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ちゃんと、甘かった

3月10日


今朝目が覚めたとき、

部屋の中はとても静かだった。


扇風機だけがゆっくり回っていて、

小野ちゃんたちはまだ眠っているみたい。


私はベッドの上で天井を見つめながら、ぼんやりしていた。


こんなふうに静かにぼーっとするのは、なんだか久しぶりな気がする。


授業のチャイムがリンリンと鳴って、

先生はいつものように教科書の内容を説明している。


鈴木ちゃんはこっそり机の中でスマホを見ていて、

小野ちゃんはとても真面目に聞いているみたい。


私は頬杖をついて黒板を見ていたけれど、

心はどこか遠くへ行ってしまっていた。


「昔のサークルのみんな、今どうしてるんだろう……」


そんなことを考えながら、

私はこっそりスマホを開いた。


前に一緒によく遊んでいた友達とは、

もうずいぶん長い間話していない。


チャットの履歴を少しスクロールすると、

残っているのは昔お互いに送り合っていた動画ばかりだった。


新しいキャンパスに来てから、


同じサークルにも入ったけれど、

なんとなく、まだうまく馴染めていない気がする。


スマホを見ると、

みんなが楽しそうにいろんな話をしている。


ときどき私も、

そこに一言だけ書き込んだり、スタンプを送ったりしてみようかな、


誰か返事をくれるかな、って思うことがある。


でも結局、

グループチャットを開いては閉じて、

また開いては閉じて……


それを何度か繰り返していたら、

ついに先生に見つかってしまった。


「そこの人、授業中にスマホを触らないように。しまいなさい。」


私はびっくりして、急いでスマホをバッグに戻した。


「す、すみません……先生。」


午前中の授業は、あっという間に終わった。


お昼ご飯の時間、

食堂のいろんな料理を見ながら、

どれにしようかずっと迷っていた。


でも、

卵炒めとチキンはきっとおいしいはず。


「ありがとうございます。」


料理をよそってくれた食堂のおばさんにそう言うと、おばさんはにこっと笑って言った。


「口の上手な子ねぇ。」


その笑顔を見て、

私も思わずこっそり笑ってしまった。


今日は太陽がお休みしているみたい。


一日中空はどんよりしていて、

午後になっても、いつもの夕焼けは見えなかった。


帰り道、

私は小さなケーキ屋さんに寄って、

キャラメルプリンを二つと、

小さなイチゴのケーキを一つ買った。


寮に戻ると、

井上ちゃんが嬉しそうに言った。


「夜、夜食食べに行かない?」


「今日は私のおごりだよ。」


鈴木ちゃんはスマホを揺らしながら、

ちょっと得意そうに言った。


「じゃあ、何食べる?」


私はそう聞きながら、

買ってきたケーキをこっそり冷蔵庫に入れた。


なんだか少しだけ、気持ちが軽くなった。


「焼き串がいいな。

最近食べてないし。」


小野ちゃんが鈴木ちゃんの腕を抱きながら、

お願いするように言った。


「もう……しょうがないなぁ。」


私と井上ちゃんは思わず笑った。


鈴木ちゃんは相変わらず、ちょっとツンツンしている。


「ほんと、小野ちゃんには甘いよね。」


井上ちゃんが笑いながら言った。


焼き鳥のお店で、

私たちは串を食べながら、

いろんな話をして笑い合った。


外は真っ暗だったけれど、

こうしていると、

なんだか少しも怖くない気がした。


私はスマホを手に取ると、

昔のサークルの友達が外で遊んでいる投稿を見つけた。


私は小さく笑って、

そっと「いいね」を押した。


「ねえ、あなたってお兄さんとすごく仲いいよね?」


鈴木ちゃんが串を食べながら、ふと聞いてきた。


「うん。

私、ずっと一緒にいたいなって思ってる。」


私はスマホを見ながら、

思わずそう言ってしまった。


「おお〜!」


三人が一斉に声をあげた。


「ち、違う違う!

えっと……ゲームを一緒にするって意味だから!」


私は慌てて説明したけれど、

みんなニヤニヤしていた。


「もう、私のこといじらないで。

早く食べようよ。」


私は笑いながら、

串をみんなのお皿に入れた。


少し恥ずかしくて、

私は顔を外のほうに向けた。


外は真っ暗だけど、

店の中は明るい。


寮に戻ると、

みんなお風呂の準備をしていた。


私はこっそり冷蔵庫を開けて、

さっき買ったイチゴのケーキを取り出した。


一口食べてみる。


「よかった。」

「ちゃんと、甘かった。」

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