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マリィがムーセル商会に入社して3年が経った。
16歳だったマリィも19歳。
立派な結婚適齢期を迎えていた。
昨年、セルディ伯爵はムートン公爵を継承して、今のセルディ伯爵はルーセントが継承していた。
マリィが商会に入ってから彼女のアイデアで様々な商品を開発して売り出した。
商会には、優秀な人材が揃っていて、マリィの前世の記憶のみの拙いただの絵を、皆が形にしてくれる。
文房具に始まり、今は電化製品に取り組んでいるのだが、これがかなり難航していた。
それというのもこの世界には魔法がなかった。
魔力もない。
転生チートでスキルでもないかと、色々と前世の漫画や小説に出てきていた呪文なども唱えてみたが、無反応だった。
だが、魔法の代わりになるエネルギーは存在していた。
それが前世でいうところの乾電池だった。
こちらの世界での名称はメーボンという。
海水を乾燥させると前世では塩が出来るが、異世界の海水は、塩とメーボンが出来る。
色が違うので目で見て分かるのだが、このメーボンは物体を動かすエネルギーになる。
このメーボンの結晶を容器に詰めて、乾電池のようにして使うのだ。
驚いたことにこの世界には元々ドライヤーや蛍光灯が存在していた。
それの応用でなんとかならないかと、家電の提案をしたのだが、メーボンの消費量がありえないほど多く使用するため、商品化には至っていない。
ただ、ムートン公爵家では便利に使用している。
マリィの家のナリッシュ男爵家のタウンハウスでも、冷凍冷蔵庫とクーラーを置いていた。
マリィはこれらの開発で、タウンハウスの購入金額を、エリフォーヌ様には1年前には返すことが出来た。
そんなマリィにある日縁談が舞い込む。
相手は、何とカイザだという。
速攻断ったが、そんなマリィの元にエリフォーヌが訪ねてきた。
「マリィ、あなた縁談を断ったそうね」
「エリフォーヌ様⋯」
カイザからの縁談は、ムートン公爵家を通さずに、ラガン伯爵家から直接釣書が届いたため、まさかエリフォーヌが知っているとは思わずに、マリィは恐縮してしまう。
(まさか公爵家の推薦でもあったのだろうか?)
そんなマリィの思いを見透かすようにエリフォーヌは話し始めた。
「マリィ、ラガン家の縁談は公爵家は関係ないのよ。でもねあなたのためには、誰かと婚約を結んだほうがいいと思うの」
「それは、どうしてですか?」
「貴方の才能に気付かれて、断れない縁談が舞い込む可能性があるからよ」
「私の才能?」
「えぇ、あなたがアイデアを出して作った様々な商品。それらはムートン公爵家が握っているから、今はいいわ。でもね婚姻してしまったら、私達では守れなくなってしまうの」
「それは⋯⋯」
マリィの思ってもみない理由だった。




