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大賢者ユノと弟子のリゼ  作者: グランチャイルド
第2章 流星の谷編
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第37話 精霊女子会 〜18歳のユノについて〜

 地上でリゼが「先生を支えるんだ!」と健気に固い決意を抱いていたその頃。

 

 ユノの精神世界では、つい先ほど繰り広げられた18歳ユノの無双バトルを巨大スクリーンで観戦し終えた精霊たちが、大いに沸き立っていた。

 

「いやっほーい! 18歳ユノ、キタキタキターーーッ!」

 

 シルフィがソファの上でポンポンと跳ねながら、最高潮のテンションで拳を突き上げる。

 

「はぁ……。相変わらず、無駄にイケメンなのが本当に腹立つな」

 

 イグニスは悔しそうに腕を組みつつも、ふぅと熱いため息をついた。

 

「うっとりしてしまいますね……。若さと大賢者としての色気が絶妙に同居している、この頃の主も本当に素敵です」

 

 ウンディーネは眼鏡の奥の目をハートにしながら、うっとりと頬を染めている。

 

「ユノ、かっこいい」

 

 テラリアもポテトチップスを食べる手を止め、ぼそりと核心を突いた。

 

 ちなみにユノが18歳の当時、すでに契約を結んでいたのはシルフィ、イグニス、ウンディーネの三精霊だった。(テラリアだけは諸事情により、もう少し後の20歳頃に契約していた)

 

 そして、ユノが人生で最初に出会い、契約を交わした記念すべき第一号の精霊こそが、風の精霊シルフィだったのである。

 

 なお、精霊契約は実力主義。基本的には、精霊とバトルして、勝たなければ契約できない。(また、どんなに強くても精霊が主人として認めない場合は契約とならない)

 

「いやー、思い出すねぇ!」

 

 シルフィがジュースをゴクゴクと飲み干し、当時の思い出を語り出す。

 

「あの頃のユノってさ、マジでめちゃくちゃ強かったよね! 18歳であの強さって、ぶっちゃけチートかよって思ったもん。

 この世界最速を誇るあたしに向かってさ、涼しい顔で『遅い』って煽ってきたのよ!?」

 

 シルフィが当時を回想する。


「あー、瞬間移動のとき『遅い』はよく言ってる。確かに煽り性能高いんだよな、アレ」

 

 イグニスがケラケラ笑う。

 

「で、気づいたら背後取られてるし! マジなんなのあいつって感じ! ……ま、そこが最高に格好よかったんだけどさ~!」

 

「わかる。強さは別格だった」

 

 イグニスも嫌々ながらも同意するように頷く。

 

「あたしが最初に手合わせした時もさぁ、あいつ、薄く多重展開させた魔法陣を纏っておいて、あたしの炎に対して『時間減速』『熱伝導遅延』『衝撃分散』を全部同時にノータイムで処理してんの。

 もうね、お前どんだけ器用なんだよって思った。人間辞めてる感じ?」

 

「「「わかる~~~!!」」」

 

 精霊たちが一斉に激しく同意する。

 

「それに」と、ここでウンディーネが不敵な笑みを浮かべて手帳をパラパラとめくった。

 

「当時から主は、モテました。本当に反則的なレベルで。王立天文台に最年少で入った頃なんて、出勤するだけで周囲の女子たちからキャーキャー騒がれて、さながらアイドルのようでしたから」

 

「アハハ! そんなの、今の現実世界のリゼちゃんが見たら泡吹いて倒れるって!」

 

 シルフィがスクリーンに映る現実のリゼを指差す。

 

 リゼは8歳に戻ったユノを抱きしめながら、まだ顔を真っ赤にして目をハートにしていた。

 

「あーぁ、完全に落ちちゃってるじゃんリゼ。これ、もう一生ユノ沼から抜け出せねーな」

 

 イグニスが笑いながら呆れる。

 

「でもさー」と、シルフィがふと顎に手を当てて、少しだけ唇を尖らせた。

 

「ユノって当時から一人で何でもできちゃうから、契約したあたしたちのことも基本『放置』だったよね。

 こんな可愛いJK風精霊を放置してひたすら魔導書読んでるとか、男としてありえなくない!?」

 

 その文句を聞いたイグニスが、ジト目で冷ややかに突っ込む。

 

「それは、あんたが四六時中うるさかったから、単にうざがられてただけでしょ?」


「えー?」


 一同爆笑。


 

 精神世界の精霊女子会は、主の過去のイケメンぶりに悶えつつ、地上のリゼの片思いを肴に、今夜も笑いの渦に包まれるのだった。

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