第6話
魔導学園は全寮制で、種ごとに分かれていたりはしない。ヒビとレイが同じ棟になる可能性も十分あった。違うからこそ、帰りまでの時間が大事になる。
特に昼休み。
学食をできるだけ早く済ませて、教室に戻って、それからの会話。
いつもの窓際。席はヒビが後ろでレイが前。
「レイはいつからここに?」
とヒビが聞くと、
「中学生の頃。一年生の頃ね」
この学園には高等部、中等部、初等部、幼稚舎と校舎が揃っている。大階段を使って登校するのは高等部と中等部だけ。
「階段、疲れない?」
「まあね。でも、空気と景色が綺麗」
「あー、ね。辺り森だもんね」
(空気……)
ヒビは笑い出してしまいそうだった。
(レイの吐いた空気を)
そこまで考えただけで笑ってしまいそうになる。
お互いに吸い合っている。部分的に。臭くない? それだけじゃない子供っぽさをヒビは自分に感じた。
レイが氷結種だからと言っても、その息が冷たい訳じゃない。
ヒビ自身は魔導種の中でも元始種。と言っても、普通の頃と変わらない。
「氷が欲しければ言って。俺が出すよ」
「うん」
それから、お互いの変なところも見つけ合うんだろうなと思いながら、ヒビはこうも思った。
(自分からは何をやってやれるんだろう)
そして考えた。答えを口にする。
「高い所に登りたかったら言って、かな。手を届かせたかったりした時とか」
「ヒビがやるの? できるように」
「うん」
「別に交換条件とか必要ないのに」
「でもなんとなく言いたくなった」
「そっか」
こうして時間が過ぎていく。
「あみだくじだってやれるよ」
とヒビが言うと、
「委員長が喜びそう」
とレイ。
「あー……そうだね」
「あ、ああ、俺も何か決めたい時に助かるよ」
「でしょ」
運動場の横に、陸を進む幽体船がある。それを見ながらヒビは考えた。レイがこの学園に来た頃どうだったのかを。




