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見難い火傷の子  作者: 清風
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202/526

オリエント旅行社

挿絵(By みてみん)

見難い火傷の子202



オリエント旅行社



――青銅の時代。

深淵ダンジョン第十六エリア、第四紀完新世層

この地では、生きるものすべてが八倍の大きさで存在する。


ギルドの依頼板にはあらゆる依頼が貼りだされる。

中には依頼に混じって広告も…

リーダーが眺めていた。


ツアー案内

「列車で行くピラミッドと歴史探訪ツアー」

(定員になり次第締め切り)


リーダー「これ討伐依頼じゃないな。」

タリア「あ、それね、オリエント旅行社が置いていったのよ」

リーダー「え?」

タリア「貼ってくれって」

リーダー「これ申し込むには?」

タリア「ここで申し込めますよ」

リーダー「爆炎パーティを代表して申し込む」

タリア「はい」


………


ツアー当日、バビロン駅に集まった。

爆炎メンバー

リーダー、ダン、キール、マリー、ハナ、ニール、クロ、ユキ、ポン、リョーカ。

同行者も見えた。

自立したリフ、ウル、ジン。

ハリセン、ピコハン、アンナ、メリー、ナックル。

なぜかハンムラビもいる。暇なのか?

タリア、ヨイショ、リアが旗を持って立っていた。集合場所だった。


シュメール駅発の乗る列車が到着した。

その列車にはプリウス、スバル、ギルガ、ダリアが乗っていた。

アオ達三年生にとって、これが修学旅行らしい。


次のアケメネス駅から乗ってきたと思われる。

キュロス二世、キュアクサレス、も乗っていた。もう一度言う。暇なのか?

カウリ、マフラー、エキゾ、ジギル、ハイド、ポンスケ、ベリアル。


バビロン駅では旨いと評判の駅弁を大量に買った。


列車がゆっくりと動き始めた。


車輪の音は静かだった。

だが、その振動はどこか“生き物”に近い。


なまけもの君の技術が、鉄道にも流れ込んでいる。


「……揺れないな」


カウリが呟いた。


ベリアルは窓の外を一瞥し、即答する。


「効率的だ」


一拍。


「酔わない方が、消費が減る」


観光列車にまで経理を持ち込むな。


車内は、妙に広かった。


通常の客車よりも一回り大きい。

八倍世界に合わせた設計だが、それだけではない。


「座席が……柔らかい?」


マリーが手で押す。


沈む。


戻る。


「ビーズクッションだ」


リーダーが言う。


「工場の応用だな」


「お弁当、開けていい?」


ハナが聞く。


「もう食うのか」


ダンが笑う。


だが、全員すでに開けていた。


バビロン駅名物、駅弁。


肉がでかい。

米もでかい。

量もでかい。


「……これ、二人分だろ」


クロが呟く。


「一人分だ」


リーダーが即答する。


「ご案内いたします」


通路に、タリアの声が響いた。


いつの間にか、制服を着ている。


「本日はオリエント旅行社のツアーにご参加いただき、ありがとうございます」


旗を持っていた理由がこれか。


「最初の目的地は――」


一拍。


「紅海トンネルを経由し、エジプト方面となります」


ざわ、と空気が揺れる。


カウリがゆっくりと顔を上げた。


「……紅海?」


ポンスケが資料をめくる。


「現在、オリエント鉄道の海底区間が稼働中です」


ベリアルは短く言う。


「高コストだな」


「ですが」


ポンスケは続ける。


「維持費に対して、交易効果が上回っています」


「なら問題ない」


即決。


「トンネルって……海の中だよな?」


キールが言う。


「そうだよー」


リアが軽く答える。


「水、入ってこないのか?」


「入ったら終わりだね」


笑っている。


列車は速度を上げていく。


窓の外の景色が、徐々に変わる。


砂地。


岩場。


そして――人工的な構造物。


巨大なゲートが見えてきた。


「……あれが入口か」


リーダーが呟く。


紅海トンネルの入口。


文明が、海に穴を開けた証。


列車が減速する。


一瞬の静寂。


次の瞬間――


「――入ります」


タリアの声。


列車が闇へ滑り込む。


光が消えた。


いや、違う。


耳が詰まったような静けさの中で、車内の灯りだけが頼りなく揺れていた。


「……暗いな」


ダンが言う。


「当然だ」


ベリアル。


「外は水だ」


夢のない説明。


その時だった。


一瞬だけ。


窓の外に――“何か”が映った。


「……今の、見たか?」


キールが言う。


誰も答えない。


だが、全員が同じ方向を見ていた。


それは、列車だった。


同じ形。


同じ速度。


同じ編成。


並走している。


「……は?」


クロが固まる。


「ありえないだろ」


ニールが低く言う。


「ここ、トンネルの中だぞ」


もう一度、窓を見る。


何もいない。


暗闇だけ。


「……見間違いか?」


誰かが言う。


だが。


カウリは目を細めていた。


「いや」


一拍。


「見た」


ベリアルが、静かに呟く。


「……非効率だな」


「……は?」

「ベリアル、何言ってんだ?」


その意味を、誰も理解できなかった。


列車は進む。


何事もなかったかのように。


だが。


誰もが、同じことを考えていた。


今、隣を走っていたのは――


「どっちだ?」


(続く)

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