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銀河帝国の悪役令嬢、追放先で開拓する〜イケメンを集めたら逆ハーレムが被害者の会になりましたわ〜  作者: 一場令衣
第四章 領主エレオノーラ、爆進ですわ!

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6 推し活の循環型経済ですわ!

 

 試作品が完成したのは、それからしばらく後だった。


 エレオノーラは棒状の器具を握る。


 点灯。


 まずは誘導灯カラー。現場で即使える。


 真紅。


「まあ!」


 もう一度操作する。


 青。


「おお!」


 緑。


「いいですわ!」


 ピンク。


 金。


 ディートリヒの灰青。淡いグレーブルーだ。


「推し色ですわーーー!!」


 そして最後に。


 虹色。


「おーっほほほほ! これですわ! これぞ最高レアですわーーー!」


 ぶんぶんと振る。


 光の軌跡が宙を走った。


 腕も使う。


 意外と運動になる。


「推しを応援できて、健康にもよろしい! 完璧ではなくて!?」


「…………」


 セバスティアンは、楽しそうに試作品を振る主人を眺めていた。


 真紅。青。緑。ピンク。金。


 灰青。


 そして、机の上の商品企画書へ視線を落とす。


 製造費は、さほど高くない。


 用途も分かりやすい。


 色違いを展開できる。


 応援目的ならば、複数を購入する者も出るだろう。


 何より。


 現在のヴァルテンベルク領内には――エレオノーラ本人を支持する者が多い。


「お嬢様」


「なにかしら?」


 虹色に光るペンライトを振ったまま、エレオノーラが振り返った。


「一つ、ご提案がございます」


「まあ、聞きますわ」


 セバスティアンは袋の商品説明を指差した。


「ここに一文を添えれば」


「?」


「爆発的に売れます」


「……?」


 エレオノーラは、虹色の光を握ったまま首を傾げた。



 ─────



 エレオノーラ・ブランド、応援用発光棒は〈ヴァルテンベルク〉内であっという間に生産された。


 『推しを応援しよう!』


 真紅/ケーニヒスブラウ/深緑/ピンク/その他各色。


 色変更機能搭載。


 観劇、競技、式典、祭典。


 さらには簡易誘導灯としても使用可能。


「悪くありませんわね」


「ありがとうございます」


「ですが、前とほとんど変わっていないような――」


「こちらでございます」


 セバスティアンが指差した。


 パッケージの袋、その商品説明の一番下。


 そこに、小さな一文が追加されていた。


 ※売上金の一部は、エレオノーラ様によるノイエルデ開拓事業の応援資金として活用されます。


「…………」


「いかがでしょう」


「…………」


 エレオノーラは商品説明を見た。


 セバスティアンを見た。


 もう一度、商品説明を見た。


「それ、わたくしを推す商品になってません!?」


「左様でございます」


「堂々と言いましたわね!?」


 何を当然のことを、という顔をしている。


「お嬢様を応援しながら、お嬢様が進めておられるノイエルデ開拓事業にも貢献できます」


「ええ」


「つまり、購入者は商品を購入することでお嬢様を応援し、その売上がお嬢様の事業へ還元される」


「…………」


「二重の応援となります」


「…………!」


 エレオノーラの目が見開かれた。


「推し活の循環型経済……!」


「その表現が適切かは分かりかねますが」


「素晴らしいですわ!」


 エレオノーラは再びペンライトを振った。


「採用ですわ! これで参ります!」


「かしこまりました」


 セバスティアンは一礼した。


 こうして。


 エレオノーラは、自分が欲しかった推し活グッズを商品化した。


 そして、発売された。


 ヴァルテンベルク領内。


 売れた。


 傘下惑星。


 売れた。


 ノイエルデへの移民希望者。


 買った。


 領内企業。


 箱で買った。


 貴族家。


「ヴァルテンベルク公爵家への忠誠の証として」

「公女様への支援として」

「よそが買ってるのにうちが買わないわけにはいかない」


 まとめて買った。


 軍。


「我が隊は青で統一するぞ!」

「了解!」


 なぜか隊ごとに色を揃え始めた。


 子供。


「これ欲しい!」


 普通に欲しがった。


 祭典。


「せーの!」


 全員で振った。


 結果。


 あほほど売れた。


「…………」


 会計部。


 イルゼは売上表を見つめていた。


 無言だった。


 端末を操作する。


 もう一度数字を見る。


 また操作する。


「…………」


 三度見した。


「どうでしたの?」


 エレオノーラが期待に満ちた顔で尋ねる。


 イルゼは顔を上げた。


「追加生産です」


「そんなに!?」


「現在の在庫では足りません」


「まあ!」


 エレオノーラは嬉しそうに手を合わせた。


「皆さま、そんなに推しがいらっしゃいますのね!」


「違います」


「?」


「お嬢様を応援しているのです」


「…………」


 エレオノーラが止まった。


「…………わたくしを?」


「はい」


「皆さまが?」


「はい」


「…………」


 エレオノーラは自分を指差した。


「わたくしが推されてますの!?」


「今さらでございますか」


 セバスティアンが言った。


「だってこれは推しを応援するための商品ですわよ!?」


「ですから、皆さまお嬢様を応援しておられるのでしょう」


「まぁ! ですがわたくし悪役令嬢でしてよ」


「悪役?」


「綺麗な循環かと」


「これが推し活の循環型経済……!」


「お嬢様、その言葉がお気に召しただけでは?」


 その後も、発光棒は売れ続けた。


 中でも人気だったのが、ヴァルテンベルク公爵家の色。


 真紅。


 当初は単なるカラーバリエーションの一つにすぎなかった。


 しかし、いつしか。


 エレオノーラを応援する者たちは、自然と真紅を選ぶようになった。



 うちの公爵令嬢はペンライトを売ることにしました。


 最後まで読んでくださりありがとうございます。


「皆さま、ご照覧あれ! 画面の下にある【☆☆☆☆☆】評価(※星のエネルギー)と【ブックマーク】は、我が惑星を開拓するための貴重なエネルギー資源ですわ!」


「……ええ、維持費もガチャ代もシャレになりませんので、何卒ポチッとよろしくてよ!」


 お嬢様への応援、皆さまからのご感想を感想欄にてお待ちしておりますわー!

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