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銀河帝国の悪役令嬢、追放先で開拓する〜イケメンを集めたら逆ハーレムが被害者の会になりましたわ〜  作者: 一場令衣
第四章 領主エレオノーラ、爆進ですわ!

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19  冬ですの?

 秋。ノイエルデにも、冬が近づいていた。


 朝晩の空気が冷たくなり、屋敷でも薄い上着が一枚増えた。そろそろ冬物を用意しなければ。温かい飲み物もよい。菓子も、それに合わせたものが欲しい。


 ただし、領主が用意する冬支度は、それだけでは済まなかった。


 エレオノーラは執務机に広げられた資料を見た。


 食糧。暖房。燃料。防寒設備。備蓄。


 項目の横には必要量があり、その隣には現状があり、さらにその隣には不足分がある。


 不足分の欄が、埋まっていた。大量に。


「ピンチですわ!」


「そうだね」


 イルゼが頷いた。


「まだ、準備を始めたばかりですのよ?」


「始めたから分かったのです」


 もっともだった。


 エレオノーラは端末を引き寄せ、項目を一つずつ確認する。


 燃料については、少し光明が見えていた。探査中の鉱山会社から、大規模な魔石鉱脈を示す反応が見つかったとの報告が届いている。


 正式な認定も、採掘もこれからだが、将来の供給に希望が持てる知らせだった。


「魔石が出れば、燃料の心配は減りますわね」


「供給できるようになれば、ですが」


 ネーベルが資料から顔を上げる。

 目の下のクマがひどい、薄紫の髪もこころなしかキューティクルがすくない。


「掘り出しただけの原石を、そのまま暖房には使えません」


「存じておりますわ……」


 見つかった。

 掘れた。

 この間にも、仕事と金が必要だった。


 それでも、何も見つからないよりはずっとよい。エレオノーラは気を取り直し、食糧の項目へ移った。


 そして、再び眉を寄せた。


「……こちらは、地下から出てきませんわね」


 芋やキャベツの作付けは、すでに始まっている。畜産はまだまだこれからだ。

 ギルドはすでに大型ギルド所有船を暫定のギルド支部としてすでに運用を始めた。おかげで竜種ハンターや冒険者の移民も増えてきた。


 食べ物を得る手段は増えている。


 問題は、それを食べる人間も増えていることだった。


「収穫量の見込みに対して、人口の増加が早すぎます」


 ネーベルが人口推移の表を示す。


 エレオノーラは、その線を指で追った。


 街が成長している。

 人が来ている。


 喜ばしいことだった。食糧の資料と並べるまでは。


「〈ヴァルテンベルク〉の農業ブロックを拡大……?」


 船内なら、地上の天候に左右されず作物を育てられる。


「それとも、公爵領から備蓄を出していただく……?」


 実家へ頼めば、調達の相談はできるだろう。しかし、必要な量を船へ積み、ここまで運び、保管するところまで考えなければならない。


 頼むだけで食卓へ並ぶわけではなかった。


「うーん……」


 イルゼは備蓄量と支出の見込みを照合している。その顔は、ちっとも明るくならない。


 ネーベルも、人口と冬季の必要量を見比べたまま黙っていた。


「……少し多めに運べば安心、という量ではございませんのね」


「冬の間に消費する分を、先に揃える必要があります」


 イルゼが答えた。


「人口の増加も見込んで、だよ」


「増える予定の口まで……」


 エレオノーラは背もたれへ身を預けた。


 人が来れば、家が要る。仕事が要る。食べ物が要る。


 しかも今回は、暖かくしておく必要まである。


 そこへ、セバスティアンが端末を手に歩み寄った。


「お嬢様。こちらが、エレンシュタット周辺の冬季参考映像でございます」


「まあ」


 エレオノーラは姿勢を戻した。


 雪景色だろうか。


 街並みが白くなれば、美しいかもしれない。冬季の道路や建物の状態も見ておくべきだ。


 セバスティアンが映像を再生する。


 ビュオオオオオオオオ!!


 ガタガタガタガタガタ!!


「…………えっ」


 白かった。


 美しい雪景色、という意味ではない。


 画面いっぱいに雪が吹き荒れ、何も見えなかった。


 雪は空から降るだけでなく、地面からも巻き上がっている。猛烈な風に押され、白い壁となって画面を横切った。


 撮影機器が細かく震える。風の音に、ほかの音がほとんど聞こえない。


 雪煙の向こうへ建物らしき影が浮かび、次の瞬間には消えた。


「これが?」


「はい」


「冬ですの?」


「冬季の地吹雪でございます」


 エレオノーラは画面へ顔を近づけた。


 近づいても、何も見えなかった。


「……外を歩けませんわね?」


「こうした天候の際は、外出を控える必要がございます」


 セバスティアンは、いつもの穏やかな声で続ける。


「冬季の平均気温は、おおむねマイナス十五度でございます」


「平均がマイナス十五!?」


 エレオノーラが顔を上げた。


「それは人間が生きられますの!?」


「現地住民は冬までに食糧を備蓄し、厳冬期は外出を控えます。暖房にも、各家庭や集落で工夫がございます」


 備えて、籠もる。


 そのための家と暖房と燃料と食糧が要る。

 エレオノーラは、机の資料へ視線を落とした。


 もう一度、映像を見る。


 猛烈な風。巻き上がる雪。雪が降るなどという生易しいレベルではない。白い壁の向こうへ消える建物。


 これが流刑地。


「まっ……」


 エレオノーラは机へ両手をついた。


「マジのピンチですわーーーー!!!」


 最後まで読んでくださりありがとうございます。


「皆さま、ご覧あそばせ! 画面の下にある【☆☆☆☆☆】評価と【ブックマーク】は、我が惑星を開拓するための貴重なエネルギー資源ですわ!」


「……ええ、維持費もガチャ代もシャレになりませんので、何卒ポチッとよろしくてよ!」


 ご感想もお待ちしておりますわー! おーっほほほ!

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