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第二章 第六話  ふと、ひらめいて

桜の花。私は大好きです。六月下旬くらいのイメージで書いているので

ばんざいやまではもう散ってしまいましたが、みなさんの地域では

どうですか? 散ってしまいましたか? これからですか?

綺麗なものをたくさんみられたら、いいですね。


では、どうぞ。

 語り部さまはいつも、夜が明ける前に目を覚まします。

 そして身支度を整えたら、四人の弟子とともに神さまに祈りをささげるのです。


 弟子は語り部さまの息子と犬、猿、雉の四人です。

 息子の名前はもも、いぬはがぶ、さるはもんも、キジはほろろという名前です。

 ももともんもはにているので、続けて呼ぶときは「もも、もんもん」と「ん」を繰り返していうことで強めていうようにしています。


 語り部さまはみんなから「語り部さま」と呼ばれていますが、本当の名前は「みう」です。

 巳の雨と書きます。

 でもばんざいやまのお友だちからは尊敬の念をこめて、語り部さまと呼ばれています。

 名前に「へび」という文字が入っていることからもわかるように、語り部さまはへびです。

 それも神さまの使いといわれているしろへびです。

 語り部になるだけの知性だけでなく、悪いてきをたおす神通力ももちあわせているのです。

 やまの用心棒、おおかみ男も


「語り部さまは女性だけど、語り部さまには勝てないと思うな」


 というほどです。


 神さまに祈りをささげたあとは、朝日が昇るのを見とどけます。

 やまから太陽がでてきて、ばんざいやまを光でいっぱいにするところを見ると、語り部さまはとてもおだやかな心になるのです。


 そうしてから、歴史書を書いたり、話すために覚えたり、代々うけついできた歴史書をきれいに保管したりするのです。


 もちろん、仕事だけをしているわけではありません。

 やまを歩いたり、川辺で寝転んだり、ときにはお茶を飲みながらお話をして笑ったりもします。

 天気のいい日には、弟子たちとピクニックをすることだってあるのです。

 やまの自然にふれて心をいやすと、また語り部さまは仕事にとりかかります。


「語り部」という仕事は、とにかく記憶して、それを細部までおぼえていなくてはならない、とても脳にふたんがかかる仕事なのです。

 さらに、このあいだのじゅえるのときのような新しいできごとも、ばんざいやまの新しい歴史として書きつらね、これからのばんざいやまにつたえのこしていかなければならないのです。

 とても重要で難しいので、やまのお友だちからも一目も二目もおかれる、かっこうがよくてえらい仕事なのです。


 そんな語り部さまが歴史を暗唱しています。

 そのあいだ、弟子たちは耳を澄ませて聞いています。

 聞いて、心のなかで真似をして暗唱して覚えようとするのです。

 門前の小僧習わぬ経を読む、に近いものがあります。

 語り部さまは忘れないため、じょうずに語ってきかせるための練習で弟子たちにきかせていて、弟子たちも覚えるためにきいているので、せいかくには意味はちがうのですけどね。


 そうしているうちに、お昼ご飯の時間が近づいてきました。


「お腹の虫が鳴く前に、ご飯にしましょうか」


 おしまいまで暗唱して、ちゃんと覚えていることを確認すると、語り部さまはいいました。

 弟子たちも、これがほぼ毎日のことであるのと、やまの学校を卒業して何年か経つくらいの年齢であるので、やったあとはいいませんでした。


「昨日いただいた魚があるので、焼き魚にしましょうか?」

「それがいいですね」

「まだきゅうりって、ありましたよね? みそきゅうりが食べたいなあ」

「じゃあ、そうしましょう」


 ももがいって、ほろろがさんせいして、がぶがいって、もんもがうなずきました。


 台所には五人で立ちます。

 料理をしながら、ときには雑談もします。

 師匠と弟子の関係ではあるのですが、きびしい縦社会というわけではないようですね。


 字をとてもじょうずに書ける語り部さまは、手さきがきようなので、料理もじょうずです。

 もしも『ばんざいやま料理大会』なんてもよおしごとがあったなら、一位はおにババできまりだけど、おにババといいしょうぶをするのは、きっと語り部さまなんじゃないかと、ばんざいやまのお友だちは思うはずだと思われるのです。


 その語り部さまに料理もおそわっている弟子たちも、年齢からすれば平均以上に料理ができるのです。  

 語り部さまといっしょにくらしていると、歴史以外のこともしぜんと身につくのです。


「ごちそうさまでした」


 と五人は手をあわせました。

 食休みをとると、弟子たち四人ははたらきにでかけました。

 語り部さまの手つだいをしたり『語り部』の勉強をしたりするのは午前中だけ。

 午後はそれぞればんざいやまのおとなたちにまじって仕事をするのです。


 仕事をするのはとてもたいせつなことなのですが、語り部さまは四人の弟子がいなくなると、ちょっとさみしくなります。

 そしてひとりでまた語り部としての仕事にとりくむのです。

 語り部さまは仕事をひと段落させると、庭にでてみました。


 とても心地のいい風がふきぬけていきました。

 太陽がぽかぽかとあたたかいのです。

 木々のみどりはさわさわとゆれて気持ちよさそうです。


 語り部さまは、そうだ、ばんざいやまの森のほうへといってみようか、と思いたったのです。

 それはとてもすてきなことのように思えてきて、語り部さまは、歩きだしました。


きゅうびたちが出てこなかったのですが、

こういう時があっていいかな? と思って書きました。

どうでしたか? 出たほうが良かったですか?


では、また。

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