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あなたと私の分岐点  作者: maruko


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 王都を出立して、約1ヶ月。

 マリィはようやく隣国へと足を踏み入れた。

 こちらの王都は、比較的自国レインフォール王国寄りにあるから、数日で辿り着けるだろう。

 そう考えて、かなり無理をした旅路の供達を労うために、少し高級な宿をマリィはその日手配してもらった。


 マリィの部屋は、宿の最上階の3階でそこからの眺めはとても良い。

 同じ部屋には侍女の待機部屋と、護衛が隠れて待機できる小部屋も存在していた。

 きっとこの部屋は、普段なら身分の高い人が泊まる部屋に違いなかった。


 だが今のマリィは、前世の真理子のときの記憶をフル活用して開発した商品のおかげで、旅の資金は潤沢だった。これくらいの高級な部屋などではマリィの資金はビクともしない。


 父が嫌がるから、領地にはこっそりしかお金を流せていないため、マリィの貯金は有り余るほど出来ている。


 幸いにして、隣国との換金率はあまり変わらないから、贅沢をしなければ余裕で1年位過ごせる金額を隣国の銀行に移してきた。


 エリーゼと会って直ぐに謝罪して、彼女の手紙の内容を聞かなければならないが、はたして彼女は許してくれるだろうか?

 マリィは、今一番その事が気がかりだった。


 マリィの過去が関係して、読まずに手紙を捨てたのだ。マリィの勝手な都合をエリーゼが理解してくれるのか、マリィにはわからない。

 何せマリィとエリーゼは会話すらしたことがないのだ。


 以前助けてくれたときにも、直接お礼も述べていない、失礼極まりないマリィの事を、エリーゼはルチアにもマリィの父にもあの件については自分から触れてこないのだ。恨み言すら言わないエリーゼが、マリィの事をどう思ってるかなんてマリィには全くわからない。


「全部許してもらおうだなんて、それこそ思い上がりよね」


 窓の外を眺めながら、マリィはそう呟いた。



 ◇◇◇



 隣国王家から、滞在を許された離宮に住む第二王子の側にいるエリーゼは、その日第二王子の侍従のオットーからそれを知らされた。


「エリーゼ嬢、良かったな。君の願いが聞き入れられそうだぞ」

「オットー様、それはどういう事でしょう?」

「君、報告書を王妃陛下の侍女長に送っただろう」

「はい」


 第二王子に関わる手紙の類は、幸いにもオットーの仕事だった。他の者ならエリーゼの手紙が、自国へと届くかは疑問だったが、唯一ドリスの毒牙を免れている彼ならば、自分の職務は全うするに違いないと安心して手配を頼んだ。

 だから、彼はエリーゼが王妃陛下の命でこちらに来ていることを知っているのだ。


「ドリス嬢の件で聞き取りするものと調べる者、それから彼女の代わりの侍女を王妃陛下が手配してくださったそうだ」

「まぁ!それは朗報です」

「本当にな」


 オットー自身もドリスには頭を痛めていた。

 第二王子が隣国に来るに当たっては、かなり人選は慎重に行ったはずなのに、どうしてこんなことになったのかと、やはり人任せにするんじゃなかったと後悔していた。

 オットーはそれ以外の手配で精一杯で、人選は第二王子の侍従の中でも、レインフォール王国に残る者が手配したのだ。


「こんな嫌がらせがあるとは思わなかったな。君も巻き込んでしまって済まなかった」


 思いもかけないオットーの謝罪にエリーゼは目を丸くした。

 どうやら、第二王子の侍従の中でも派閥争いなどがあるらしい。

 一枚岩ではないことが、第二王子の婚約を危うくさせている理由なのかもしれないとエリーゼはそう感じた。


 兎にも角にももうすぐドリスに調査が入る。

 ちゃんと調査されれば、彼女や彼女に籠絡された者は、この国には不要だと判断されて帰国することになるだろう。


 エリーゼは、あたらしく来ることになった侍女の人選が気にはなったが、自分が口を挟める立場にはない。


「いい人だったらいいなぁ」


 エリーゼは期待に胸を膨らませていた。





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