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マリィは、ルーセントの奥歯をガタガタ言わせなかったが、暴力には訴えた。両肩を拳でバンバンと叩き「どうして!どうして!」と叫び続けた。
何故エリーゼが防犯ブザーに興味を示したのか、理由はマリィには分からないが、相手がエリーゼであるならば、マリィの対応は180度違っていたのだ。
そうしていても、エリフォーヌの対応でおそらくエリーゼは、隣国へと行かされたことだろう。
それとこれとは話が違うので、その辺はルーセントの思い違いである。
でもマリィの疑問は解けたのだ。
マリィは自分の思い込みにも反省したが、ルーセントの伝え方が彼本位であった事を言わなければならない。
これ以降、そんな間違いをされては、たまったものじゃないからだ。
「ルーセント様、よく聞いてください」
叩いていた肩に、今度はゆっくりと手を置いて言い聞かせるように話し始めた。
(まったく、もう、ルーセント様が恋愛に関してこんなにポンコツとは思わなかったわ)
元々、何をしても何をしなくともモテるルーセントだ。自分からアプローチなどしたことがないから、こんな事になったのだろうとマリィは思っていた。
実際はエリーゼは流刑回避の為にルーセントを避けていたのだが、そんな事を知らないマリィは、ルーセントに女心のなんたるかを自分の気持ちも含めて話した。
それを聞いたルーセントは驚愕する。
マリィが、自分とアマリーヌのせいで、女性からの手紙に恐怖心や嫌悪感を持っていた事に。
それ故、エリーゼからの手紙は開封すらされていなかった事に。
だがエリーゼが隣国に同行したのは、マリィへの手紙はまったく関係ないのだということに。
マリィはエリフォーヌの名は出さなかった。
ただ、自分の出自を話したのだ。
マリィが故人である前王弟の孫であることを。
それを聞いたルーセントは、何故マリィが自分の婚約者候補に上がったのかを知った。
男爵令嬢だとしても、彼女の流れる血は“青”なのだ。
それなのに爵位は関係ないとばかりに、自分は気持ちのままにエリーゼに迫ってしまった。そのせいで彼女が国外に出されたのであれば⋯。
マリィとルーセント
二人はエリーゼへの自身の行いをそれぞれ後悔していた。




