おまけ
(今日の部活はすぐに終わる予定だから、午後は絵里と遊ぼう!)
一学期の期末テストが終わり、夏休みまでの短縮授業に入った。近付いてくる夏休みとともに学生にとっては嬉しい期間になった。
テストが終わり二週間ぶりに再会される部活に出ようと朝倉舞衣は玄関を通りかかった。
(え!)
舞衣は前から来る一人の男子生徒に気付き、驚いた。
(先輩ッ!)
それは柊了希だった。舞衣が中学の頃から気になっていた憧れの先輩。
二ヶ月前、入学式の日に一目見たくて探したが結局会うことが出来なかった柊。実際にその目で彼を見たのは舞衣が中学一年の時以来。
(ど、どうしよう!…こっちに来る!先輩に私を知ってもらうチャンスだけどいきなり話しかけるのも…)
舞衣は軽いパニックになりながらも短い時間で何とか考えをまとめようとした。すると舞衣は咄嗟の靴箱の陰に隠れた。
(そうだ!)
舞衣は一旦柊をやり過ごし、彼の背後に回った。
そして、柊に向かい歩き出した!
(すいません、先輩!)
『ドンッ!』
柊の背中に衝撃を与えると同時に、
「キャッ」
舞衣は声を上げた。
振り返った柊はそんな舞衣を見てただ茫然としていた。
すかさず舞衣は、
「すいません!私、携帯を見ていて…ごめんなさい」
早口で言い、さっと両手を後ろに回した。実は携帯など持っていなかったからである。
しかし柊はただ茫然としていてそんな事には気づきもしていない。
「?」
舞衣はただ立ち尽くしている柊を見てもう一度。
「あの…大丈夫ですか?」
柊に声を掛けた。
すると柊はハッとなり。
「んっ?あぁ大丈夫…」
ようやく柊が返事した。
「本当にすいません」
いつの間にか柊を見付けた時のドキドキした感情が消えている事に気が付いた舞衣。
「いや、いいよ。気にしなくて」
「そうですか?すいませんでした」
言って舞衣はその場を足早に去った。
柊は何も言えずに舞衣が言ってしまうのを見送った。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「ハァッハァッハァッ」
全力疾走したわけではないのに息を切らせた舞衣。
(またドキドキしてきた…!)
柊と会っている最中は最初のドキドキ感は治まっていたが、別れてからまた見付けた時以上にドキドキしはじめた舞衣。
(何?どうしちゃったの私?)
落ち着こうと二、三回深呼吸し、部活をする視聴覚室へと足を進めた。
(ダメだ、先輩が頭から離れない!)
二時間後、演技部のミーティングが終わり、舞衣と中江絵里は校舎を後にした。
「舞衣?」
「ん?」
「部活の前に何かあったの?」
「えっ!ううん、何にもないよ」
普段通りにしているつもりだったが絵里には見抜かれていた様だ。
「そう?それなら別にいいけど…」
「ねぇ絵里、今日ヒマ?」
「うん、ヒマ」
「じゃあさ、久しぶりにボウリングに行かない?」
「あ、良いね。行こっ」
「じゃあ、お昼食べたら家に行くね」
「じゃあ、後で」
「うん」
二人は二手に分かれた。
(う~、さすが絵里。バレた…)
等と考えながら家に着いた。
『ガチャッ』
玄関を開け、
「ただいま~」
言いながらリビングへむかった。
そして、リビングの扉を開け、
「あ~お腹空いた~」
舞衣は言いながらリビング入った。
このあと、舞衣は衝撃的な光景を目の当たりにする!