表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
救われなかった世界のために  作者: 無徒 静
第二章
179/200

エピローグ2 アイナの正体

 目を覚まして最初に視界に入ったのは石造りの天井だった。

 まるで牢獄のようなその部屋を見て、アイナは自分に何が起きたのかを思い出す。


「……ああ、そっか。私、攫われちゃったんだ」


 口にした言葉とは裏腹に、アイナは自分でも不思議な程、落ち着いていた。

 きっと、そんなことよりずっとショックなことがあったせいだろう。


「サフィ……。どうしてあんなことを……?」


 宙に霧散するはずだったその呟きに、「知りたい?」と答える声がした。


「おはよう、アイナちゃん。よく眠れた?」


「ハンザさん!?」


 アイナは眠っていたベッドから体を起こすと、そこでようやく自分とハンザの間にある鉄格子に気付いた。


「これは……、どういうことですか? 私は一体、どうなって……」


「ああ、うん。まあ、事情を簡単に説明すると、俺が君を攫ってここまで連れて来たんだ」


「ハンザさんが!? 何で、そんなことを!?」


「それを教えてもいいけれど、本当に知る覚悟はある?」


「覚悟って……」違和感のある言葉にアイナは自分の腰が引けるのを感じた。「な、何に対してのですか?」


「自分が何者であるかを知る覚悟だよ」


「私が?」

 

「そう。どうして君は、怪物の出現を予見出来るのか。その理由を考えたことはあるかい?」


「そ、そんなの……」


 考えなかったことなどない。

 だが、どれだけ考えても答えは得られなかった。

 だから、漠然と自分には不思議な力があるのだと整理を付けていた。

 そこに何か特別な理由があるなどとは思わなかった。


 いや、きっと考えないようにしていたのだ。

 精霊の力とも魔法とも違う何か。

 怪物の出現を予見するという忌むべきこの力の正体を知れば、何か取り返しのつかないことになる予感があった。


 自分だけが怪物と繋がっている。

 その事実をひた隠しにして来たのは、結局、知ることが怖かったからだった。


 それでも、ステインと出会い、サフィと出会い、そしてナッシュたちとの旅を経て、もう逃げるわけにはいかないと思うようになった。

 この力からも、自分の運命からも。


 だから、アイナは訊いた。


「教えて下さい。私は一体、何者なんですか?」


 その返事にハンザは残念そうに息を吐く。


「まあ、君はやっぱりそう言うよね。君は自分の運命から逃げられない。そういう所はあいつらとそっくりだ……」


 普段のおちゃらけた態度とは対照的に、今のハンザはひどく打ちひしがれているように見えた。


「ハンザさん?」


「ああ、ごめん。何でもないよ」ハンザはそう答えると、アイナに信じがたい事実を伝えた。「君はね、災厄の魔女と呼ばれる存在なんだ」


「災厄の、魔女? 何ですか、それは?」


「この世界に滅びと救いを齎す存在だよ」


 そして、ハンザは語った。

 歴史の裏に葬られた災厄の魔女と呼ばれる人々の悲劇について。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ