第8話 ゆるやかに流れていく時間
元魔王と元勇者は3歳に、レグルス君は7歳になりました。
元魔王と元勇者が転生してから3年の月日がたった。
「ルディ様、アル様。レグルス様がいらっしゃいましたよ。」
「「お兄様?」」
「ルディ、アル!あぁ、今日もかわいいね。」
《《また来たよ、このブラコン。》》
そう、ルディとアルの兄、レグルスは立派なブラコンに育ってしまった。それも仕方がない。転生する前、傾国級の美形だったルディとアル。ルディとアルは、その転生する前の見た目を引き継いでいるのだ。その幼少期の見た目は、まさに天使。レグルスがブラコンになってしまっても仕方がない。ちなみに、ルディとアルは寝ているとき以外はずっと念話の魔法を発動しっぱなしだ。
「ルディ、アル、私は今、とっても悲しいんだ。」
《おい、なんかめんどくさいことが起こる気が。》
《まあ、一応聞いてみよう。》
「「どーしたの?お兄様。」」
「・・・・・・実はね、8歳になった子供は学園に行かなければならないっていうこの国の決まりがあってね。・・・・・・来年、私は学園に行かなければならないんだ。毎日、ルディとアルに会えなくなるんだよ・・・・・・。」
《《ブラコン、ここに極まれり・・・・・・。》》
「ど、どうして会えないの?」
アルが少し顔を引きつらせながら聞く。
「学園は全寮制なんだ。だから長期休暇でしか、家に帰ることができないんだ。」
「「えっ!!」」
ルディとアルは驚く。表面上は嫌がっていたが、兄のことがけっこう好きだったからである。その兄と会えなくなるのを想像して、少し寂しくなってしまう。
「だからっ!」
急に大声をあげて椅子から立ち上がった兄を見る。
「あと、1年。この時間を有効に使おうと思ってね。」
そういって、ルディとアルをぎゅうぎゅうと抱きしめる。
「ルディ、アル。どうか、この兄と一緒に遊んでくれないか?」
「「・・・・・・。」」
「だ、ダメか?」
《どうする?》
《ま、あと1年したらお兄様も学園に行っちゃうし、いいんじゃない?》
「「はい!お兄様、一緒に遊びましょう!」」
レグルスは満面の笑みをうかべる。後ろで控えていたメイドが数人ほど倒れて、どこかに運ばれていく。鼻から何か赤いものが流れていたのは、気のせいだと思いたい。
「ありがとう!ルディ、アル。」
「「ど、どういたしまして。」」
《ねえ、ルディ。》
《なんだ。》
《お兄様って、自分もイケメンなの、気づいてないのかな?》
《たぶん、見た目はそこそこいいけどモテるほどじゃないって思ってるんじゃない?基準を俺たちにしているみたいだしな・・・・・・。》
《なるほど。それじゃあ仕方ないか。僕たちって見た目が傾国級?って言われたし》
《・・・・・・誰だよそんなこと言ったの。》
《ん~?確かレティアだったと思う》
《あいつか。まあ、あいつが言うなら本当だな。》
ちなみに、レティアというのはアルが勇者をしていた時のパーティーメンバーで、一番見た目に気を使っていた魔法使いの女性だ。美しいものをこの上なく好み鑑賞していた彼女にとって、見た目が極上な者も鑑賞対象で、特に元魔王のカルトと元勇者の天輝がお気に入りだった。そんな彼女いわく、『アマキも魔王もすっごくきれい。まさに傾国級の美貌ね。見た目にそんなに気を使ってないのに、肌もきれいだし髪の色つやも最高。ほんと、世の中って不公平よね。』だそうだ。
「?どうしたんだい、ルディ、アル。」
「「何でもないですよ。」」
「そうかい。」
《お兄様、無自覚イケメン。ていうか、結構ハイスペックなんだよねお兄様。》
《このフェロモン大量製造機が。まあ、確かに凄いよな。俺たちが生まれたころにはもう12歳くらいの頭の回転だったし。記憶力もすごくいいし。》
《今この時点で、すでに15歳の子と同じところを勉強してるって、前お兄様付きの家庭教師が言ってた。剣術の先生も天才だって言ってたし。》
《将来安泰だな。俺たちは自由に職業が選べそうだ。》
《だね。》
「さあ、何をして遊ぼうか。」
「「剣~。」」
「はい、剣はこれでいいかな。よし、じゃあ2人とも同時にかかっておいで。」
「わーい!」
「いくぞー!」
レグルス、ルディウス、アルディスはその手に木刀を持った。方や剣術の師から天才といわれているハイスペックな兄、方やチートな元魔王ともと勇者の転生体。そんな彼らの遊びが本当に遊びであるはずがなく・・・・・・。徐々に激しさを増していくチャンバラごっこは、もはや試合という域にまで達していた。しかし、彼らにとってはあくまでも遊び。兄は手加減をし、弟たちは自身の力を極限までセーブして遊んでいた。余談だが、このチャンバラごっこ(?)で兄はさらに力をつけ、弟たちは手加減を学んでいった。
こうして、元魔王と元勇者の3歳の時間は過ぎていくのだった。
レグルス君、見事にブラコンに進化しました。ルディとアルの口調がはっきりしているのは、舌足らずの口調が嫌で一生懸命努力した結果です。




