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マリィは自分の勘違いに気付いて、自分の頭をトンカチで殴りたくなった。
同年代の令嬢達に辟易していたものだから、冷静な判断が出来ずにいた。
相手がマリィの恩人でもあるエリーゼなら、呪詛や嫌味を認めて来るはずがない。
何故なら、とても真面目に働いていると父のナリッシュ男爵からも、今はエリーゼの同僚になった先輩侍女だったルチアからも聞いていたからだ。
じゃあエリーゼは、手紙に何を認めていたのか?
それが疑問だった。
そしてここに来て、相手がエリーゼとわかって更に疑問が湧いた。
どうしてエリーゼは、私に会わせてほしいと《《ルーセント》》に言ったのだろう?
マリィに会いたいのなら、真っ先に思いつく彼女の伝はルチアだ。
自分に言い寄って来るルーセントよりも、ルチアのほうが気安い関係だし、それに防犯ブザーをプレゼントされるまで、ルーセントには心を開いていなかったように聞いていた。
どうして?
その疑問をマリィはルーセントにぶつけてみた。聞いたところでエリーゼの心意がわかるか如何かは、甚だ疑問だけれど、聞く相手はもうこの国から出てしまって、聞けるのは目の前にいるルーセントしかいないのだ。
「ねぇ、ルーセント様。モエラーズ男爵令嬢は、どうして私に会いたいと言っていたの?」
「えぇ?どうしてって⋯」
聞かれたルーセントは腕を組みながら目を閉じて考え込んでいる。その時の事を思い出しているのだろう。
それにしてもイケメンって目を閉じていてもイケメンだなぁと、マリィは綺麗な顔のルーセントを眺めながら言葉を待っていた。
「特に理由は言わなかったよ、それは確かだ」
「そうなんですか⋯」
やっぱり聞くだけ無駄だったか
マリィがそう思った時、ルーセントは独り言のように話を続けていた。
「ただ、すごく必死だったなぁ、これを作った人に会わせてくださいって」
「ちょっと待ってルーセント様」
「えっ?何?」
ルーセントの言葉に、マリィは一つの可能性を感じて震えながら聞いた。
「モエラーズ男爵令嬢は、防犯ブザーわ作った人に会いたいと言ったのですか?マリィ・ナリッシュに会いたいではなく?」
「そうだけど、どちらでも同じじゃないか。“ぼうはんぶざー”を考えたのはマリィなのだから」
違う!
意味が全く違う!
マリィは、ルーセントの胸ぐらをつかんで奥歯ガタガタ言わせるほど、振り回したい衝動に駆られた。




