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初顔合わせは、アンドリューが滞在する離宮で行われた。
アンドリューに挨拶をしたあと、マリィが待っているとエリーゼとドリスがオットーに連れられてやってきた。
顔を見知っているし、階段から落とされた事件の事もあるが、マリィとエリーゼはこれが初めてちゃんとした顔合わせの場だった。
「《《初めまして》》マリィ・ナリッシュです」
「エリーゼ・モエラーズです」
「ドリス⋯「あぁドリスはいい」」
ドリスと名乗ろうとした侍女は、アンドリューに遮られて驚いていたが、マリィは事前に聞かされていたので、この場に来たことこそに驚いていたのだ。
どうやらオットーに行かなくていいと言われたのに、納得いかないと《《駄駄》》を捏ねたらしい。
それをオットーが、アンドリューに説明しているのを聞いて、マリィは唖然とした。
そんな我儘三昧で今までよく侍女が勤まっていたものだ。
王宮では相当猫を被っていたのだろう。
泣き落としの聞かないアンドリューに、尚もくどくどと言い訳をしているけれど、罪を重ねている事にドリスは全く気付いていないようだ。
呆れるマリィとエリーゼを睨むように、悔しそうな顔を浮かべて漸くドリスが部屋を出たのは、名乗りを遮られて15分は経過していた頃だった。
「はぁ全く、誰だあのような者を選んだのは、帰ったら責任追及しなければな」
「もう、居られません」
「そうなのか?」
「はい、王妃様が《《処分》》なさいました」
アンドリューと会話しながら、マリィは少し鳥肌が立った。件の侍従は文字通り処分されたのだ。ドリスに籠絡されていたらしい彼は、人選を見誤っただけでは済まない。
今回のアンドリューの隣国へ赴く目的を考えれば、一番選んではならない人物を選んでしまったのだ。
「それにしても、二人は初対面だったのか」
「いえ、お顔は存じ上げておりました。それに殿下もご存知の様に以前私はモエラーズ男爵令嬢様に、助けていただいたこともあります。ただ諸事情により直接お礼とお詫びが出来ておりませんでしたので、このような機会を与えて下さった王妃様と殿下には感謝しております」
「私はなにもしていないよ。でも良かった、優秀な方をお願いしていたから、貴方なら母上のお墨付きだからね。折角王宮を辞していたのに、引っ張り出してしまって済まなかったな。エリーゼ、離宮の案内を頼む。我が婚約者殿には、他の追加の者と一緒に後日紹介する」
「畏まりました、殿下」
マリィは、アンドリューにもう一度カーテシーをして、執務室をエリーゼとともに出た。
これから、離宮を案内してもらう事になったが、マリィはその前にちゃんとお礼を言いたかった。
「モエラーズ男爵令嬢様、以前危ないところを助けて頂きありがとうございました。お礼が遅くなり大変申しわけありません」
「いえ、もうだいぶ前のことですし、気にしないでください。後遺症もなかったようで良かったです」
エリーゼが微笑んでくれたので、マリィは少し安心できた。
手紙のことを話すのは、ゆっくりしてからにしようと思い、そのまま離宮を案内してもらった。
その日の夜、寝支度をする前に、マリィはエリーゼの部屋へと向かった。
「はぁ、緊張しちゃうなぁ」
マリィはノックをする前に、大きく深呼吸をした。




