第9話 兄の旅立ちと考えたくもない現実
1年後~
ここは、とある貴族の屋敷の門の前。そこには、1代の馬車と3人の少年がいる。彼らは兄弟で、この日学園に行くもうすぐ8歳になる兄―レグルスを見送りに来たのだ。レグルスを見送りに来ている4歳の少年たち―ルディウスとアルディスは、今レグルスに抱きしめられている。
「ルディ~、アル~。私は学園に行きたくないよ~。」
「兄上、放してください。」
「遅刻しますよ、兄上。」
「うっうぅ~、でも・・・・・・。」
「「速く行ってください。」」
「・・・・・・はい。」
レグルスは、しぶしぶといった様子で離れる。
「「いってらっしゃい!兄上。」」
「行ってきます・・・・・・。」
笑顔の弟たちに見送られながら、レグルスはしょんぼりとしながら馬車に乗り込んだ。馬車は屋敷をどんどんと離れていく。・・・・・・馬車が見えなくなり、ルディウスとアルディスはふぅ~と息を吐いた。
「ふぅー、行ったね。」
「ああ、これで家を抜け出せるな。」
「でもその前に・・・・・・。」
「勉強を猛スピードで終わらせなくちゃな。」
「えぇっと、どこまで終わらせたっけ。」
「確か、14歳が習うところはすべて終わったんじゃなかったか?」
「18歳が習うところまで勉強すればいいんじゃなかったっけ。」
「じゃあ、あと少しだな。」
「うん。・・・・・・もうすぐセンセーが来る時間じゃない?」
「本当だ。行こう、アルディス。」
双子の少年たちは、屋敷に戻っていったのだった。
「今日の勉強も簡単だったねー。」
「そうだな。」
「しかし・・・・・・あの日からまさか1000年も経っているなんて思ってもみなかったな。」
「センセーをつけてもらってよかったよね。教えられてなかったら、知るのが遅れていたし。」
ルディウスとアルディス転生してきたこの時代は、彼らの転生前の時代からおよそ1000年経った時代だったのだ。彼らがこのことを知ったのは、丁度1年ほど前。現在の彼らの父親―ロージェス・ウィンドーラに頼んでつけてもらった家庭教師に授業をしてもらってからだ。
そして、もう1つ分かったこと。それは・・・・・・
「・・・・・・まさか、魔法に関することがすべて低レベルになっているとはな。」
「今の主流は中二的呪文詠唱・・・・・・。僕らがいなかった1000年の間に、何があったんだか・・・・・・。」
「無詠唱はすごい魔術師様しか使えない? 魔力操作をちゃんとやってれば誰でもできる」
「・・・・・・でも、やっぱ、1番最悪なのは。」
「俺たちの話が美化されて伝わっていることだな。」
「「はぁーーーー。」」
そう。彼らの魔王時代・勇者時代の話が美化されて伝わっていたのだ。というか、もはや美化ではなく、フィクションである。しかし、そんなフィクションの中にも、たま~に事実が混ざっていたりするのでたちが悪い。しかもそれが本となってしまっているのだ。家庭教師が1番初めに彼らに出した宿題が、その本を読むことだった。彼らは、羞恥心でいっぱいになってしまった。読みながら、とても悶えた。部屋でバク天と宙返りを何度も披露するほどに。
「やっぱり、あれって学園に行ったらもう1回習わなくちゃいけないのかな。」
「・・・・・・普通に考えてそうだろ。」
「「・・・・・・はぁーーーー。」」
元魔王と元勇者は、学園に行った際、あの本の内容の授業をどうしたら回避できるのか、必死に考えるのだった。




