第73話 反省してま〜す
やべぇやべぇと石を持ちながら連呼する双子。
召喚獣の価値を存分に知ってもらったと確信したシュージンは声をかける。
「その召喚獣の力は分かっていただけましたね。是非ともマルス伯爵にもお見せしたいのですが。」
「た、確かにこの召喚獣はかなりの力を持っているッ。」
「それにパワーありそうだし。マジやばじゃ〜ん。」
「表現同じッ!」
「でしたら!」
双子の反応を見てバッツが期待をする。
「しかしッ、いきなり来ておいそれと伯爵様に会えるとでも…ッ」
未だにシュージン達に不信感を持つセフィニが突っかかろうとするが、後ろから来たデビュに手で素早く口を塞がれる。もがもがとうめくセフィニにデビュはシュージン達に聞かれぬよう耳打ちをする。瓜二つの顔同士が近づく。
「ま〜ま〜。セっちゃ〜ん。落ち着いて。その召喚獣、傷ついて戦闘不能状態じゃ〜ん。」
「それがどうかしたかッ…!」
「つまり、その召喚獣はそこのファッションリーダーが討伐して手に入れた石の可能性大ってことでしょ〜。」
「むッ…」
「本当の持ち主にしても、そのクラスの召喚獣を操るなら相当だし、どっちにしても召喚士としての腕前はかなりって事。」
「譲り受けたという線は?」
「あれだけ強力な召喚獣ならフツ〜の奴なら手放さないし、金と権力を持っている豪商ってナリでもない、確実にアロハは召喚士、横の黒ローブはお付きのトーシロの田舎っぺ。ってトコでしょ〜。」
デビュは自らの推理で強い召喚士だと見抜いた。
「上手く恩を売るなりすればその召喚獣だけじゃなくて、アロハ召喚士という兵士も使いっぱしりに出来るかもじゃ〜ん。」
「…」
「あのカンジだと、けっこ〜金欠で困っているっぽいし、適当な条件つけてイイカンジに恩を売れば〜見つけたあーしらの評価爆上がりで出世街道まっしぐら間違いナシじゃ〜ん。」
「…ああ。」
「じゃ、そゆことで〜適当に合わせて。相談終了〜。」
先程まで感じられたデビュの息遣いが離れる。デビュはセフィニが握っていた召喚石を取りシュージン達に歩み寄る。
セフィニはデビュの時折見せる冷酷さが嫌いだった。普段は掴みどころのない飄々とした態度が、恐ろしいほどに利己的で狡猾な面を見せる。
血を分けた実の姉妹なのに真逆。そしてその真逆の残虐さに逆らえない臆病な自分がいた。
「で、この召喚獣だけど〜、あーし達が伯爵様に取り次いであげよっか?」
ニコニコと笑顔でシュージンとバッツに話しかけるデビュ。
「えっ!いいんですか!?」
「しかし先程、双子の妹さんの様子だと難しいのでは?」
「いーのいーの。伯爵様はけっこ〜優しいし〜、それに召喚獣が大好きだから多分会ってくれると思うし〜。それにあーし、私設兵団の中ではけっこ〜エライ方なんだ〜。」
デビュは声の音量を下げシュージンとバッツしか聞こえないように言う。
「ふっふっふ〜。実は〜妹に嘘ついちゃった〜。あーしがおニイさん達からアポイントの手紙あった事を伝え忘れたって事でよろ〜。」
「どうしてそこまで?」
「だって、おニイさん達面白すぎぃ。あーしとはもうマブダチでしょ〜。」
ニカッと笑うデビュ。シュージンとバッツは心強い味方を得たと小さくガッツポーズし、喜ぶのであった。
遠くからその様子を見るセフィニ。
(あの様子だと、また適当な事を言って嘘をついているな…)
双子の姉はいつも調子の良いことを言って味方を増やす。誰からでも好かれる、友達も多い。
(いや、デビュは味方や友達だなんてそんなセンチメンタリズムな心は持ち合わせてないのかもな…)
セフィニは自分が持ってない全てを持つ姉に嫉妬して感傷的になる。
セフィニが思いふけっているとその姉が大きな声で謝ってくる。
「ごっめ〜ん。やっぱ、あーしが受け取った手紙を書いた商人さんだった〜。」
「全くッお前は…ッ。」
少し白々しいまでに謝るデビュ。デビュの本性を知るセフィニは演技に乗っかる。
ただセフィニの不機嫌な声だけは演技ではなかった。
「だって〜、ファッションリーダーかと思ったんだも〜ん。」
「だもーんって何だ、だもーんって。ちゃんとしとけといつも…ッ。」
「反省してま〜す。という訳で伯爵様の元へゴー。」
「もっと反省しろッ。」
怒るセフィニは大きく溜息をついた後、どこか渋々とした表情で言う。
「失礼した、こちらの連絡不備で迷惑をかけた。一応、我々で伯爵様に面会できるよう取り計らってみよう。」
「「ありがとうございます。」」
シュージンとバッツは深く礼をする。その様子をどこか楽しそうに見つめるデビュと呆れたように見つめていた。
続く




