↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀河帝国の悪役令嬢、追放先で開拓する〜イケメンを集めたら逆ハーレムが被害者の会になりましたわ〜  作者: 一場令衣
第四章 領主エレオノーラ、爆進ですわ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/86

24 大型竜接近!?

20261021改題しました。

 午後のノイエルデに、警報が響いた。


 出現したのは、大型竜。


 市街地付近への飛来を受け、ディートリヒたちの小隊が緊急出動した。


 大型竜への対応は、初めてではない。

 南の島では、赤いワイバーンとも戦っている。


 もっとも、あのときは倒すのではなく、浜辺から遠ざけた。今回もまずは状況を確認し、市街地への接近を防ぐ必要がある。


 そう考えていたディートリヒは、前方の映像を見た。


「……あれですか?」


『あれだな』


「大型竜?」


『そう聞いていたが』


 大きかった。


(いや、大型竜っていうサイズじゃないだろ)


 翼が動くたび、その下の木々が大きく揺れる。長い首の先で頭が持ち上がり、開いた顎の奥に牙が並んでいた。


 十九メートルはある騎士機(キャバリエ)に乗っているのに、見上げている。


「超大型じゃないですか!」


『分類を訂正してる場合か! 街へ向かってるぞ!』


 隊長機からツッコミが入る。


 竜の目指す先、その向こうには、市街地があった。


 工事中の建物。道路。人の住む家。

 領主と住民たちが、何か月もかけて造ってきた街だ。


 あの巨体を、近づけるわけにはいかない。


 だが、ここで無闇に撃てば、竜が暴れた余波まで街へ届きかねなかった。


「市街地から引き離します。こちらへ注意を!」


『了解!』


 僚機が左右へ展開した。



 ─────



 同じ頃、領府では、エレオノーラが出撃の報告を受けていた。


「ディートリヒたちが?」


 手元の書類から顔を上げる。


 大型竜が市街地へ接近しているため、騎士機の小隊が対応中。街から遠ざけながら交戦するとの説明に、エレオノーラは眉を寄せた。


 ようやく建った家もある。まだ建築中のものもある。踏まれれば、また資材の発注からやり直しだ。


 何より、あそこには人が住んでいる。


「市街地への被害を防ぐことを優先してくださいまし。それで、討伐はできそうですの?」


「現地で対応を進めております。シュタイン氏からは、ブーストモードの実戦投入を強く勧める連絡が」


「ブーストモード」


 毎日オットーが鍛えていた、あの機能である。


 ディートリヒが椅子から立てなくなるほど訓練し、継続時間のグラフが少しずつ伸びていた、あの。


 ついに、実戦。


「……そうですの」


 静かな声だった。


 エレオノーラは書類を机へ置き、引き出しを開けた。


 奥へ手を伸ばす。


 周囲の視線が、その手元へ集まった。


「……ついに、これを使う日が来ましたわ……!」


 取り出したものを抱え、エレオノーラは立ち上がった。


「屋上へ参ります!」


「お嬢様?」


 職員の呼びかけに、振り返る余裕もない。


 その後ろをセバスティアンと護衛騎士が追い、メイドたちも続いた。アクセルとシャオは顔を見合わせ、揃って廊下へ出る。


「……何始めんだ、姫さん」


「さあ。えらい張り切ってはるけど」


 少なくとも、避難に向かう足取りではなかった。



 ─────



 プレハブの屋上は、風が強かった。


 階段を上がったエレオノーラの金髪が揺れ、マリーがすぐにそばへ寄る。その頭上を、女性護衛騎士たちの視線が隙なく走った。


 遠方では、巨大な翼が動いていた。


 その周囲を騎士機が飛び、射撃の光が走る。少し遅れて届く砲声に、屋上へ出てきた職員が身を強張らせた。


「ここなら見えますわ!」


 エレオノーラが、抱えてきたものを持ち上げた。


 棒だった。


 アクセルは、その手元を見た。


 光った。


「あ?」


 もう一本、光った。


 領主が両手に握った発光棒を見て、ようやく察した。


「……は? っぷっ……ほんっとおもしれー!」


 肩を震わせるアクセルへ、エレオノーラは一本差し出した。


「あなたもどうぞ!」


「俺もやんのかよ!」


「当然ですわ! せっかくいらっしゃるんですもの!」


 笑いながら受け取ったアクセルの手元で、リヒトシュタープ(ペンライト)が点灯した。


 エレオノーラは満足そうに頷き、隣へ向き直る。


「殿下も」


「……え? ぼくも?」


 シャオの手にも、一本収まった。


 外交上の贈答品にしては、ずいぶん受け渡しが雑だった。


「マリー! ジュリア!」


「はい、お嬢様」


 ジュリアが進み出る。リヒトシュタープを受け取り、主人の手元を見ながら点灯させた。


 その隣で、マリーにはうちわがいくつも渡された。


 広げれば、大きな文字で『ディートリヒ』、『斬って』、『ファンサして』、『宇宙一』。


 マリーは、それを見た。


 主人を見た。


 もう一度、うちわを見た。


「さあ、応援いたしますわよ!」


「……かしこまりました」


 返事は完璧だった。


 目からは、光が消えていた。


 エレオノーラはリヒトシュタープの色を切り替える。真紅、青、緑と送って、灰青の光で止めた。


 遠くで騎士機が旋回する。


 あそこに、ディートリヒがいる。


 その彼を応援するために、自分はこれを作ったのである。


「ついに! ついに推しを応援できますわーー!!」


 両手の光が、勢いよく空へ上がった。


「ディートリヒーー! 頑張ってくださいましーー!」


 ジュリアも笑顔で腕を上げた。


 アクセルは笑いすぎて、振っているのか手が震えているのか分からない。


 シャオは隣を見ながら、ひとまず同じ方向へ振ってみた。


「……これでええん?」


「もっと大きく!」


「注文までつくんやなぁ」


 マリーは、死んだ目でうちわを振っていた。



 ─────



「あの……避難は……」


 遅れて屋上へ出てきたネーベルが、階段の入口で立ち止まった。


 領主の両手には、なぜか発光棒。


 ネーベルは眼鏡を押し上げた。


 見間違いではなかった。


「お嬢様。こちらは見晴らしがよすぎるのでは」


「ネーベル! ちょうどよかったですわ!」


 エレオノーラが振り返った。


 よくなかった。


 名前を呼ばれた瞬間、ネーベルには分かった。


「あなたは応援弾幕を撃ってくださいまし!」


「…………」


 幻影魔法の使い手は、黙った。


 敵の認識を乱す。

 領府役所の案内表示。

 交通標識。


 今回はそれらとは別の使い道を、また求められていた。


 ネーベルは、マリーの手元のうちわを見た。

 大きくてやや丸っこい書体で書かれている、ソレ。

 指先を動かす。


 ピンクと赤のグラデーションの文字が、空に浮かび上がった。


『ディートリヒ』

『斬って』

『宇宙一』


 プレハブの上空に、竜より目立つ応援メッセージが並んだ。


「ですから、避難を……!」


 職員の声が、横から重なる。


「公女殿下だけでも、屋内へお戻りください!」


「まあ、今いいところですのに!」


 観劇中のような返事だった。


 遠くで竜が首を振る。騎士機がその牙を避け、別の機体が射撃を加えた。


 職員の顔色が変わった。


 セバスティアンは、黙ってその戦況を見ていた。


 女性護衛騎士たちも何も言わず魔力のシールドを展開した。


 正面だけではない。左右からも頭上からも守れるよう、騎士たちが間隔を取っている。


 その内側で、領主がリヒトシュタープを振った。


 ─────


「さあ、ミー・ディさんもご一緒に!」


 屋上へ招かれた巡礼者に、エレオノーラはリヒトシュタープを握らせた。


『女神様! これは何の儀式ですか!?』


「推しを応援する神聖な儀式ですわ!」


『おおお! 戦神の鼓舞! わたしも参加いたします!』


 ミー・ディはすぐさま理解し、感激し、見よう見まねで光る棒を振り始めた。背中の巨大な卵まで、一緒に揺れる。


「ぶっははははは!!」


「……あの卵、重ないんやろか」


 アクセルが腹を抱え、シャオが首を傾げる隣で、マリーは死んだ目でうちわを振っていた。


 外では竜が暴れている。


 屋上では、その竜の卵を背負った巡礼者が、竜と戦う騎士を応援している。


 ネーベルは眼鏡を押し上げた。


「……卵だけでも屋内へ運びませんか」


「今はディートリヒの見せ場ですわーー!!」


 女神様は聞いていなかった。信者も夢中で振っていた。

 最後まで読んでくださりありがとうございます。


「皆さま、ご覧あそばせ! 画面の下にある【☆☆☆☆☆】評価と【ブックマーク】は、我が惑星を開拓するための貴重なエネルギー資源ですわ!」


「……ええ、維持費もガチャ代もシャレになりませんので、何卒ポチッとよろしくてよ!」


 ご感想もお待ちしておりますわー! おーっほほほ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。