↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀河帝国の悪役令嬢、追放先で開拓する〜イケメンを集めたら逆ハーレムが被害者の会になりましたわ〜  作者: 一場令衣
第二章 わたくしの領地へようこそ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/82

12 アンナ旅立つ

 帝都──。


「旅に出たいだと?」


 エアハルトは、執務机の向こうに立つアンナを見た。


「はい。銀河に、私の助けを必要とする星と人がたくさんいますので」


 アンナは胸元で手を重ねた。

 ピンクオーロラの瞳がまっすぐに皇太子を見つめている。


 エアハルトは、その隣の男を一瞥した。


 アルブレヒトは涼しい顔をしていた。

 それが、なおさら気に入らなかった。


「では、うちの船を──」


「いや。皇太子のエンブレムを飾った船が来たとなれば、迎える側も外交官以上の待遇をせねばなるまい。うちが船を出す」


「なに」


「いえ、わたしは……」


「星乙女の力なら、我が星が今もっとも必要としている」


 アルブレヒトは、アンナへ視線を向けた。


 彼女が乗る船と、最初の行き先が、本人の言葉を追い越して決まりかけていた。


「だが、それでアンナをそちらに縛り付けるつもりなんだろう」


 エアハルトの声が低くなる。


 ホーエンフェルスへ連れていかれる。

 ただそれだけの話ではない。


 アンナとの婚約は、思うように進んでいなかった。

 星乙女としていかに特別であろうと、男爵家の身分は、皇太子妃を迎えるための条件を満たさない。家格も、後ろ盾も、整えなければならなかった。


 とくにヴァルテンべルク派閥が先鋒となって批判、上位貴族への養子を阻止していた。

 当然である、あんな婚約破棄と追放騒動があったのだ。反発は大きい。


 そのさなかで、ホーエンフェルスであちらの派閥の貴族に養子として迎えられでもしたら。


 アンナを妻にするために、目の前の男へ頭を下げることになるのか。

 最悪、強引にアンナが奴と婚約を結ばされてしまうのではないか。


「エアハルト様」


 アンナの声が、思考を遮った。


 アンナが机の脇へ回り込んでくる。

 小さな手が、彼の手に触れた。


「わたしは、ここを拠点に活動するつもりです」


 両手で包むように、きゅっと握られる。


「ですから」


 見上げてくる瞳に、光が揺れた。


「星々の巡りが、また私たちを結ぶ時、再び会えます」


「……アンナ」


 エアハルトの眉間が緩む。


 自分のもとへ帰ってくる。

 ここを、彼女の帰る場所にする。

 そう言ってくれたのだ。


「そうか。ならば……待っている」


 握られた手を、そっと握り返す。


 アルブレヒトが鼻を鳴らした。


「フン」


 また上手いこと言いくるめられている。

 帰還の日付は、一言も出ていなかった。


「旅行? 俺もついてっていいか?」


 応接席から、マクシミリアンが顔を上げた。


「え、えぇ」


「よし!」


 立ち上がるまでが早かった。


「僕も」


 ルーカスが穏やかに続く。


 コンラートだけは、すぐに返事をしなかった。


 姉の顔が浮かんだ。

 ヴァルテンベルク家の継嗣という、自分の立場も。


 エレオノーラが追放されたあとも皇城に残り、今度はアンナとホーエンフェルスへ行く。

 それが家にどう見えるか、分からないほど子供ではなかった。


 けれど、アンナがこちらを見る。


 コンラートは、膝の上で指を組み直した。


「……僕は」


「では、船の手配について相談しよう」


 アルブレヒトが、優雅に一礼してアンナへ手を差し出した。


 エアハルトの手から、彼女の指がするりと離れる。


 引き留める間もなかった。

 つい先ほどまで自分を包んでいた手を、今度はアルブレヒトが恭しく取っている。


「足りないものがあれば、こちらで用意させる」


「ありがとうございます、アルブレヒト様」


 アンナが微笑む。

 銀髪の青年に伴われ、扉へ向かう。


 マクシミリアンが続き、ルーカスも席を立った。


 コンラートは一拍遅れて立ち上がる。

 同行すると決めたわけではない。まだ、話を聞くだけだ。


 そう自分に言い聞かせながら、一行のあとを追った。


「では、エアハルト様。また」


 扉の前で、アンナが振り返った。


 エアハルトは頷いた。

 彼女が見ている間は、それができた。


 扉が閉まる。


 廊下から聞こえていた声も、やがて遠ざかった。


 執務机の上には、途中の書類が残っていた。


 しばらくして。


 ドン。


 拳が机を打った。


「どうして……俺は、いつも……」


 続きが出てこない。


 待っていると、自分で言った。 旅を認めたのも、自分だ。


 だが、なぜ当然のようにアルブレヒトが隣に立つ。

 なぜ、あいつらはあんなにも簡単についていける。


 自分には、責務がある。仕事がある。 皇太子として、離れられない場所がある。


 その間に、彼女は行ってしまう。


 手のひらには、まだ温もりが残っていた。


 アンナを、本気で愛している。 だからこそ、求められれば力になりたい。


 なのに、去り際の微笑みを思い出すと、怒る気にすらなれなかった。


 エアハルトは、握っていた拳を開いた。


 星々がいくつ巡れば、彼女は戻ってくるのだろう。


 聞いておけばよかった。


 そして、元婚約者の令嬢のことは、この日もやはり、一度も頭をよぎらなかった。




 こうして──

 どちらがより多く、より早く、より顔の良い男を集められるのか。


 星乙女と悪役令嬢による、銀河規模のイケメン争奪戦。その火蓋は、今まさに切って落とされたのである。


 なお、集められた男たちはホーム画面に配置され、イケボを披露し、プレイヤーにつつかれ、時には色っぽい声を上げるのであった。




【現在の勢力図】


 ■エレオノーラ陣営


【UR】

 ディートリヒ


【SSR】

 セバスティアン


【拠点・軍事戦力】

 ・《ヴァルテンベルク》(都市機能あり)

 ・ヴァルテンベルク艦隊(随伴艦・空騎士部隊を含む)

 ・惑星ノイエルデ


【R・SR級/拠点・産業機能】

 会計、農業、灌漑、魔導炉開発、艦隊運用、


【N・HN】

 開拓、行政、技術、物流、建設、農業、その他多数



 ■アンナ陣営


【SSR】

 エアハルト、アルブレヒト、ルーカス、コンラート、マクシミリアン


【SR以下/拠点機能】

 ・宇宙船/小型飛行艇

 ・BGM変更

 ・宿舎

 BGMはルーカスですね。

 登場人物まとめもUPします。


 最後まで読んでくださりありがとうございます。

 面白い、続きが気になると思われた方は、ぜひ下にある【☆☆☆☆☆】評価&ブックマークで応援をしていただけると嬉しいです。


 感想もお待ちしております!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。