田中さんと捨て猫
下校中、段ボールに入った猫を見つけた。
「捨て猫だね」
「・・・・にゃ~」
「あらら」
「私、猫好きなんだにゃ~」
「そうなんだにゃ~」
かれこれ三十分になる。
「田中さん、帰るよ~」
「ま、待ってにゃ~、もう少しにゃ~」
「そのセリフ三回目だにゃ~」
「うぅ~、可愛いにゃ~、飼いたいにゃ~」
「ほら帰りますにゃ~」
「あんたたち何してるの? あっ、ね、猫じゃない!」
木村さんが現れた。
けど木村さんも猫好きらしい。
「面倒が二倍か」
「きーちゃん、猫可愛いにゃ~」
「た、田中も可愛い、にゃ、にゃ~」
「おお、木村さんもやった」
「だ、だって可愛いし!」
「木村さんにゃ~が抜けてるーにゃっ!? 蹴らないで木村さん!」
「ん(何してるの? あら、猫?)」
佐藤が現れた。
佐藤は猫好きではない。
「仲間が増えた気がする」
「ん(保護者になったつもりはないけれど)」
「あらら」
「ん(まあ、こんなこともあろうかと猫耳ウィッグは用意してあるから)」
「僕はツッコミしないからなー」
「姉貴何してん、だぁ!? な、なんであんたが?」
弟くんも来た。大騒ぎだ。
弟くんは犬派らしい。
「犬好きなの?」
「は、はい。うちは飼えないけど、近所に一匹いて」
「へええ」
「ん(あの子の弟さん、けっこう可愛いわね)」
「出てくんな魔女」
「べ、別に平気です!」
「あらら」
「そ、それで、そっちの人とあんた、どーいう?」
「ん(幼馴染み)」
「そうだね。長い付き合いだよ」
(え!? も、もしかして恋人!? 今度遊びに行くときのオマケって、ほ、本当は二人にとって!?)
「? どうしたの弟くん?」
結局、首根っこ掴んで帰りました。猫は近くに住んでいるお婆さんが育ててくれるそうです。
めでたしめでたし。
「うぅ、もしそうでも諦めないぞ!」




