↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あなたと私の分岐点  作者: maruko


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

29/58

29

「エリーゼ!ごめんなさいね、遅れちゃった」


 息を上がったルチアが、待ち合わせに現れたのは、約束の時間を10分程過ぎた頃だった。

 侍女の仕事はイレギュラーも多い為、エリーゼは待つ事にも不安はなかったので、気にしてはいなかったが、ルチアの方はそうでもなさそうだ。


「ルチアさん、気にしないでください。じゃあ行きますか!?お店ってどこら辺ですか」

「あっ、待ってエリーゼ。馬車は頼んであるの」


 王都の街に出るには、少し歩かなければならない。

 王城からならそんなに遠くはないから、昼間なら歩いても大丈夫だが、今は夕刻になる為、エリーゼ達は馬車を利用することにしていた。


 王城の近くには、乗合馬車が朝と夕方に2台ほど、王城で働く下働きの為に動いているので停留所があった。其方の方にエリーゼが向かおうとしていたら、ルチアに待ったを掛けられた。


「王宮の馬車停まりに待機してもらってるの」

「そうなんですか?」

「えぇ、実はねうちの馬車なの。今日は、我が家の夕食にご招待したくて誘ったの」

「ええっ!」


 エリーゼは、同性に食事に誘われたのも初めてで、それだけでも嬉しかったが、家に招待なんてされたことが無くて感動する。


「ルチアさん、ありがとうございます」


 ルチアに連れられて馬車の待機場に向かいながら、エリーゼは彼女に感謝の言葉を述べると、ルチアは驚きながらも、過去のエリーゼの行いを思い出して、きっと初めて誘われたのだろうと察した。


「こちらこそ、誘いを受けてくれて嬉しかったわ」


 ルチアは、穏やかに微笑んでエリーゼに応えた。

 何ていい人なの!

 エリーゼの中でルチアは聖女の様に思えた。

 あの漫画では、ルチアさんはマリィ(ヒロイン)の味方だったな。彼女が居なくなってきっと寂しく思っているのかも。


 エリーゼは、3年前に前世を思い出し、この世界が異世界であること、自分が漫画の世界の登場人物だった事、そしてその人物が後に流刑になる事を知った。そしてその時に、それまでの自分を猛省して、やり直すことを決意した。

 それからは、そのことだけに只管邁進していたけれど、ある日ふと思い至ったのが、マリィ(ヒロイン)を全く見かけない事だった。


 自分のことばかりで、周りを見ていなかったエリーゼ。本来ならヒロインであるはずのマリィは、王妃の宮の所属のはずだ。そして本当ならエリーゼは、第二王子殿下の宮のままのはず。

 それが、エリーゼは配置換えで王妃の宮にいて、マリィは王宮の何処にも居なくなっていた。

 聞けば、あの事故の後、記憶喪失になり王宮で働く事が出来なくなったそうだ。


 漫画のストーリーから外れたマリィは、今どこにいるのだろうか?


 そんな事を、1年ほど前まではたまに考えていたこともあったが、ここ1年ほどは見習いから本採用された為、忙殺されてまたもやマリィの事は忘れていた。


 最近、ナリッシュ男爵やルチアから、あの3年前の事故の件で謝罪を受けて、また思い出すこともしばしば増えていた。


 そして今も。


 ルチアもそうだが、先程見かけたルーセントもマリィ関連の登場人物だ。


「マリィさんって、今は何をされているのかな?ルーセント(ヒーロー)とは、既に結ばれちゃったりしている?」


 小さな呟きは、馬車の音にかき消され、ルチアには聞こえていなかった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。