表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『世界史赤点の俺。なぜか南北戦争の将軍になってしまった件』  作者: 西住
第一部 南北戦争に飛ばされた俺

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/39

第十五話 再会

 スミス隊は前進を続けていた。


 南軍は完全に後退に移っている。


 森の中には捨てられた装備や弾薬が散乱していた。


「本当に下がっていきますな」


 スミス小隊長が周囲を警戒しながら呟く。


「油断はするなよ」


「もちろんです」


 とは言うものの、明らかに先程までとは空気が違っていた。


 敗走。


 そんな言葉が似合う光景だった。


 その時だった。


「将軍!」


 通信兵が駆け寄ってくる。


「ジャック隊より連絡です!」


 俺はすぐに伝書鳥を受け取った。


「ジャック!」


「将軍か!」


 ジャックの元気そうな声が聞こえた。


 どうやら生きているらしい。


 少し安心した。


「そっちはどうだ?」


ジャックが聞いてきた


「敵が下がり始めた!」


 俺も負けじと元気な声で答えた


「こっちも何とか持ちこたえたぞ!」


 その声を聞いて肩の力が抜ける。


俺は状況をジャックに伝えた


「スミス隊が持ちこたえた」


「ああ、なるほど」


 ジャックも察したらしい。


「つまり将軍の読みが当たったわけか」


「いや、たまたまだ」


「またまた」


「本当だ」


 心の底から本当だった。


「ゴホン!」


 急にジョンが会話に入ってきた


「ジョン?どうしたんだ?」


 急に会話に入ってきたので

 俺はびっくりして聞き返してしまった


 「将軍!大切な話があります」


 ジョンのトーンは決して楽しげではなかった


「ちょっと待て!おい馬鹿辞めろ!!!」


 なぜかジャックが必死になって止めようとしている


「将軍…今の会話には大きな間違いがあります」


「間違い?」


 俺はジョンの会話を聞くことにした


「まず将軍はジャックが必死になって前線を

 守ったので側面攻撃が出来るようになった

 そう思っていますよね」


「ああそうだけど……」


「それは間違いです。

 ジャックは途中で前線を下げて逃げ出そうとしました」


「……は?」


この説明に俺もそうだが隣のスミス小隊長も

目が三角になって怒り顔になった


「ちょっとまってくれ!言い訳をさせてくれ」


 頼りない声でジャックが弁明を求めてきた


「……ジャック」


 俺は言った


「説明と状況によっては今からでも

 単身で南軍に突撃させるぞ!!」


 ジャックは恐る恐る言った


「こ……攻勢限界点」


「あぁぁん!!!?」


俺は聞き返した


「攻勢限界点を引き出したいだけだったんだ」


 ジャックは続けざまに言う


「南軍の勢いがあるときから

 急激に衰えてきたんだ。

 だからもしかしたら……」


「敵の疲労がピークに達しそうだった。

 とでも言いたいのか?」


 スミス小隊長が真っ赤になって聞き返した


「そ、そうなんだ。

 だから敵を動かせるだけ動かして……」


 ついにスミス小隊長が怒りを爆発させた


「貴様!!戦死したくなくて逃げ出そうとしていたな!!

 貴様が嘘をつくときの癖は訓練兵の時にすべて把握しているぞ!!」


「ご、ごめんなさ~~い」


ジャックの情けない声が伝書鳥からでもわかった


「現場からは以上よ」


---


 数時間後。


 戦線は完全に落ち着いていた。


 そして――。


「将軍!」


 遠くから聞き慣れた声が響いた。


 振り返る。


 そこにはジャックとジョンの姿があった。


「生きてたか」


「その言葉そっくり返しますよ」


 ジャックは苦笑していた。


 ジョンもその後ろから歩いてくる。


「着地は成功したの?」


「成功の定義を教えてくれ」


「生きてるから成功じゃない?残念」


「どういうことだ!!!」


「だって新しい治療法の実験が出来ないじゃないのよ」


 ジョンは肩をすくめた。


---


「貴様ら!!!!」


 スミスも駆け寄ってくる。


 こうして四人が久しぶりに揃った。


 不思議な安心感があった。


 戦場のど真ん中だというのに。


「それにしても驚きました」


 スミス小隊長が真顔になる。


「将軍が空を飛んだと聞いた時は

 流石に一瞬驚きました」


 いや一瞬かよ!!


「ところでどうでした?

 空を飛ぶ感覚っていうのは?」


 スミス小隊長は純粋な目で俺を見た


「二度とやりたくない」


「なるほど」


「納得するな」


 ジョンがふと尋ねた。


「でも結果的には助かったんでしょ?」


「まあな」


「なら成功じゃないのよ。残念!」


「だからお前のその考え怖いんだよ!」


 三人と俺。そして周りの兵士が

 その光景を見て全員が笑顔になった


『歴史って変わるものなのね』


 守護霊がぽつりと呟く。


『シャイローで人間大砲なんて聞いたことないわ』


「俺だって聞いたことない」


『というか伝書鳥も聞いたことない』


「それな」


『巨大大砲も聞いたことない』


「それもな」


 二人してため息を吐いた。


 その時だった。


 遠くで再び銃声が響く。


 全員の表情が引き締まる。


「まだ終わってないか」


 ジャックが呟く。


 スミスも頷いた。


「敵主力は健在ですからな」


 ジョンは静かに医療鞄を持ち直した。


 俺も空を見上げる。


「だがこれ以降は本軍の仕事だ」


 後ろを見ると本軍の援軍と思わしき

 軍団が見えた


「我々はこれでお仕事終了ですね」


 スミス小隊長は淡々と答えた


 だが戦争は終わらない。


 それでも今だけは。


 この四人が無事に再会できたことを喜びたかった。


 誰も口には出さなかったが。


 きっと同じことを考えていた。


 ――戦いは、まだ続く。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ