第二章 第十五話 ぎわくのひと
二話連続掲載の一話目です。
では、どうぞ。
その日、帰り道で、お昼はみんなでおにババ食堂に行こうと決まりました。
おとなたちが話しあって決めたのです。
なにかあったときに、子どもたちがばらばらでいるよりも守りやすいし、あたらしいお友だちのぽこみと話す時間を作ってあげたかったからです。
急な申し出でしたが、おにババはいやな顔なんてしないで引き受けてくれました。
お昼になるまでの間、子どもたちは宿題をしたり、おしゃべりをしたりしてすごしました。
ぽこみの周りには女の子がいっぱいです。
男の子だって、あたらしいお友だちができるのはうれしいことなので、何人も輪にくわわっています。
そんな子どもたちからはなれたところで、きゅうびとごんたとたぬまるはないしょ話をしていました。
「いきなりだけど、おれ、ずっと考えてたんだ。きゅうびもいわれたんだろ? へびに気をつけろって」
「うん」
「ごんたはいわれたか?」
「ううん、ぼくの夢にはでてきてない。すくなくともいまのところは」
「あのな、ばかげてるとは思うよ。思うけど、ひとつの可能性としてだぞ、語り部さまって、へびだよな?」
「うん。……え! まさか」
ときゅうびはおどろきました。
「そう。そのまさか。可能性はひくいとは思うけど、ゼロじゃないよな?」
「もし語り部さまだったとして、動機は、なに?」
とごんたがききました。
「それはまったくわからない。でも、へびで、かわぞうを石にするだけの力をもってるのって、語り部さまいがいには考えられなくないか?」
「そういわれると……」
ときゅうびは息をのみました。
「……そうかもしれないけど、でも……」
とごんたは考えこみました。
「おれが考える動機はこうだ。こないだおれたちが助けたおおきなへびがいただろ。あれはほんとうは語り部さまががけから落としたんじゃないか? どんな理由かはわからないけど。それでおれたちが見つけたときに、あんなにタイミングよくでてきたんじゃないかな。それで、殺すつもりだったへびを助けるかたちになった。そしたら、殺せなかったほうはどんな気持ちになると思う?」
「腹が立つ」
ときゅうびが答えました。
「頭にくる」
とごんたが答えました。
「だから、もしも、だぞ。万が一、かわぞうを石にしたのが語り部さまだったとしたら、つぎに狙われるのは、おれか、きゅうびか、ごんたってことには、ならないか?」
きゅうびもごんたもぞっと寒気がして、返事できませんでした。
「可能性は低いけど、信ぴょう性あるだろ?」
「でも、ぼくはやっぱり、語り部さまがそんなことするとは思えないよ」
とごんたがいいました。
「おれだって思えないさ。だからあくまで可能性の話だ。でも、石にされてからじゃおそいだろ。だから、なんかいい考えがひらめかないかなあって、考えてるんだ」
三人が頭を悩ませていると、おにババがきました。
「三人そろって、なにやってんだい? 悪だくみじゃないだろうね?」
そう笑いました。
でも、おにババに話すわけにもいきません。
「年ごろの男の子も、いろいろとたいへんなんだよ」
たぬまるがそうはぐらかすと、おにババはひひひひひと笑いました。
三人寄れば文殊の知恵といいますが、よい考えがでないまま、時間だけがすぎていってしまいました。
その日の夕方に、ごんたとごんたの両親が石にされているのを、夜になってばんざいやまの見回りをしていたおおかみ男が発見しました。
ここまでお読みいただいた方ならピンときたと思うんですけど、
二話連続掲載の理由は今話が「短い」からです。
続きも読んでいただけたら嬉しいです。
では、また。




