お父様を呼ぼう
よし、お母様に会いに行くぞ!と決めたからには、乳母にアピールしないといけない
だけどいざ言うぞ!となると、なんとなくだけど乳母に、お母様に会いたいと伝えてもはぐらかされるようなきがしてきた
今日確実にお母様に会うならお父様に話したほうが早いかもしれない
……二文字しか続けて話せないんだった、どう伝えよう
(ここで悩んでどうする!
…とりあえず勢いで言ってみよう)
朝起きてミルクを飲んだあと歩行トレーニング中だったので、つかまり立ちで壁伝いに乳母の近くに移動する
「うばー、うばー、ぱぱあぁ」
本当に、二文字しかちゃんと発音できないのがもどかしくてたまらない
乳母は編み物をしていたが私が近寄ってくるのに気づくとすぐに片付け、私が歩くのを見守っている
うばーぱぱぁーと言いながら壁から手を離し、3歩進んで前に倒れ込むところを乳母が支えてくれた
察しのいい乳母だ、お父様に会いたいという思いは伝わったのだろう
抱き上げられ、旦那様にお会いできるか聞いてきますので少しだけ待っててくださいね、と言われ寝台に降ろされた
わがままを言うのは本のとき以来なので、緊張してきてドキドキしながら待っていると、走ってきたのかすぐにお父様が来た
慌ててついてきたであろう執事が息を切らして汗をかいているのに、お父様は涼しい顔で近寄ってくる、不思議だ
乳母も気づいたら部屋の中に戻っていた、ドアの方を見ていたのに気づかなかった……いつの間に?
(いや、こんな事を考えてる場合じゃなかった)
「ぱぱぁー、うばー、ありぃ、とおぉ」
分けて言えばありがとうと言えるんじゃないかと思ったが見事に失敗した、伝わるといいけど…
そう考えていると、お父様が何かに感激?したのか騒いでいた
話聞いてもらえるかな、と黙っているとお父様が抱き上げてくれたので、抱っこ状態だけど言うことにした
「ぱぱ、まーまぁ?、まま、あえう?」
まま、という発言をした瞬間部屋の中がいつもより静かになったような気がした
執事も乳母も私も、お父様を見つめる
お父様は少しの間何か考えていたが、私を見つめながら口を開いた
「……そうだよなぁ、ママに会いたいよな。
ママは今体が良くなくていつも寝ているんだ、
様子を見るだけでもいいなら、今から会いに行くか?」
言ってみてよかった!お母様に会える!!
「うぅ!いく!ぱぱ、あり、あとー」
いつも笑おうとすると笑えないのに、達成感からか一瞬だけど笑顔が出来ていたようだ
執事はお母様のところに行くという伝達のため部屋を出ていき、乳母はなぜか涙ぐんでいた
執事が戻るまで数分ほどお父様の可愛い攻撃を耐えて、お母様に会いに行くことになった




