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あなたと私の分岐点  作者: maruko


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8

 衣里は、マリィが目を覚ました頃、実は直ぐに気が付いていた。ただ脳内で色々な情報が交錯して、混乱していたから目を開けるのが怖かったのだ。


 衣里の記憶は真理子の逆だった。

 エリーゼが気を失って、気がついた時に前世の衣里の記憶が流れ込んで来ていたのだ。


 そして気付く、自分が漫画の中に転生している事を、そして既にエリーゼは随分とやらかしている事を。


 この漫画のタイトルは、王妃が何とかかんとかというやつで、正直言って長すぎて覚えていない。略して覚えていたのが“王天”だった。

 タイトルのどこからどう略したのかも覚えていない、だが話の内容は覚えている。

 その物語の中で衣里ことエリーゼは、ヒドインの役割だった。


 そう、ヒロインと見せかけてのヒドイン。


 そして、エリーゼは既に、王宮侍女の仕事は適当で、あちらこちらに出没して、イケメン令息達にちょっかいを掛けまくっていた。


 あと数人、攻略してしまったら、流刑が待っている段階だった。


 (ヤバイ!今からでも挽回出来るかな?仕事を真面目にすれば大丈夫かな?マジやばいんだけどどうしよう)


 そんな事を考えていたエリーゼの耳に、誰かを罵倒する男の人の声が聞こえてきた。

 さっきまで聞こえていたのは、女性の声で、マリィを心配する声だった。何を隠そうマリィはヒロインの名前だ。


 これは、マリィが王太子の婚約者が、王宮で虐めを行っていることを目撃して、その婚約者の取り巻きに階段から突き落とされたところではないだろうか?


 だが、漫画では階段から落ちたのはマリィ(ヒロイン)だけなのに、どうして自分も巻き込まれたのだろう?

 それに、ヒロインは罵倒されたりしない。

 みんなに心配されるはずだ。


 と、思った時、誰かが自分の手を握った。

 そして、とんでもない事を言っている。


『ごめんな、エリーゼ。マリィなんかを庇って、こんな目に合うなんて、可哀想に。君は優しすぎるんだ』


 誰よ、この人。

 それに私は庇ってなんかいない。


 知っている内容とあまりにも違いすぎて、エリーゼの混乱はピークに達して、瞼を開くことなく再び気絶した。




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