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「王弟殿下は、マリィと同じ髪色だったの」
マリィは自分の横髪を一房握り、ジッと髪色を見つめた。
祖父が王弟、あぁそれでエリフォーヌ様は、自分に教育を施してくれたのだと、この手厚い待遇の理由が漸く分かった。
「では、母上は⋯」
セルディ伯爵が言いかけた事を、エリフォーヌ様は首を振って否定した。
「私がナリッシュ男爵にお話しを持ち掛けたのは王妃様に頼まれたからなの」
「王妃様ですか?」
マリィは、エリフォーヌの口から、ビックネームが飛び出し驚くとともに、自身の悪評が影響を及ぼす事に気付く。
「申し訳ありません」
顔面蒼白のマリィは、エリフォーヌと伯爵に向けて頭を下げた。
「あなたの、君の「せいではない」」
二人は、頭を下げるマリィに優しく否定してくれるけれど、自分がアマリーヌの機嫌を損ねたのが原因だと、もう少し、一歩いや二歩控えていれば良かった。
そう思ったが、次の伯爵の言葉で考えを変えた。
「いや、本当にマリィのせいではない。あの子は、アマリーヌは昔から自分の容姿にコンプレックスを持っていたから。おそらく君の髪色が気に入らなかったのかもしれない。もっとちゃんと教育するべきだった」
髪の色が気にいらない?
それはマリィにはどうにも出来ないことだ。
そう思った時、そうかとアマリーヌがはじめからマリィに敵意を向けていた理由がわかり、呆れ果ててしまった。
黙ったままのマリィにエリフォーヌが提案する。
「ねぇマリィ、王宮へ行かない?」
「王宮ですか?」
「えぇ、今王家には王女がいないから、あなたの教育を王家で引き続きすれば⋯」
「エリフォーヌ様、それはいけません。また同じ様な事が起きます。畏れながら、私が王弟様の血を引いているのは理解しました。ですが、それは発表出来ぬ事ですよね?」
「⋯⋯そうね」
「でしたら、王女待遇など私には分不相応です。私はナリッシュ男爵の娘ですから。ですが、今のままでは学園に行く事も難しいです」
恨み言を二人に言いたかったわけでは無いけれど、マリィの言葉に二人は言葉も無かった。全ては浅慮な孫が、娘が犯した愚行に拠るものだから。
二人の様子を見つめながら、マリィは考える。
エリフォーヌ様には良くして頂いたのに、タウハウスまで下さって⋯⋯そうだ!このままお暇して男爵領に帰れば、エリフォーヌ様へ恩を返す事ができない。
マリィは頭を悩ました。
そして閃く
「エリフォーヌ様、もし、王妃様のお許しを頂けるなら、私を王宮の侍女として働かせていただけないでしょうか?」
斯くしてマリィは王宮で侍女として働くことになった。




