒸し器!?」



数分後。


ポン

「できました!」


蓋を開けると――

中には、ふっくら蒸し上がった“深淵カメ肉”がぎっしり。


ダン

「うまそー!」


マリー

「今日の夕飯決定だね」


ショータ

「……深淵って、本当に何でもありだ……」


匠一

「次の食材を探す」


全員

「早い!」


ショータ

(……この人たち、本当に止まらない)


ニール

「……群れの反応が、消えました」

ショータ

「え?」

ニール

「最初から、逃がすつもりだったんです。

 あの一頭が、時間を稼いで」

ショータ

「……じゃあ、あれは」

マリー

「……深淵の生き物って、たまにこういうことするんだよね」


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