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エリーゼとルチアは、廊下で控えながら色々な話をした。
そしてエリーゼは心底驚いたのだが、ルチアは学園の同級生だった。
エリーゼには全く覚えはないが、それはそれで納得する自分がいる。あの頃のエリーゼは、前世の記憶が戻る前の、やりたい放題男漁り放題女だったはずだ。
当然親しい友人など皆無、令嬢達からは遠巻きにされるか、文句を言われるか、諭されるかの3つだった。
顔も知らないとなると、ルチアは遠巻きのご令嬢の中の一人なのだと思った。
1年先輩と思っていたけれど、初めから王妃の宮に配属されていたのなら、顔を知らなかったエリーゼが勝手に勘違いしてしまったのだろう。
それを詫びると、ルチアは少し目を見開いてから微笑んだ。
「驚いたわね。あなた謝る事が出来るようになったのね。随分変わったと聞いていたけれど本当みたいね」
「よく言われるわ、でもいい方に変わっているわよね?」
エリーゼは自分を変えようと必死だった。
王妃の宮に来てからも、王宮で働く男達から軽く見られて誘われたり、連れ込まれようとされたり、付き纏われたりと散々だったが、その度に必死で逃げた。全部自業自得なのだからしょうがないと受け入れた。
それを見るに見かねて助けてくれる人もいた。
その様子を蔑む人もいた。
色んな人がいたけれど、流刑だけはご勘弁と思い、エリーゼはなんとか王妃の宮で頑張ってきたのだ。
だが、変わったといわれるエリーゼが、いい方に変わったかは、自分には分からなかった。
尋ねたルチアは、エリーゼを見て微笑んで頷いてくれた。
それを見てホッとするエリーゼ。
そんなエリーゼにルチアは、いきなり頭を下げた。それも深々とである。
エリーゼは困惑する。
「ど、どうしたんですか?ルチアさん」
「遅くなったけれど、私はあなたにお礼を言わなければいけなかったの。でも前のあなたにはどうしても言えなかったわ。でも今のあなたなら、心から申し訳なく思えるの」
ルチアの言っている意味が分からずに、エリーゼの困惑は益々深くなる。
「マリィ・ナリッシュは、私に付いていた見習い侍女だったの。あの子を、彼女を助けてくれてありがとうございました」
「マリィさんが⋯」
今日はマリィ絡みでお礼を言われるのが多い。
3年も経過しているけれど、エリーゼには今更だなんて思えなかった。
ルチアが言ったように、以前のエリーゼには感謝なんてする気にもなれないだろう。
そして今日、表の仕事をさせてもらえた事。
3年前の事でお礼を言われた事。
その事で、エリーゼは自分は変われたのだと、成長できたのだと、ようやく実感する事ができた。
「私、あの時に変わろうと思ったんです。今のままではいけないってその時思ったんです。だから私がいい方に変われたきっかけであるあの事故は、私にとっては必要な出来事だったんです。だから私の方こそマリィさんにお礼を言わなければいけませんね。降ってきてくれてありがとうと」
エリーゼがそう言ってルチアに笑顔を向けると、少し驚いた顔をしたルチアも再び笑った。
その時、応接室の気配が変化した事を感じたエリーゼとルチア。
程無くして、中から声が掛かった。
王妃様が人払いして1時間は経過していた。




