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「あなたにもまだご面倒お掛けするわ。でも申し訳ないけど、まだ自分でちゃんと動けなくて⋯許してもらえるかしら?」
エリーゼは、アイナの本来の仕事ではないことをさせていると、申し訳無さでいっぱいになっていた。出来ることなら、自分で身の回りのことぐらいしたいのに痛む体が言うことを聞かない。
「あの、私は看護メイドですので、これも仕事のうちです。あまりお気に為さらずに、お体を治す事だけをお考えください」
アイナは、この部屋に来て初めてエリーゼと接して行くうちに、アイナが目撃した前の彼女とは、どこか違う彼女にかなり戸惑っていた。
アイナは看護メイドになってから、本格的に怪我人の日常を世話する事は初めてだった。
看護と侍女は違うのだ、と何度か医師にも看護メイドの先輩にも言われていた。だが経験の少ないアイナは、その事をイマイチ理解できていなかった。
(何が違うの?一緒じゃない!それなのに侍女様は、お給料もいいのに⋯)
そんな不満を同僚達とこっそり言っていたりした。そんなアイナがエリーゼの世話をする事になった。
侍女の仕事と変わりないという、自分の考えが浅慮だと思ったのは、エリーゼの食事を取りに食堂に行った時だった。
食堂では、城で働く者が部署も何も関係なく食事をする。
それでも、各部署で何となく暗黙のルールとして、食堂の席も決められていた。
その中で女性として一番華やかなのは女官達、その次が侍女。彼女たちがいつも座る席は、一番日当たりがほど良い場所。
エリーゼは怪我人であるため、病人食ではないから、普通の食事をアイナは待っていた。
看護メイドのアイナは、彼女たちとは席が離れているため、休憩中の彼女たちのお喋りは聞いたことがなかった。だから、エリーゼの食事を待つ間、彼女たちの不満や愚痴がよく聞こえていた。
そこで漸く、医師と先輩の言葉の意味を理解した。
それからエリーゼが、傲慢な侍女ではなく、慣れない看護をするアイナに相当遠慮したり我慢したりしていることにも気付いた。
その日から今日の通達まで、エリーゼを観察して分かったこともある。
エリーゼは、これを機会に変わろうとしているのだと。
「部署移動大変ですね。お仕事に復帰するまで、お力になれる事があれば、遠慮なく仰ってください」
「そんな、侍女でもないのにあなたを私的には頼めないわ」
エリーゼは、また遠慮していた。
だから、アイナは心から彼女の復帰の力になって上げたいと思った。早く回復するように手助け出来る事はしたいと心から思えた。
「大丈夫です、それくらいなら看護の仕事の内ですよ」
「ありがとうございます」
アイナも看護メイドとして、変わろうとしていた。




