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風の中のベンチ

3月9日

「どうしてまた月曜日なんだろう。」


目を開けてすぐスマホをつかむと、

その瞬間、体の力がふっと抜けてしまった。


「どうして日曜日じゃないんだろう……」


今日もいつもと同じ、

静かで平凡な一日。


小野ちゃんたちと一緒にご飯を食べて、

一緒に授業を受けて。


気がつけば、

体は自然と彼女たちのそばに寄るようになっていた。


やわらかな風が頬をなでていく。


校道の両側の木の下では、

小さな猫が、誰かが置いてくれたご飯を食べている。


その横のベンチでは、

カップルが寄り添って、小さな声で話していた。


私は空いているベンチを一つ見つけて、

静かに腰を下ろす。


風に吹かれた落ち葉が、

さらさらと音を立てていた。


「どうしてここに座ってるの?」


小野ちゃんの声が聞こえた。


小走りで来たみたいで、

そのまま私の隣にそっと座った。


「昨日のこと、まだ気にしてるの?

私たち、笑ったりしてないよ。」


小野ちゃんはやさしい声で言って、

体を少し私のほうへ寄せた。


私はそっと頭を彼女に預けて、

目を閉じた。


風に吹かれて、

彼女の髪が私の頬に触れる。


私はこっそり匂いをかいだ。

シャンプーの、やさしい香りがまだ残っていた。


「気にしてないよ。」


私は小さな声で言って、

二人の間のベンチに手を置いた。


「ありがとう。」


小野ちゃんは私の手の上に、

そっと手を重ねた。


手のひらは、あたたかかった。


「ねえ、小野ちゃん。

こんなの、ちょっと近すぎないかな?」


「大丈夫だよ。

そばにいたいって思う相手なら、

境界を越えなければ、それでいいんだよ。」


小野ちゃんは私を見て、

指をそっと絡めてきた。


「そうなんだ……

じゃあ、私と兄さまも……」


そんなことを考えていると、

なぜか目が少しだけ熱くなった。


きっと、眠いだけだよね。


空はいつのまにか、

淡い赤色に染まっていた。


風はまだ私たちの周りをくるくる回りながら、

落ち葉を巻き上げて、

さらさらと音を立てている。


私は小野ちゃんにもたれながら、

その音を静かに聞いていた。


時間が、

少しゆっくり流れているみたいだった。


ときどき、私は思う。


もしできるなら、

ずっとこんな場所で——


こうして静かに

座っていられたらいいのに。

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