28話 魔法少女……?
《魔法少女》
子供向けの劇が発祥で、悪い魔族やモンスターから人々を守る10代の魔法使いの少女たちの事を指す。
キラキラした魔法はもちろん、身体強化魔法で肉弾戦をしたり、協力してさらにカッコかわいい魔法で敵をやっつけ浄化するのだ。
そして戦いや友達との掛け合いを通して成長する姿に、子供たちは魅了され、今では世界中で大人気コンテンツなのだ。
「──そして、その魔法少女はメインの劇だけにとどまらず、歌とダンスのステージ、握手会、そして今では実際に特殊魔法を使う少女たちが世界を周り困ってる人を助けているのだとか」
そう、劇だけの存在ではなく、本当に世界を守ったり、かつて魔法少女に憧れたキッズたちが魔法少女になったりしているのだ。
「へえ〜!
そんなに凄いんですね。知らなかったな」
フレアは冒険者として最前線に立ち、ステラとゼティフォールの装備を整えるために奔走していたので、最近のコンテンツに疎いのも仕方ない。
「まあ、冒険者のように現実で戦う魔法少女の活動は、まだまだ始まったばかりでな。
まだ決して強いわけではないし、子供が触れるコンテンツゆえに無理な戦いはさせられないから、活躍の場は限られているんだ。
でも才能があるみたいでな、徐々に活動が本格化してて、昨日はノーマルのワイバーンを倒したと保育所の方から聞いたぞ。控えには一流の回復術師とか、万が一の脱出に備えてシーフとかがいるとか」
一見人気商売で、少女をサポートするためにおんぶに抱っこで、演出ありきのお遊びのようだが、人気がお金を生み出し、そのお金は孤児院や貧困に苦しむ子供達を助けるのに使われているのだ。
そして、戦いこそまだ半人前でも、人気ゆえに信頼があるので、災害時の支援や避難、物資の提供に関してはギルドでもできないスピードと確実性がある。
「ステラはね、シャイニーユニバースがすき!」
「シャイニーユニバースってどんな方なんですか?」
「劇に出てくる魔法少女でな、設定上最強の魔法少女なんだ。
そのキャラが女神の娘っていうのでステラも親近感が沸いたのと、力の一部が封印されてなければ、1人でも魔族の王と互角に戦えるというまさに最強の魔法少女。
人気も凄いみたいだな」
「……つまり、現実で言うとゼティフォールさんと渡り合えるってことだから、星の勇者とかと匹敵するわけですね?
それは凄い……」
そう言いながらも、フレアの心を満たしたのは尊敬ではなく嫉妬と対抗心だった。
見ず知らずの設定だけのキャラが、敬愛する師匠に匹敵なんてなんだかモヤモヤしちゃったのだ。
ステラのお気に入りとはいえ、フレアにとっての星の勇者は唯一無二の思考なる存在。負けてられない。
「それでね、ステラも魔ほうしょうじょになりたいの」
「この杖と、勇者の力、魔法の才能と身体能力の高さ、そして幼いながらも他の追随を許さぬ圧倒的ビジュアル!
今でも可憐で可愛いし、成長したら呼吸を忘れるほどの美人さんになるに決まってる。
非公式ではあるが、ステラが魔法少女になってもきっと許されるだろう。
いや、ステラいわく、ルチアも許すに決まってるそうだから、もはや世界の許しを得たも同然だ」
ゼティフォールは熱く語った。
しかし、あまりのベタ褒めっぷりにステラは照れてしまう。
「えへへ……ステラ、かわいい?」
「客観的に見て、可愛いに決まってるだろう」
そんなステラの問いかけに、パパは当然のようにそう答えた。
そして、場が温まってきたところで、フレアも目に炎を宿す。
「──設定でも現実でも最強無敵の魔法少女を目指しましょう!
人気も負けてられませんよ!
必殺技は?
……必殺技はあるんでしょうね!」
そんなフレアに2人は驚くが、すぐに乗り気になって。
「ほほう、フレアも熱くなっているようだな。
安心しろ。最近は寝る前にステラと『もし魔法少女になったら』と言う話をしててな。
必殺技はもう考えてあるのだ」
「そうだよ!
ステラのひっさつわざ、みたい?」
ステッキをぎゅっと握って、ステラはキリリとした表情になる。
「見たいです!
さあ、外に出てぶっ放しましょう!」
「やった〜!
パパ、フレア、いこう!」
● ● ●
──3人は急いで屋敷から出ると、森の少し開けた場所に移動する。
「ステラ、掛け声はちゃんと覚えているか?」
「うん!
パパとたくさん、れんしゅうしたからね」
「素晴らしい!
その必殺技なら光属性だし、しっかり想像する事で実現させられるはずだ。安心して練習通りにやってみなさい」
「はーい」
「ドキドキしますね……!
これが、ステラさんの初めて使う正式な技……!
ステラさんの代名詞になるかもしれませんからね」
「いくよ〜」
ステラは小さな翼をぴんっと広げて、真剣な面持ちで杖を構えたかと思うと、次の瞬間……役に入り切ったように可愛らしい笑顔で魔力を杖に込めていく。
「聖杖シャイニースパークルよ、わたしにちからを!
いくよ〜!」
明るい赤色の光をまとって飛翔。キラキラとしたオーラと煌めきで周囲を覆い、狙いを定める。
「ステラ、あの10mくらいの岩を狙いなさい!」
ゼティフォールの指差す方を見て、ステラはシャイニースパークルを向けた。そして──
「ステラホーミングレイ!!」
無数の煌めく赤い閃光が溢れ出したかと思うと、次の瞬間凄まじい爆音を轟かせながら、岩とその周囲直径100mを消し炭……いや、無に帰した。
「エクセレント!!
ステラ、完璧だ!!!」
「やっほーい!」
それは、まさに必殺だった。
浄化とか生易しいものではない、邪悪を滅ぼす裁きの光なのであった。
「……ステラさん、いける!
いけますよ!
これは、テッペン取れますよ!!」
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